備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム53.海岸山妙福寺(観音院)

2008-09-17 19:09:05 | Weblog
海岸山妙福寺観音院(かいがんさん みょうふくじ かんのんいん)。高野山真言宗の寺院で、本尊は千手観音。地元では、「室谷山金剛頂寺真光院」を「西寺」というのに対して、当寺を「東寺」(ひがしでら)と通称しているという。
「西寺」のほうは、正式名称の山号といい、寺号といい、いかにも真言宗の寺という感じだが、報恩大師開基の備前48ヶ寺の1つとすれば、創建当時から同名だったはずはないと思われる。むしろ、当寺のような「観音院」といったシンプルな寺名のほうがふさわしい気がする。いわゆる金山寺文書や備陽記では単に「牛窓山」としか記されていない。もちろん、「牛窓山」というからには、「西寺」のほうがそれらしいのだが。
場所:瀬戸内市牛窓町牛窓2718。県道28号線(岡山牛窓線)の終点(牛窓港フェリーターミナル辺り)の先を海岸線沿いに約500m。五香宮の下に神功皇后ゆかりの「纜石(ともづないし)」があるが、その周りにスペースがあれば駐車できるようだ。途中、昔ながらの街並みの狭い道路なので、通行注意。
延暦年間(782~805年)に報恩大師開基の備前48ヶ寺の1つで、その第一の創建との伝承を有するという。当寺もやはり「寛文の寺社整理」により寛文6年(1666年)に廃寺となった。同年、岡山藩主池田光政公が「牛窓神社」に参拝した際、「往吉宮」の再建を命じ、翌年、当寺の旧寺地に「五香宮」が建立された。その後、元禄9年(1696年)に再興。
当寺・五香宮を通り過ぎて更に海岸線を北東に約1km行くと、国内神名帳所載の古社「牛窓神社」の長い階段の参道の前に着く。現在、「五香宮」の宝物となっている神功皇后の鎧冑・太刀等は、元は「牛窓神社」にあったともいう。

「Young Ogin Club」さんのHPから(海岸山観音院):http://yasuogi.hp.infoseek.co.jp/temple6.html

「日本すきま漫遊記」さんのHPから(妙福寺):http://www.sukima.com/14_sanyou01_02/07myoufukuji.htm

岡山県神社庁のHPから(五香宮):http://www.okayama-jinjacho.or.jp/cgi-bin/jsearch.cgi?mode=detail&jcode=12002


写真上:五香宮


写真中:五香宮の奥に「東寺」がある(石灯籠のところ)


写真下:東寺本堂