シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

荒唐無稽な「ゴッドアーム」… それでいいのかも

2018年08月29日 | コミック界を語る
コミック断片は、左から「ゴッドアーム」5巻中1巻目扉絵から、1巻目64ページのサイボーグ・コング、3巻目9ページのヒロイン。 右上は4巻目135ページのゴッドアーム切り離された腕に捕まった悪人、右下は4巻目表紙の一部。
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桑田次郎 (1935〜) が、梶原一騎 (1936〜87) と組んで1年半近く 961ページ 58話にわたって書いた長編コミックシリーズ「ゴッドアーム」は、桑田の最後の長編 SF ものでしょう。

今まで未読でしたが、連載されてから40年も経ってから読みました、というより 見 ま し た という方が実際に近いですね。 というのは、主人公はスーパー・サイボーグに変身後 殆ど喋らないのです。 背景説明は周りの人物が喋ります。
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『ゴッド・アーム』は、『週刊少年サンデー』(小学館) に1976年18号から1977年29号まで連載された日本の漫画作品、およびそれに登場する主人公の名前。 原作は梶原一騎、作画は桑田次郎。
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桑田は『週刊少年マガジン』(講談社) や『週刊少年キング』(少年画報社) での発表が多かったですから、『週刊少年サンデー』では初めてではなかったでしょうか?

桑田は従来 SF 作家の平井和正 (1938〜2015) と組んで『エイトマン』など 多くの SF コミックを世に送り出して来ましたが、スポーツ物を得意とした梶原と初めて組んだ作品ではないかと思います。 その成果は、物語冒頭の全世界カラテ選手権の作画によく描かれています。
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1巻目冒頭紹介文から __ 香港において開催された全世界カラテ選手権オープン・トーナメント … 世界42カ国から実に150人以上が参加した世界最大の大会だ。 試合の様子はもちろん全世界中継。 注目されるこの大会にて、日本代表の東郷日出人が圧勝に次ぐ圧勝で快進撃していた!
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その全世界カラテ選手権試合中に悪漢の銃弾に倒れ、一度死んでしまった主人公を、父親の科学者が特殊な方法で蘇生させ __ というあたりは『エイトマン』にも似た筋書きです。 スーパーヒーローを登場させるには、並の人間では限界がありますから、一度悲劇的に命を絶たせた後 再生させてスーパー主人公とする筋書きは多くの活劇もので良く使われる手法です。
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__ しかし ヨーロッパ代表との試合開始直後、何者かに狙撃され、全世界に中継される試合場の上で絶命してしまう。 ゴッド・アーム (神の腕) と讃えられ、多くのファンに惜しまれながら、彼は弔われた … かに見えた。 しかし 彼・東郷日出人は、彼の父であり天才科学者の直樹博士の手によって、超人ゴッド・アームとして蘇ったのだ!
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その後は キングコングもどきの巨大サイバー・ゴリラが悪役の一味の手で登場し (冒頭左から2つ目)、映画『キング・コング』よろしく ヒロインを片手で掴んで逃走するなど、映画をなぞっている感じがモロに出ています。 桑田はこの20年ほど前、『月光仮面』(1960年頃) シリーズでも キング・コングもどきの巨大ゴリラ マンモス・コングを描いてましたね。

この『ゴッド・アーム』を描いたのは41、42歳の頃ですから、以前のヒット作『エイトマン』から10年以上経っており、画風はかなり変化しています。 特にヒロイン (冒頭左から3つ目) は劇画調に近い風貌です。
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私は、いつもヒーローが空を飛ぶとき その姿勢制御がどうなっているのか気になります。 重力に反して空を上下左右 自由に飛ぶには、姿勢制御・加速するエネルギー源が必要なのですが、コミックものではこれらを全く無視しています。

特に 本体から切り離された片手が自由に空を飛び、悪漢を捕まえて飛び去るシーン (冒頭右上) ですが、これはコミックか CG でしか描けない世界ですね。 ターゲットを認識する眼、捕捉する指を自在に動かす動力、飛翔するエネルギーが必要なのですが __

4巻目では悪漢の策略により 動物の身長が 10倍化も巨大化して人間を襲う展開があるのですが、ここでも重力を無視した描き方になります。 身長 10倍となると 体積では 1000倍にもなり、体重 100kg の動物なら 1000倍の 100トンにもなってしまい、従来の皮膚・骨格では体重を支え切れないと想像します。

よく金属製の巨大ロボットを製作するマニアがいますが、身長 5m でも大男の 2.5倍、体積 15〜16倍にもなり、例えば 2m で 100kg だった体重が 1.5トン〜1.6トンにもなり、2m 時の厚みの金属板では支え切れないことが分かるはずです。

金属板を厚くすれば重量が増し、それを支える骨格や全体を動かす動力源も大きくなり、更に重量が増しますから軽快な動きがどんどん損なわれます。 ホンダのアシモ (身長 130cm) や、ソニーの QRIO (身長 58cm) など 人間型ロボットが身長 1.5m 以下が多いのは、それら (簡単な骨格・動力源) を考慮しているからでしょう。

話しを元に戻しますと、物理学を無視した荒唐無稽のコミックそのものですね。 だから面白いのでしょう。 現実に沿って細かく描くと かえって面白みがなくなってしまうのでしょうね。
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サイボーグ (cyborg) は、サイバネティック・オーガニズム (Cybernetic Organism) の略で、広義の意味では生命体 (organ) と自動制御系の技術 (cybernetic) を融合させたものを指す。 具体例として、人工臓器などの人工物を身体に埋め込むなど、身体の機能を電子機器をはじめとした人工物に代替させたものがある。 人間や動物が身体機能の補助や強化を行った場合をいうことが多い (ウィキペディア)。
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今日はここまでです。

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