シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

革靴姿しか描かなかった桑田次郎

2020年07月14日 | コミック界を語る
上 (無人島に流れ着いた場面) とその右 (メキシコ人との設定?) は短編「大魔境」から。 下左はアクセルを踏む場面 (8マン「怪人ゲーレン」から)、その右は 校内で番長たちにどつかれる場面 (「エリート」から)。
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桑田次郎コミックを見ていると、スポーツシューズを描いたものに遭遇しません。

彼がスポ根ものを描かなかったせいもありますが、無人島やジャングルで “革靴” しか履かないかと考えると、現実ではまずありえません。 学園校内での生徒が履く履物も、運動靴ではなく “革靴” でした (「エリート」)。

また 無人島 (「大魔境」) やジャングル (「デス・ハンター」) を放浪する人物は 恐らくボロボロの衣服のはずですが、いつまでもオフィスから抜け出てきたような綺麗なシャツ姿です。 都内路上で眠る浮浪者も綺麗な靴を履き、綺麗なシャツ・ズボン姿です。

この辺りは現実感に乏しい “作り物に近い表現” でしたね。 桑田次郎はスマートでカッコイイ姿を描いたらピカイチですが、”泥臭い汚れ姿” は得意ではなかったようです。
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また 顔立ちが均一化して、欧米人・アジア人を描き分ける事も得意ではありませんでした (冒頭右の上)。 ほぼ全て日本人風に感じます (これは漫画家の個性ですから こういうものだとして見る・読むしかありません)。

他に桑田次郎が描かなかったものに、群衆があります。 また 緻密な都市とか、街の家並みなども出てきません。 恐らく得意でなかったのでしょう。

秘密兵器、未来の人工頭脳、ハイテク機器などのデザインも “ワンパターン” で、丸い円盤状の周囲に 丸電球のようなものが十個くらい くっついているものが多かったですね。



左は8マンと巨大な電子頭脳 (8マン「超人サイバー」から)、中央は反重力装置 (8マン「復讐鬼ゴースト」から)。 右は電子頭脳 (「少年ジュピター」から)。
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傑作だと思ったのはヘリコプターの操縦で、自動車のハンドルで操縦してる様子がよく描かれていました。 自動車のアクセルペダルもブレーキペダルとおんなじでしたから (冒頭左下)、桑田次郎は車を運転しなかったのではないかと想像します。
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__ と 色々いいだすとキリがありません。 漫画家が全ての事象を知悉していることはありませんから、知らない分野の絵は多少いい加減になるのは避けられません。 しかしその描写の適当さの度合いが高くなると、現実感が失われてきます。

逆に あんまり現実感を追求した緻密な絵ばかり描いていると、見る方も疲れてきます。 その加減の度合いは微妙ですから、漫画家にまかせるしかありません。
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漫画界の大御所 手塚治虫は群衆・緻密な都市・街の家並みなどは得意でした。 しかし登場人物の絵は4等身くらいが多く、幼児のような、或いはディズニー・アニメのような デフォルメされた丸い絵姿で、人物表現は現実味が乏しかったですね。

これと対照的な絵がさいとうたかおの “劇画” で、全てにわたって緻密ともいえる描き方でした。 女性は豊満・むっちり型が殆どで、痩せた女性は描きませんでした。 逆に桑田次郎のは痩せた バービー人形のような女性ばかりでした。 これも個性の1つですね。

今日はここまでです。

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