Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

青い事典、その7

2016-09-30 15:55:18 | 日記

 2、3日私は腹を立てていました。

父が自分勝手だと思っていたのです。

そして、その間閉じた事典を見もしなかったかというと、そうでは無く、表紙を撫でてみたり、青い色を愛でてみたり、その厚みや重さを手で体感するなどしていました。

流石に開いて中身を見るという、素直な気持ちにはなれませんでした。

何かしら中身を見ないという事が、子供ながらに親に反発する証であった訳です。

 『だめだから。

、と私は思います。そう思うと溜息が出ます。

折角の人生の指針がもろくも崩れ去った今、何を心の拠り所にしようかとさえ思うのでした。

 父にこんな事を言われた、こんな状態だったと親しい友人に話したり、

憂さ晴らしに公園に出かけ家を留守にしてみたり。    

多分、図書館で本を読んでも気が晴れなかった事でしょう。

 そんなある日、学校でだったでしょうか、おー君に話しかけられました。

「Junさん、化学者になりたいんだって?」

おー君は人から聞いたという事でした。

 彼の話によると、

この地方では、1人くらいしか科学者になれない。

実は僕も科学者になりたいと思っている。

この地方では2人が科学者になるのは無理だから、Junさんの方で、化学者になるの止めてくれないか。

僕の為に。

というような内容でした。

 私はまた地方なのか、と思って出だしを聞いていましたが、途中から又おー君特有の自分勝手な物言いになるので、うんざりしてしまいました。腹が立ったと言ってよいでしょう。

あ、そう、どうだっていいわ、科学者なんて。

私がそう言うと、おー君は分かってもらえたという感じで喜んでいました。

「どうせ家はお金がないから化学者になんてなれないのよ。心配しなくていいわ。馬鹿々々しい。

そう言うと私はさっさとおー君から離れて歩き出すのでした。    

 


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