Jun日記(さと さとみの世界)

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三文小説(8)

2017-08-01 11:14:33 | 日記

 野原さんが聞くと、平野さんはそうだと言い、怪訝そうな顔をして野原さんを見つめました。

彼女は野原さんに、どうして彼の名を知っているのかと問いかけて来ます。彼女のその瞳には生真面目な表情が浮かんでいました。

 野原さんは彼女の瞳に常とは違う何かを感じましたが、まだ知り合って間もない彼女の事をそう深く知っている訳ではありません。野原さんは彼女のその一途な瞳を気にせずに話し出しました。

 「今、平野さんが彼の名を言っていたでしょう。それに、それでなくても、あの人入社してから目立つ賑やかな男性のグループの中にいたでしょう。彼らは皆名前を呼びあっていたのよ。そのグループの中でもあの人、松山君の声は通るから、直ぐに顔と名前を覚えてしまったわ。」

こう彼女が説明すると、平野さんは何故か顔をうつむけてそうとのみ呟くのでした。彼女の顔は何だか曇ってしまいました。


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