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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「マリア様がみてる/涼風さつさつ」 今野緒雪 14

2009-04-15 | 学園小説(不思議や超科学なし)
言葉で言わなくてもわかり合えるという仲、というのも確かにあるけれど、言葉にできるときは横着しないで口に出して言った方がいい。 

 新学期スタート。学園祭シーズン目前となり、山百合会と花寺学院生徒会の顔合わせがおこなわれる。そこで明らかになった花寺生徒会長とは……。

 タヌキに似た愛嬌のある顔、平凡なだけが取り柄と自認していた祐巳にもいつしか信奉者が出現し、実は下級生には人気があるらしいことが明らかになります。立場が人を作るってところはあるのかもしれません。祥子さまの操縦も熟達してるし、最初の頃の些細なことで一喜一憂しているのも可愛かったけれど、“良いコンビ”になっているのを見るのも良いもんです。
 蔦子さんはあいかわらず。収めくれる人がいるうちに、収めた方がいいのよ。事が大きくなったら誰が出ていったって収拾つかなくなるんだから……ともはや火消しの蔦子さんとなっております。

【マリア様がみてる】【涼風さつさつ】 【今野緒雪】【学園祭】【誘拐】【パンダ探偵】
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「オオカミさんとマッチ売りじゃないけれど不幸な少女」 沖田雅

2009-04-14 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 一緒に本屋へ行った長男に「これ買ってないよ」と言われ新刊なのかと購入。実はかなり前に出たやつでしたが、確かに買ってない。親父の蔵書を把握しているのか、息子よ。

「いかさまはばれなければいかさまではないんだよ?」
 頭取さんの言葉。

 御伽学園学生相互扶助協会、通称「御伽銀行」のメンバーが、さまざまな悩みを抱える生徒たちを助けて回る話の第4弾。

 今回は「北風と太陽」「ネズミの嫁入り」「花咲じいさん」「マッチ売りの少女」が元ネタの4編+日常編の5短編を収録。

 がんばった女の子が幸せになれないようなリアリティなんざ犬にでも食わせてしまえ!! --あとがきより。

 こういうスタンスで書かれた話は読み終えて気持ちがよいのです。『ふるさと行きの宇宙船』とか『スペースオペラの書き方』でもそうだけれど、可哀想可哀想ばかりで「良い話」だなんて思えるもんじゃない。まあ、女の子だらけのがまん大会とか巨乳とか腎虚とか下品ネタも多いので、親から子供に勧める本じゃありませんけど、良い話なんだからいいじゃないか。

【オオカミさんとマッチ売りじゃないけれど不幸な少女】【沖田雅】【がまん大会】【まほろまてぃっく】【To Heart】【おっぱい】【桃園の誓い】
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「フラグの王子様2」 織田兄第

2009-04-13 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「えるぴーぷるニダ……? なにそれ? 悪口? 韓国語? どういう意味?」
 いや、イラスト見る限り、そんなに似てません。

 「次にすべき自分の行動が三択の選択肢となって表示される」という【力】を神さまっぽい人から与えられた和泉啓祐だけれど、この【力】はなかなか使いづらい。何かことあるごとに回数制限付きの選択肢から行動を決めさせられるわけだけれど、やりたくもないセクハラ行為やどう考えても死にそうな無謀な選択しか残らないことだってざらなのだ。
 そしてギャルゲー好きではあるけれど恋愛対象としては幼なじみの友香ひとすじの啓祐にたいして、神さまみたいな力を持っているその人は「複数ヒロイン同時攻略」を命じるのだった……。

 リアルの世界はゲーム世界と違うとちゃんと理解しているゲーム好き少年が、イヤでもゲーム世界と同じ事をリアルでもやるよう強制されて悶絶する話だと思いました。
 前作『フラグの王子様』は面白かったけれど、多数ヒロインが錯綜して個々の印象が薄くてもったいない感が残りましたが、今回は金髪美少女の常磐ミッシェルと水沢友香との三角関係に焦点が絞られているのでそういう残念感はありません。もちろん、ちょこちょこと顔を出す他のキャラもけっこう印象強くてさじ加減に文句はありませんでした。

