「貞操逆転世界のたばこ事情」 園田那乃多

　平野和とその友人たちはみんな見た目は悪くないのに、大学生になっても彼女がいない。幼女趣味とか二次元志向とかのせいかもしれない。男３人で麻雀をやって、ベランダで煙草を吸って、暇が出来るとパチンコに行く。
　ある日、和が授業前に大学横のコンビニでタバコを吸ってから教室に行くとなんか様子が違う。今日は女子学生が多い気がする。喫煙所とかパチ屋の客や店員の男女比率もおかしいし、なんとなく貞操観念が逆転してしまった気がするのだ。もしかして、貞操逆転世界でハーレムが来たかとテンションを上げるのだが……。

　電子タバコが普及している以外は自分たちの大学時代かと思いました。今も大学生って、ヤニとギャンブルにまみれた大学生活なんでしょうか？
　本当に別世界に紛れ込んだのかということはあまり重要でなく、なんとなくヘンな女性にばかりアプローチされる男子大学生の日常です。別に貞操逆転世界という必要は無かった気もしますね。普通にクズな大学生の、喫煙所から始まる数奇な恋愛事情でもいいじゃないですか。

【貞操逆転世界のたばこ事情 １本目～愛の重さはタールに比例する？】【園田那乃多】【秋々あき】【オーバーラップ文庫】【欲望に忠実で健全な青春物語】

「ちゃんと好きって言える子無双」 七菜なな

『ラブコメの必勝法は、真っすぐ、あざとく』

　澄江和泉は財閥の御曹司だが、出来損ないという評価に家を出てひとり暮らしだ。
　学園のアイドル、天崎雨音は二人きりになると和泉に甘えたがる。
　元・許嫁の生徒会長、白菊白亜はなにかと和泉にかまいたがる。
　同じ部活の後輩、春日波留はなにかと毒舌を吐くが和泉の言動にちょろく転がされてしまう。
　でも、そんな彼女らは決して彼に自分の気持ちを伝えない。恋心を寄せてはいても最後の一歩が踏み出せない。行動で察して欲しいのだ。けれど、そんなところに現れた転校生、七瀬七緒ははっきり正面から言い切った。「好きです。付き合ってください」と。
　しかし、和泉は普段から「可愛い子猫ちゃん」「女がみんな惚れちまうだろ？」とちゃらいことばかり言っているが、実はその性根は古くさかった。七緒の告白に「男女の交際っていうのは、ちゃんとお互いを知って、気持ちが通じ合った相手と始めるべきだろ？」などと戸惑うばかり。でも、七緒はそれでもひたすら押しまくった……。

　初っぱなでヒロインレースは幕を閉じ、あとは残敵掃討戦みたいなペースで負けヒロインが追い立てまくられます。そういう話です。
　うん。じれったいのはよくないね。

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