*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 から何度かに分けて紹介します。19回目の紹介
現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!
「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」
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(カスタマーレビュー)から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)
読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。
そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。
「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。
この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。
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★過去に紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1回~16回までのリンク一覧あり
【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※19回目の紹介
-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第4章 落選議員回り」 を紹介-
前回の話:【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※18回目の紹介
【登場人物】
小島 厳 日本電力連盟常務理事 関東電力総務部長を経て日本電力連盟に出向
「今度、うちの先生の会がありますから、よろしく。できる範囲でいいですから・・・」
こう言われて封筒を預けられる。なかには通し番号付きのパーティー券の束と振り込み用紙が入っている、という次第だ。ひどいときには、議員本人のパーティー券ではなく、所属する派閥の長のパーティー券が入っている、ということもあった。
もともと国会議員を訪問している趣旨は電力業界や経済界からのお願いことなので、むげに断ることはできない。通し番号付きで、振り込みの際にその番号を振り込み名義人の頭に入力することが求められており、国会議員側からすれば、誰が何枚パーティー券を買ったか一目瞭然なのである。
伝統的には、長年、日本経済団体連盟は、奉加帳方式と呼ばれる献金システムをとっていた。
これは、東西冷戦下で資本主義体制を維持するという大儀のもと、個別の会社と政治との間に一定の距離を保ちつつ、保守党単独政権を支えるために行われた。連盟の会長会社は何億円、副会長会社は何億円、会員会社は資本金規模や売上高に応じて一社平均何千万円というふうに、あたかも奉加帳を回すように集金して、これを保守党の政治資金管理団体に上納するものだった。
これ自体、株主の立場からすれば、株主の資金を経営陣が勝手に特定の政党に献金するものであり、背任行為となる可能性もあった。また、憲法上の政治活動の自由との関係でも論争となっていた。
しかし最高裁判所は、八幡製鉄所政治献金事件の判決において、法人の政治活動の自由は憲法上保障されている、と判示し、この論争に終止符を打った。最高裁は資本主義体制の維持に一役買ったのだ。
この仕組みが大きく変わることになったのが、ロッキード事件だ。
政治とカネが大きくクローズアップされた事件を機に、当時の日本経済団体連盟の蔵田会長が、「日本経済団体連盟は政治献金の斡旋はやめる」と広言し、社会から喝采を浴びたのである。
蔵田の巧妙なところは、日本経済団体連盟としては政治献金の廃止という大見得を切る一方、関東電力としては、会長、社長、役員、部長、課長に至るまで、社内のポジションに応じてポケットマネーとして集金し、関東電力からの政治献金をロッキード事件以前と変わることなく続けた点である。
こうして電力のみならず、銀行、証券、ゼネコンといった一流企業から、パチンコ業界やサラ金業界に至るまで、政府と密接な関係にある業種は、このやり方に倣うことになった。これにより、社会に対しては、政治家と経済界とが距離を保っているように見せつつ、実態としては、個別の会社と保守党とが、より密接に、より不透明な形で結びつきを強めていくことになった。
続き>>【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※20回目の紹介