【フラグの王子様2】【織田兄第】【ガンダム】【ポートピア連続殺人事件】【生徒会】
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「タイム・スコップ!」 菅沼誠也

2009-04-12 | 時間SF・次元・平行宇宙
「新たなる生命には、新たなる服が必要なのだ!」
 ブルマニアになったヴィクター・フランケンシュタインの言葉。

 女子高生空掘すずめは史上初のガテン系タイムトラベラー。頭にはヘルメット、手にはスコップという姿で時空間を掘り進むことができるのが彼女の能力だ。しかし、なかなか思うように掘り進むことは難しく、先日もつい事故で中年男性を山荘から突き落としてしまう。
 だが、それがとあるドイツの戦争指導者であったことから歴史が改変されてしまい……。

 「また、歴史変えちゃったよ…」と、鷲の巣と呼ばれる山荘で起こった不幸な事故、死体を掘り出しては電気実験を繰り返す科学者の更生、そして戦国時代での砦の攻防を扱った連作短編3本を収録。
 どの話も完全に歴史は修復できず、どこか違和感のある部分が残るのだけれど、すずめ自身はほとんど認識できていないし、観測者として歴史改変を認識できる石垣島わたるにしても観測拠点であるすずめ以外については認識していないので、かなり拙い感じです(誉め言葉)。
 かなりの小ネタがちりばめられているので1つ1つ探すのも愉しいですが、学校パートのクラスメイトたちのエピソードもしっかり本筋に絡んでいるところは重要。
 フランケンシュタイン博士の痴情のもつれをどうやって解決したのか知りたいものです。

【タイム・スコップ!】【菅沼誠也】【玉岡かがり】【タイムトラベル】【大脱走】【サンジェルマン】【さまよえるオランダ人】【横山光輝】
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「トルネード!」 伊吹秀明

2009-04-11 | スポーツ・武道
 伊吹秀明という作家は私にとっては次に何が来るか判らない作家さんで、作者買いできるほど100%好きではないけれど、出る本は必ずチェックしないと何が出ているか判らないという気になる作家なのです。

『バカなこととは頭ではわかっていても、本能が反応してしまう。格闘をやっている連中は「最強」という甘美な響きには弱いのだよ。』

 あー、面白かった。

「パンチラとパンクラチオンって何か似てるな」
 格闘系の部活が盛んな邦王学園で開催された学園最強決定戦。プロからの声もかかっている猛者たちを打ち破って勝ち進んでいるのは、名家の令嬢・円乗寺七味。その技はカポエラ!

 チラでもなんでもなくカラー口絵からしてモロな話で、表紙も含めてイラストの9割が美少女のパンチラなのが必然という作品。うちの嫁さんなど渋い顔で「こんなを読んでいるところを親に見つかったら気まずいよね?」と長男に突きつけて困らせたくらい(読んだのは私ですが)。こういう動きも華もあるイラストをしっかり描き込んで、しかも見る者を飽きさせないのが四季童子の巧さです。上手く作品イメージを膨らませてます。
 でも、ストリートファイトから学園最強決定戦へと格闘技ものとして熱い話で、確かに「戦う少女ってカッコいい!」という看板に偽りなし。シンプルな筋立てで、省くとこは省き書き込むとこは書き込み、メリハリのついたストーリーを一気呵成に読ませてくれました。
 で、天才は七味かと思っていたら別にいた!という話。「たとえるなら……烈脚空舞と水影心の応酬かな」と私らの年齢はみんなそう思うんじゃないですか?

