備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム46.湯迫山浄土寺

2008-09-09 20:34:10 | Weblog
湯迫山浄土寺(ゆばさん じょうどじ)。天台宗の寺院で、本尊は薬師如来。最盛時には40数坊あったというが、現在は1院のみとなっている(本坊は「新成院」(しんじょういん)といった。)。全国に「浄土寺」という名の寺院は多数あるようで、備前48ヶ寺の中にも「笠地山浄土寺」(赤磐市)があった。それで、近隣では単に「浄土寺」で通用しているが、他の寺と区別するときには山号を付けて呼ぶようだ。
場所:岡山市中区湯迫699。JR「高島」駅方面から、県道219号線(原藤原線)「国府市場」交差点を右折(東へ)、「JA岡山 高島支所」のところを左折(北へ)、突き当たり(「賞田廃寺跡」がある。)を右折(東へ)、約400mで「湯迫温泉 白雲閣」というホテルがある。そのホテルの真裏(北側)にある。駐車場あり。「竜ノ口山」山麓にあり、思ったより広い境内に、鎮守(日吉神社)や本堂などが散在している。
備前48ヶ寺の1つで、天平勝宝元年(749年)報恩大師開基という。鎌倉時代初期、備前国が東大寺再建のための造営料国とされ(建久4年(1193年))、東大寺大勧進職に任じられていた「俊乗坊重源」が備前国国司として赴任してきた。国府は岡山市中区国府市場の現「国長宮」あたりにあったとされているが、あるいは当寺を住まいにしていた可能性もある。重源は「湯屋」を民衆にも開放したと伝えられており、境内に「湯屋」跡もある。当寺の前に建つホテルも「湯迫温泉」を名乗っているが、泉質は単純硫黄泉で、源泉温度は19℃だから、冷鉱泉だろう。むしろ、「湯山神社」の項(2008年6月8日記事)と同様に、染物用の水として重宝したのではないか、という説もある。
いずれにせよ、国府跡、備前国総社宮、高島神社(吉備高島宮)、脇田山安養寺、唐人塚古墳、賞田廃寺跡、大神神社などの史跡が連なる地区の中にあり、歴史散歩には興味の尽きない場所である。

岡山市立高島公民館のHPから(浄土寺):http://kouminkan.city.okayama.okayama.jp/takashima/shiseki/ssk19.html
山本よしふみさんのHP「近隣輪散歩」から(湯迫山浄土寺):http://www.tvc-15.com/desktop_bicycle/walk/zyoudozi/zyoudozi.html