シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

哀愁調で終わる「ゴッドアーム」… 尻切れの印象

2018年08月31日 | コミック界を語る
コミック断片は、左から「ゴッドアーム」5巻中1巻目表紙から、5巻目60ページの破壊され吹き飛ぶゴッドアームの片腕、中央は5巻目86ページの巨大大仏と対峙する場面、右上は2巻目176ページの接吻の場面で冷たい唇に驚くヒロイン、右下は5巻目最終場面近くの196ページ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
桑田次郎 (1935〜) が描く SF ものコミックの結末は、またも哀愁あるものでした。 どうにも彼は明るく終わるというものを描くのが苦手なのかもと思ってしまいます。

しかし SF ものコミックというのはそういうのが定番なのかもしれません __ 確か『鉄腕アトム』も最後は、人類を救うため 自ら太陽に向かって死んでいくというものだったと記憶しています (実は アトムの最終回というのは幾つもあるらしいですね)。

桑田の最大のヒット作品『エイトマン』も最後は楽しいものではありません。 強すぎる SF ヒーローは、悪を倒して自ら表舞台から消える運命にあるのかもしれません。 そうでないと いつまでも更にもっと強力な悪役を登場させなくてはならず、原作者も頭をひねるのに疲れてしまうのかも。

英推理小説『シャーロック・ホームズ』シリーズも、創作に飽きた (?) 作者は主人公を滝壺に落として死ぬところで終わらせています。 しかし 読者からの強い要望で、滝壺に落ちる途中 木に引っかかって生き延びるという話しにして復活させていますね。
………………………………………………………
奈良の大仏が動き出して後楽園球場でゴッド・アームと対決するシーン (冒頭コミック断片) では、その荒唐無稽な筋立てには笑ってしまいますね。 全身が鋳物でできた金属製の大仏をどうやって動かすのか、コミックでは宇宙人が絡んでいて “邪悪なエネルギー” という またも荒唐無稽な表現になっていますが __ 最後までこのあたりの説明は不足していると感じます。

また 私が気づいた中では それまでの桑田作品と違う表現に、少年向けコミックにしては珍しく 主人公とヒロインとの “接吻シーン” が何度か出てくることです。 時代がそうした表現を可能にしたんですね。

それと、何度か主人公は危機に陥って片腕を吹き飛ばされたりしますが (冒頭コミック断片)、不思議なことにすぐに全体が再生されるという不死身のパターンには、あまり納得が行かない思いがしました。
………………………………………………………
私は『ゴッド・アーム』全巻を読み終わって、結末が少し物足りない印象を抱きました。 悪漢が徹底的に打ちのめされず、姿を消して主人公の勝利が語られるのですが、あまりにあっけないです。

あれでは、ある意味 欲求不満になる読者が多かったんじゃないでしょうか。 私の推理では、いつまでも主人公と悪漢との戦いが続き、読者に飽きられてしまい (人気が落ちて?)、出版編集部から早く終了するような督促が出たのかもしれません。

それとも、原作者か作画者の都合で早く終了させたかったのかもしれません。 しかし こういうこと (真相) はなかなか分からないものです。 そうした事情は普通漏れてはこないですから。 会社人事と同じで、なんでそうなるのかなんて永遠に分からないでしょう。
………………………………………………………
今 桑田本人も八十路 (やそじ) を超え、もう長編シリーズを描くことは難しいように想像します。 これが最後の長編シリーズものでしょう。 コミック作家は、締め切りに追われ、机に縛り付けられて 夜更かしするような人が多いせいか、短命な人が多いと勝手に想像しますが (?)、桑田は珍しく長寿命ですね。

高速で動き回るヒーローを描かせては第一人者と思われる桑田も『エイトマン』終了前の拳銃不法所持事件を起こさなかったとしたら、コミック界でもっと名声が上がっていたとしても不思議ではありません。 私の小学校・中学校時代に 変身ヒーローコミックもので大いに楽しませてくれたことには感謝です。

まだまだ読んでない桑田作品がいっぱいありますから、いずれ それらも読んでみたいものですね。 その節には またこのブログで紹介します。

今日はここまでです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。