【トルネード!】【伊吹秀明】【四季童子】【カポエラ】【格闘同好会】【書生】【天才】
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「マリア様がみてる/真夏の一ページ」 今野緒雪 13

2009-04-10 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「敵がぼろを出すのを待っていたってだめよ。ちり取りとほうき持参で、小さな埃から回収して回らないと」
 三奈子さまの説く新聞部員の心得。

 学園祭の準備に向けて打ち合わせが続くのだが、ここで解決しておかなくてはならない大きな問題があった。
 山百合会はおとなりの男子校の生徒会と互いに手伝いあってそれぞれの学園祭を開催するのが慣例なのだが、紅薔薇様こと小笠原祥子は大の男嫌い。なんとか夏休みのうちに免疫をつけてもらいたいと「祥子さまの男嫌い克服マル秘作戦(略してOK大作戦)が立案されるが……という「略してOK大作戦(仮)」。
 二条乃梨子がボーイフレンドのタクヤくんとデートすることをかぎつけて張り込みする新聞部・山口真美の「おじいさんと一緒」。
 支倉令が夏休みの想い出を願望まじりで絵日記に書く横から由乃がツッコミいれる「黄薔薇☆絵日記」の3本立て。

 夏休みも後半になると、祐巳もすっかり祥子さまを自然に動かせるようになりました。成長したというか阿吽の呼吸をつかんだというか。またしばらくは安心して読んでいられますね。

「ふーん。でも君たちは、いつかまたここに来るよ?」
 柏木さんの予感または呪い。この伏線って回収されたっけ? 再読しつつ確認してみよう。

【マリア様がみてる】【真夏の一ページ】【今野緒雪】 【百面相】【ベルリンの壁】【スペシウム光線】
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「The MANZAI 5」 あさのあつこ

2009-04-09 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 中学生の瀬田歩は、漫才をやりたいという秋本貴史のペースに巻き込まれ、イヤだイヤだという間に学校やご近所で「ロミジュリとかいう漫才をやっている子」と評判になっていく。
 その歩も中学3年生。またしても貴史に引っ張り出され、元二年三組の仲間たち……漫才コンビ・ロミジュリの応援団たちと初詣に向かうことになる。そしてやっぱりいつの間にかボケとツッコミが始まって……。

 大晦日の夜から元日までの物語。
 物語も佳境ということは、卒業で一区切りになるのかな。
 中学生といえども進路や家庭や恋の問題で悩み苦しみわけで、それを笑い飛ばしてしまえる漫才というスキルを手に入れつつある2人は本当にスゴイのだけれど、問題は本人が自分の状況に納得せず、笑い飛ばせないあたりが悲喜劇。卒業までに、なんとか自分の立ち位置を見つけられると良いですね……と、つい親の視点で読んでしまうんだな。

【The MANZAI】【あさのあつこ】【大晦日】【慰問】
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「メコン・黄金水道をゆく」 椎名誠

2009-04-08 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 椎名誠がインドシナ半島を縦断するメコン川を旅した45日間、4500キロの記録。

「ビールが飲みたい」

 椎名誠の旅行記やエッセーは親子そろって大好きでかかさず読む本なのです。
 旅先で出会った人たちの姿が描かれ、飲み食いする様子が愉しそうで、なおかつ読むことで自分たちの姿と対比できるところが面白いのですね。向こうも人間、こちらも人間。どちらがエライとか優秀とか関係なく、とにかく愉しく酒を呑んで1日が終われば最高だよねという雰囲気が伝わってくるわけで、お酒呑んで暗くなったりしてちゃダメだよねと同意しました。

 今回も、市場で蜘蛛売りの少女に会ったり、元気の良すぎる葬式に困惑したり、温くて甘いビールを考察したりとあいかわらずの旅でした。

【メコン・黄金水道をゆく】【椎名誠】【ラオス】【カンボジア】【ベトナム】【水上家屋】
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「天才シェフ危機一髪」 ウィザースプーン&フリードマン

2009-04-07 | 食・料理
「何が起ころうと、たとえ大災害や事故にあおうとも、時間内に、自分が納得のいくレベルで、もちろん客の期待に応えた料理を完成させることがプロの証なのだ」

