もう一つの世界!

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新しい世界に会えますよ!
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水煙の美しさ・・・

2005年11月19日 | 団塊世代
みなさんは五重の塔や多宝塔の上に
アンテナのようなものが
立っているのを見たことがあるでしょう。
これは「相輪」と言って、地と天を結ぶ掛け橋のようなものです。
九つの輪の上に大変美しい「透かし彫り」があります
これを水煙といいます
塔を落雷や火災から守る水をイメージしたものですが

奈良 薬師寺東塔の水煙は 天下一品の美しさです

和辻哲郎は「古寺巡礼」の中でこんな風に表現しています

わたくしたちは金堂と東院堂との間の草原に立って、双眼鏡でこの塔の相輪を見上げた。塔の高さと実によく釣合ったこの相輪の頂上には、美しい水煙が、塔全体の調和をここに集めたかのように、かろやかに、しかも千鈞の重味をもって掛っている。その水煙に透し彫られている天人がまた言語に絶して美しい。真逆様に身を翻した半裸の女体の、微妙なふくよかな肉づけ、美しい柔かなうねり方。その円々とした、しかも細やかな腰や大腿にまとう薄い衣の、柔艶を極めたなびき方。——しかしそれは双眼鏡を以てしても幽かにしか解らない高いところに掛っている。だから詳しい観察を求めるものはどうしても塔の一階に置かれた石膏の模作に引きつけられざるを得ない。模作で眺めても、天人の体が水煙と融け合った微妙な装飾文様は、これほどのことまでわれわれの祖先には出来たのかと思うほど美しい ・・

今度、見る機会があれば是非、地と天との掛け橋も
じっくり観察する価値はありそうですね
・・・・・・

2005年11月19日
笠原 道夫
コメント (2)
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