*『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』著者 雁屋 哲 を複数回に分け紹介します。6回目の紹介
美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋 哲
何度でも言おう。
「今の福島の環境なら、鼻血が出る人はいる」
これは”風評”ではない。”事実”である。
2年に及ぶ取材をへて著者がたどりついた結論はこうだ。
「福島の人よ、福島から逃げる勇気を持って下さい」
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**『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』著書の紹介
大臣が「ゴーストタウン」といった町
私がお会いしたときに、根本さんは75歳でした。とっくに現役を退いてもいい年齢です。その年齢で、原発事故のあとの試験田をご自分で栽培なさる。
大変じゃありませんかと私が尋ねると、根本さんはさらりと、「まあな、俺の人生の仕事でしょ」とおっしゃいました。
なんという、凄い言葉だ。
私も、こんなことをいってみたいものだと、しみじみ思いました。
根本さんには、その年の秋にも、この試験栽培の結果を伺いに上がりました。
根本さんの家にお邪魔したあと、私たちは小高の町を通りました。
私は今までこんな異様な光景を見たことがありません。
地震の影響で損壊した家は数軒ありましたが、ほかは外見上なんともない家が道の両側に立ち並んでいます。整ったきれいな町です。
しかし、人が一人もいないのです。
ある大臣が、小高を見て、「死の町、ゴーストタウンだ」といったのが問題になり、「福島の人を傷つけた」と新聞やテレビで叩かれ、ついに辞職を余儀なくされました。
私はその大臣がどんな人なのか知りませんが、その大臣の言葉は真実を語っていると思いました。
これはまさにゴーストタウンだ。
そうとしか、いいようがない。これをなんと表現すればいいのか。
新聞やテレビはこの実状を伝えたのでしょうか。
一つの町がゴーストタウンになっている実状を伝えずに、隠すことが福島の人たちのためだというのでしょうか。
福島の負の部分を押し隠すことは、かえって福島の人たちのためにならないと私は思います。
どうやら、福島の実状を語ることはタブーなのです。
福島を語るときには、何にも問題はない、上手く行っていると美化して語らないと、大臣でもクビになるのです。
車も通らないのに、信号機だけが赤、青、黄と点滅し続ける。
実に不気味な光景でした。
※続き『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』は、10/21(水)22:00に投稿予定です。