 三つ星クラスの有名シェフでも失敗はあったし下積み時代には苦労しているわけで、世界的に有名な40人のシェフたちから逆境体験や失敗談を聞き出してまとめた1冊。

 3200食分のロブスターを腐らせてしまったことに直前で気づいたらどうするのか? それがメインの食事会なのに……。
 わざわざオーダーを受けた巨大ケーキのメレンゲが全滅してしまい、街中を探しても必要な数の玉子がそろわなかったら……。
 慈善パーティー用にケータリング途中の鍋が開始15分前にひっくり返ったらどうするのか?

「だってマッシュポテトは習わなかったもん!」

 いろいろ失敗はありますが、基本は2パターン。シェフといえども「経営能力は必要」「出張サービスは鬼門」ってあたりのようです。
 しかし、もう時効だから良いんでしょうか? それとも、これくらいの話ではびくともしないくらい実力を身につけたから平気なんでしょうか? プロとしては、なにがなんでもお客を満足させる料理を出して代金を支払ってもらうというのが大前提で、そのためにはなりふりかまっていられないという話ですね。優雅に泳いでいるように見える白鳥も、水面下では懸命に脚を動かしているというのと同じです(もっとも本物の白鳥は水面下でも優雅に脚を動かしていましたが)。
 くすくす笑いながら一気に読んでしまいました。

【天才シェフ危機一髪】【世界一流レストランの舞台裏で起きた40の本当のお話】【キンバリー・ウィザースプーン】【アンドリュー・フリードマン】【大雪】【感電】【新メニュー誕生】
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「マリア様がみてる/子羊たちの休暇」 今野緒雪 12

2009-04-06 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人間、ある程度の金が貯まると、格式を欲しがるものでね。そればっかりはお金でなかなか買えないものだから、それを持っている人をすごく羨むわけ」
 柏木優の言葉。
 別荘地でのお金持ちの方々は、絵に描いたようなイジワル娘でした。

 祥子に誘われ、祐巳は期待に胸を膨らませて避暑地へ。ところが別荘には娘が御世話になることを心配した祐巳の母親からコシヒカリが届いていて……。

 夏休みのお泊まり旅行編。友情とか姉妹の絆を確認する話ではあるけれど、柏木さんや瞳子など今までイヤなところばかり見えていた気がするキャラが「実はそんなにイヤなキャラではないんじゃない?」という動きを見せる話。物語的には、むしろそっちの方がメインかな。
 お邪魔虫と自覚している眼鏡と七三の迷走も愉しい。

【マリア様がみてる】【子羊たちの休暇】【今野緒雪】 【梅雨明け】【夏休み前半戦】【マリア様の心】【アラエッサッサー】
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「鋼鉄のワルキューレ」 水樹ケイ

2009-04-05 | 架空戦記・仮想戦史
 ドイツ最強の戦車が誕生した。重戦車ケーニヒスティーガーに最新のディーゼルエンジンを搭載して機動力を高めた最速の王虎である。しかし、既にドイツには新たな製造ラインを組み立てる余力はなかった。
 司令部が壊滅した戦車大隊を救い、大きな戦功をあげた士官がいた。しかし、その士官は通信担当の女性だった。
 強力だが量産できない戦車。優秀だが正規の指揮系統には組み込めない士官。
 本来ならば、そのまま闇に葬られるはずだった最強の重戦車と美貌の女性士官は、戦局の悪化により崩壊寸前の東部戦線、北部ポーランドに実験中隊として投入された。だが、輸送途中の敵襲により、中隊は戦車を支援するはずの歩兵の大半を失ってしまう……。

