マルのじれんま 47

　しんみりとお互いの話をしながら、何時しか紫苑さんの方がマルの話の聞き役に回っていました。

「そうですか、奥様がね。」

紫苑さんは円萬さんが結婚していた事を初めて聞いたのでした。

『彼にそんな過去があったとは。死に別れと生き別れ、生死の差はあっても共に妻との別れが有った事に違いは無い。』

こう紫苑さんも思うと、彼は親身になってマルの話に耳を傾けるのでした。

　「また奥様にお目にかかりたいとは思われないのですか？。」

あなたも大層な愛妻家だった様子ですが。紫苑さんはマルに問い掛けました。私と違って、あなたは彼女に合う機会を設けることが出来るでしょう。こう語る紫苑さんの顔を見詰め、寂しげに微笑んだマルは首を振りました。

「いや、」

いや、またあの当時の感情や夫婦2人の状態に陥りそうな気がして…。マルは静かに言葉を続けました。何だか彼女との仲は燃え尽きた感じがしています。そう言うと、マルは心底疲れた感じになりました。

「当時を思うと、綿のような心地がします。」

彼は言葉を切りました。紫苑さんはそんなマルの横顔を優しそうな面差しで眺め、言葉を掛けました。

「それでも、愛する人に出会えて幸福ですよ。」

今日の思い出を振り返ってみる

梅雨空に思う　３

　その後、彼等は約束、約束、の２文字の言葉だけを口にするだけで、兎に角私と約束はしたという事で話を切り上げてしまいました。　そこで私は彼等姉弟の１人が口を滑らせた「達成」する様......

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　梅雨らしいお湿りが来た週末でした。「今日の思い出」は１日遅れにメールボックスで目にします。日付を見るとこれは昨年６月１３日の物です。今日は2日遅れですね。

　私は昨年の思い出を読みながら、翌年である今年がこの様な新型コロナ騒ぎになっているとは、当然の事ですが露知らず、ましてや想像だにしていませんでした。今になって考えてみると、私はありがたい事に約束反古の話もあった事を思い出します。「その線かな」と、思います。その線が無難であると現在の私も感じます。当時反古の件も申し出て頂いていて、私は本当に良かったなと、現在思っています。

　という事で、あの約束は無かった事に、私の方でも了承しました。😊