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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

アメコミ風SF和製コミック

2011年11月19日 | コミック界を語る
「コブラ」から
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昔 買い集めていた18巻の初期集英社版コミックを一気読み、いや読み返しました。

所蔵本は、その80~85年『コブラ』18巻 (B6判 3000ページ強 … エピソード「リターン・コブラ」含む)、95年『ザ・サイコガン』(2冊 B5判フルカラー 400ページ弱)、2000年『聖なる騎士伝説』(集英社文庫コミック版 第12巻 300ページ強 …「リターン・コブラ」含む)。
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ウィキペディアから__『コブラ』(COBRA THE SPACE PIRATE) は寺沢武一の漫画作品。 および作品内の主人公の名称 (※追加1へ)。
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一人で (?) これだけの作品を書くのは、大変な労力でょう。 調べものをし、ストーリーを書き、絵を書き、しかも細部までも丁寧な書き込み方をした痛快 娯楽 傑作SFアクションものです。

ただ マンガであるだけに現実離れした所もいっぱいありますが … それに目くじらを立てていたら楽しめません。 でも やっぱり少しはコメントしてみたい __

1) 冒頭 主人公が記憶を取り戻し、普通のサラリーマンから一匹狼の宇宙海賊・コブラに戻る辺りは、90年のSF映画「トータル・リコール」(66年のフィリップ・K・ディック原作) を連想させる。

2) 寺沢武一が手塚治虫に師事した経歴から推測すると、その影響を受けたのか 手塚マンガのアイディア流用が2つほど見られる。

3) 『聖なる騎士伝説』(第12巻) の中で、米映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「スペース・ヴァンパイアー」からのアイディア流用が見られる。

4) 本人は不死身の人間という設定で、金属製のアンドロイド (人造人間) をも素手で打ち破ったり 自動車を殴り上げてひっくり返すほどの怪力の持ち主で、何度倒されても重傷も負わず、死にもしない並外れた体力というのは、やっぱりおかしい。 普通の人間なら生身と金属ブツとは全く勝負にならないが …

5) 左腕サイコガンのエネルギー源は精神力ということになっているが、宇宙船に大穴を幾つも開けるには相当なエネルギーが必要なはずで、1人の人間の持つ生物エネルギーはそんなに大きくはないと想像するのだが …

6) そのサイコガンは一度寿命を迎え 交換するが、普通の銃身や砲身は何度か使うと熱で変形摩耗して使い物にならなくなり、頻繁に交換が必要になる筈。 サイコガンは一度交換すると永久に使えるというのも …

7) 金髪の主人公がいつも葉巻をくわえているのは、作者の趣味を写している? この辺りも日本風ではなく、アメコミの雰囲気? ただ 主人公がハンサム・ボーイでなく、三枚目風はユニーク (但し 顔を変えてサラリーマンとなる前世の宇宙海賊の顔はハンサムに描かれている)。

8) 主人公のリスト・バンドに「危険予知センサー」が仕掛けてあり、殺傷兵器や爆弾を持つ者が近づくと チクチク腕を刺激して危険を知らせる __ などという超便利なものが薄いバンドに内蔵されてるなんて、どんな魔法で作ったの? 正にマンガでなきゃ あり得ないハイテク製品。

9) お仲間勇士の2人について __ 海賊船長が大きくうなると回りの敵が全て凍り付くとか、長剣を持つ幻戦士がその長剣を真っ直ぐ両手で空に突き上げると竜巻が起こる __ などは、理屈抜きの面白さかそれとも 荒唐無稽の類いか。 戦士の例は、マンガ『赤胴鈴之助』の "真空切り" そのものでは?__ 真空切りとは、(私の記憶では) 敵に囲まれ窮地に陥ったヒーローが、大声で「うーやーたーっ」と発しながら片手を真横にして大きく振ると、たちまちにして つむじ風がゴーッと起こり、(季節に関係なく毎度) 大量の枯れ葉が舞い散って 囲んでいた何人もの敵が全て「む・む・む・・・」とうめきながら倒れて気絶してしまうという "オソロシイ必殺技" だ。

10) 悪役軍曹が昇級して中尉となっている設定があるが、軍隊内の階級で 一般からの徴兵軍人の最高位は軍曹で、それ以上は昇級しない。 兵学校を卒業した軍人だけが、少尉から任官し階級を駆け上がることができる。 だから 軍曹は中尉に昇級はしない。 大体 理論を学んでいない並の徴兵軍人が将軍になって、軍を指揮するなど考えられない。 そんなに才能があったら、奨学金を使ってでも兵学校に入学しているだろう (しかし 第1次大戦で志願兵で伍長どまりだったヒトラー首相兼大統領が第2次大戦で将軍達を指揮したのはどう解釈すべきか … )。

11) エピソード毎に登場するヒロインは全て若く、スタイル抜群、しかも露出度が大きい __ 早くいうと、男性読者サービスのため (?) 身に殆ど何も着けず、裸に近いコスチュームでヌードも多い __ 不自然ではあるが エロチックさは全くない。 顔もあまり大きな違いがない美人顔ばかりで、ブスイ女は 全く登場しない。 また 主人公がそれらヒロインに迫ると、いつもすぐにキスに応じるというのも米映画風?
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原作者の寺沢は小学校の時に見たSF映画『バーバレラ』のファッションが斬新かつ印象的だったことを語っている。 なお、この映画に登場するバーバレラ役のジェーン・フォンダは、ロイヤル三姉妹の長女のジェーン・ロイヤルのモデルでもある (ウィキから)。
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12) 相棒役のアンドロイド レディがそっくりさんと対決する場面では、途中まで互角の勝負だったのがなぜか 急展開し、急にレディが相手を打ち負かしてしまうのはどういうことか? どう考えても合点がいかない。 ページ切れ前の作者都合による展開なのか? もっとストーリーを練り上げて少しは納得がいく筋立てにして欲しかった。

13) 各エピソードの終わりがあっけないものが多く、エッ これで終わりなの?と何だか物足りない気分になる。 (ステーキを食べ終わって水だけみたいで …) 威勢良く終わるとか、回りのお仲間から派手に賞賛されるとか、笑える落ちがあるとか … もうちっとなぁ 工夫してもいいのでは。
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__ とまぁ おかしな設定は一杯ありますが、それがマンガだからでしょう。 あんまり現実的すぎると、夢がなくなってしまうかも。

だからか、SF小説やSFマンガはその辺りの、現実と想像の線引きが難しい。 あんまりリアリティを強調する (※A) とSFっぽくなくなり、想像を強調し過ぎる (※B) と現実離れする。 ※Aの代表は小松左京の、※Bの代表は星新一のSF小説でしょうか。

SFマンガでは、※Aの代表は「エイトマン」、※Bの代表は「鉄腕アトム」か。 この『コブラ』は、描写は※Aだが、ストーリーの内容は※Bです。

今日はここまでです。


※追加1_ 左腕にサイコガンを持つ一匹狼の宇宙海賊・コブラの活躍を、アメコミ風タッチで描く痛快 SF アクション (スペースオペラ)。

『週刊少年ジャンプ』で1978年から84年にかけて断続的に連載され、1982年には映画化、TV アニメ化されるなど人気を得た。 その後も『スーパージャンプ』、『コミックフラッパー』と掲載誌を変えながら、断続的にではあるが継続している。

78~84年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載されたエピソードが、ジャンプ・コミックス全18巻で単行本化され、今は廃版。

以上

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