 本屋にふらりと寄ったら、陳列前の新刊に漆黒のハードカバーが転がっていて、気になってそのまま手にとってレジ直行。女性戦車兵の話ってほとんどないものね。今のところ霜越かほるの『双色の瞳』、士郎正宗の『ドミニオン』、伊吹秀明の『出撃っ!猫耳戦車隊』、野上武志の『セーラー服と重戦車』、ゆうきりんの『ぱんほー!』くらい……あ、けっこうあるな。……。
 でも、コメディでもSFでもファンタジーでもないというと、これが最初かな……?
 最初はごく普通の仮想戦記ではないの?と思っていたのだけれど、「兵器」と「戦場」と「人」のどこに力点があるかというと「人」にある、そういう小説でした。ストーリーがケーニヒスティーガー(私の世代にとっては「キングタイガー」)を駆るフリーデ中尉とソビエト戦車軍団の撃破王であるヒョードルとの戦いを軸にしているので、冒険小説っぽい雰囲気が濃厚になっています。
 主役側が、強力だけれど数を揃えられない試作兵器の部隊で補給や支援も満足に受けられず、操縦するのは優秀だけれど正規の戦車兵ではない。敵方のメインキャラは、単身で敵の偵察に乗り込むような歴戦の勇士で撃墜王だけれど、その経歴が明るみになれば粛正されることは必至。その一方で、邪魔な上司は己の手を汚さないよう敵の攻撃を利用して葬っていく……って、この構図はホワイトベースとシャア・アズナブルだなあと思ったら、読むのにヘンなバイアスがかかってしまいましたよ。

 戦史にも兵器にも詳しくないので、本当にこんな戦車が存在する余地はあったのかと訊かれても答えられませんが、面白いから気にしません。松本零士や新谷かおるの戦場マンガが好きなら愉しめるタイプの話だと思います。
 
【鋼鉄のワルキューレ】【ケーニヒスティーガー in WW2東部戦線】【水樹ケイ】【佐藤道明】【学研プラス】【1944年11月】【ディーゼルエンジン】
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「世界のシワに夢を見ろ!」 高野秀行

2009-04-04 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 著者が世界のあちこちへ行ったり来たりしている間のミニ・エピソード集。

「いやあ、だって空港の係官、地雷を知らないんだもん」

 成田空港のテロ対策は100円ショップの玩具刀は通さないくせにホンモノの地雷は素通しという話から、アフリカの奥地で初体験とか、山奥の無人駅で夜明かしとか、どんなに科学が発展しても現地に行かなくては解らないことは多いとか、米粒が行進する話とかあれこれ盛りだくさんの1冊。
 早稲田の下宿もタイの裏通りもコンゴのジャングルも、等しく「世界のシワ」(辺境)でひとくくりにされてしまうあたりが愉しいね。

【世界のシワに夢を見ろ!】【高野秀行】【洞窟】【マリファナ】【蚊】【賄賂】
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「レイバーフッド!」 広江礼威 彩色:山中虎鉄

2009-04-03 | 戦記・戦史・軍事
 兵隊やら警官の格好をしていたり水着や下着姿の美女美少女と拳銃から核爆弾までの銃器兵器を組み合わせたリビドー刺激しまくりのイラスト集。男の子の夢の集大成。
 月刊ホビージャパンに連載されたイラストコラム「REIGHBORHOOD!」の2009年4月号掲載分までをまとめたイラスト集。彩色を担当した山中虎鉄らとの対談や原画集、銃器兵器を解説したミニコラムも収録。
 このコラムだけを目当てにしばらく雑誌を買っていたのだけれど、コラム1本のためだけには高かったのでいつしか買わなくなっていたもので、こうして連載がまとまったというのは本当に嬉しいっ。プラモ作らないし、フィギュア趣味ないし。
 でも、こうして原画と完成品を対比してみると、確かに広江礼威の絵は上手いし、銃と美少女の組み合わせはベストフィットで、テーマ的にも面白く、まとめて見ても全然飽きさせないのだけれど、背景描きまで担当している彩色のテクニックやセンスも感服してしまいました。
 眼福な1冊。

