堤防沿いの道は綺麗な舗装道路で、人影も無く見通しの良い明るく開けた道路でした。少し歩くと、反対方向から2人連れがやって来るのが視界に入りました。私はどきりと警戒心が起きました。内心緊張して脇道など探りながら歩を緩めると、向こうもどきっとした感じで私と同じ様な素振りでした。立ち止まりつつ後方を振り返ったりしています。
「戻った方がいいんじゃない。」
小さな声でしたが、そんな女性の声が聞こえました。それとなく見ると、男女の2人連れのようです。私と同じようなカジュアルでやや草臥れた普段着の服装です。私はと言うとチェックのバミューダを穿き、上は半袖のTシャツかポロシャツを着ていました。上下共私の持ち物では既に着慣れた服ですが、古び過ぎない衣類を選んで持って来ていました。身に付けた無印の衣類で所持品の無さや現地の一般人の雰囲気を装っていました。
『現地の日本人かしら?』
私と同じような服装と、聞こえて来た日本語に、ホッとしてよくよく観察して見ると、あれっと思いました。私は近付いてくる2人に、にこやかに挨拶しました。
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