秋の夕暮れには 赤トンボがよく似合う
一匹の赤トンボが 羽を休めている
夕焼けが 透明な羽も 赤く染めている
秋色の深まりとともに 過去が微笑み
遠い遠い 昔に連れて いってくれる
・・・・・
兄と妹は 時間と夕飯を 忘れて
赤トンボを 追いかけ 野原を駆けた
駆けても 駆けても 追いつけない
妹が転び すりむいた白い脛から
真っ赤な血が 滲み出て 流れた
妹は 涙をじっと 抑えて声は出さない
兄は 脛を草で抑えて また二人で駆ける
赤トンボは 空中で止まっているのに
いつまでも 追いつけない
遠くで お母さんの声が聞こえた
「 夕飯は カレーライスよ 」
・・・・・
赤トンボは 前ぶれもなく 飛び立ち
夕暮れの 紅葉の中に 紛れて
夕焼け空の中に 吸い込まれた
赤トンボが 去った 野原には
白いすすきが 夕日を浴びて
淋しそうに 揺れていた
・・・・・
笠原 道夫
一匹の赤トンボが 羽を休めている
夕焼けが 透明な羽も 赤く染めている
秋色の深まりとともに 過去が微笑み
遠い遠い 昔に連れて いってくれる
・・・・・
兄と妹は 時間と夕飯を 忘れて
赤トンボを 追いかけ 野原を駆けた
駆けても 駆けても 追いつけない
妹が転び すりむいた白い脛から
真っ赤な血が 滲み出て 流れた
妹は 涙をじっと 抑えて声は出さない
兄は 脛を草で抑えて また二人で駆ける
赤トンボは 空中で止まっているのに
いつまでも 追いつけない
遠くで お母さんの声が聞こえた
「 夕飯は カレーライスよ 」
・・・・・
赤トンボは 前ぶれもなく 飛び立ち
夕暮れの 紅葉の中に 紛れて
夕焼け空の中に 吸い込まれた
赤トンボが 去った 野原には
白いすすきが 夕日を浴びて
淋しそうに 揺れていた
・・・・・
笠原 道夫
不肖にとっての赤とんぼ、先ず浮かんだのが
加藤隼戦闘隊の「荒鷲の歌」でした。
来るなら来てみろ赤とんぼ♪
戦中世代でもないのに・・・・
升空
「脛もう痛うないんか?」
「うん・・」
「今日は絶対にとったるからな」
「うん、絶対やで!」
真っ赤なほっぺを輝かせて妹は嬉しそうにうなずく
昨日追っかけて行ったとき
夕日に白くかがやいていたすすきのそばの
青い露草に赤とんぼが とまっていた
「そうや 兄ちゃん寝転んどくさかいあんたも動かんとじっとしとり」
「なんでやの」
「ええからじっとしとり・・」
そう言いながら兄は妹から少し離れて 野原に寝転んだ
妹は言われたように身を堅くしてうつ伏せになった
空が大きいな・・兄はなんだか空を独り占めしているような気になった
(お願いやで・・かわいい妹のために)
心の中で祈った
少しづつ西の空が赤くそまり始めた頃だった
「ほ・・ら・・」
小さな小さな声で兄が言った
「あ・・」
声が出そうになるのを妹は手でおさえた
兄の靴の先にとまっていたよ 赤とんぼ
靴の先で こきざみに動く赤とんぼを二人はじっとみていた
透き通った羽が夕日にきらきら輝いていた
「お兄ちゃ・・ん きれいやね・・」
小さな小さな声で言った
二人の顔も夕日に赤く輝いている
遠くでお母さんの声が聞こえた
「夕飯は 炊き込みご飯よ」
・・・・
赤とんぼはその声に驚いたのか すうっと飛んでいった
二人はもう追っかけなかった
満足していた
赤とんぼは夕焼けの空の中へ飛んで行って見えなくなった
つかのまの赤とんぼの演出を
二人はなんだか夢を見ていたような
そんな気持ちになった
赤とんぼが去った野原には
白いすすきが 夕日を浴びて
嬉しそうに 揺れていた
・・・
ありがとうございました。
この前ある方に柿をいただきました。いまこの平凡?なテーマで書いています。みくさんもぜひ書いてください。
よろしく お願いいたします。
赤とんぼ・・
なんだか情景が浮かんで来て、夕食の準備もせずに
思いつくままに書いてみました。
>兄は 脛を草で抑えて また二人で駆ける
思わず、くすっと笑ってしまったのはこの部分です。
草で・・って・・その草ってもしかしたらよもぎ・・ですか?(笑)
同じ世代を生きて来た感がありほのぼのしました。
お若い方には、おそらく分からないでしょうからね。
柿・・がんばって下さいね、楽しみにしています。
今日出かけた帰りに、近所の団地に柿がなっていたので
思わずシャッターを押しました。
笠原さんに刺激されて・・赤とんぼ書いてみました。
お時間のあるときにでも見に来て下さいね。