【レイバーフッド!】【広江礼威】【山中虎鉄】【銃火器】【戦車】【軍装】【おっぱい】【下着】【奈須きのこ】【虚淵玄】
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「胡蝶の失くし物」 仁木英之

2009-04-02 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 金持ちのボンボンがボクキャラの美少女仙人に弟子入りしてあちこち旅して回る「僕僕先生」シリーズの第3弾。前巻同様、連作短編形式でお話が進みますが、謎の存在が動きだし、大唐帝国の陰で暗躍する暗殺集団が僕僕先生を狙って動き出します。かなり状況は悪化しているようですが、肝心の僕僕先生がのんびりしたもので、またまた怪しげな道連れが加わってにぎやかな道中になっています。いいのか!?

「男が女に惹きつけられる要因など、知れたものだ。豊かな乳房、良い香りのしそうなうなじ、思わせぶりなしどけないしぐさ。たまに遊んでみると面白いぞ」

 誰が敵か味方か……というより「仙人や道士の中には、純粋に面白いほうへと話を進めたがる連中がいるのですよ」ということで、困ったものですね。こんな風だから、最後は封神演義の世界になっちゃうんですよ。暇をもてあます仙人ほど始末に負えないものはありません。
 今回は薄妃とか刺客として襲ってくる劉欣がなかなか良い感じ。今ひとつ王弁の影が薄いというか、やっていることはいつもと同じなんだけれど、サブキャラが増えた分だけ印象が薄くなってるんですねえ。気の毒に。
 完全に話が続いてしまっていますので、続きが気になります。

【胡蝶の失くし物】【僕僕先生】【仁木英之】【夢】【仙骨】
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「お釈迦様もみてる/学院のおもちゃ」 今野緒雪 02

2009-04-01 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 『マリア様がみてる』の派生作品「お釈迦様もみてる」も2冊目ということで、めでたくシリーズ化です。

 仏教系の花寺学院高校では、体育会系のクラブに所属する者は「源氏」、文化系に所属する者は「平氏」として互いに競い合っていたが、源氏も平氏も選ばず無所属を貫く羽目に陥った福沢祐麒は生徒会の下働きとして使われることになった。
 しかし、祐麒は生徒会長の柏木優から生徒総会後の余興として舞台上で安来節を踊るよう命じられてしまい……。

 もともと野球部でありながら肩を壊したために居場所を失っていた祐麒が、なかば強引に柏木優によって生徒会に引きずり込まれ、結果的に新たな居場所と友人を与えられるという構図は『マリア様がみてる』と同じ。モチーフが同じでアレンジが違うといったところかな。
 こちらの方が主人公が体育会系崩れだけあって熱血系です。読む方も2作目になって、登場人物や舞台にも慣れ親しんできて普通に読めるようになりました。やはり1作目は読む方も恥ずかしいというか、「こういう学校ってどうよ?」とか「こんな名前で呼ばれて恥ずかしくない?」という部分がありましたが、慣れました。大丈夫。問題なし。柏木さんもちゃんとした指導っぷりで、これならカリスマ視されていても当然だなと納得。

 さて、今朝、我が家に遊びに来た親戚が飼い犬に手を噛まれました。温和しそうな顔をしていつも寝ていますが、紀州犬の血を引く咬み犬です。しつけを失敗しました。ごめんなさい。近づかないようにしてください。止めたのに。
 それで、手から出る血が止まらなかったのです。水で洗い流し、オキシドールで消毒し、絆創膏で止めようとしても絆創膏があふれる血で流されてしまいます。玄関先に大きな血だまりができました。
 結局、外科へ連れて行って2針縫いましたが、2針の傷でこれくらい血が流れます。それを考えると、舞台上はもっと壮絶だったのではないかとか、ジャージは使い物にならなくなってあたりまえじゃないかと思いました。熱血系というより流血系になってますが……。
 なにはともあれ、安心して楽しみに待っていられるシリーズが始まりました。

【お釈迦様もみてる】【学院のおもちゃ】【今野緒雪】【アラエッサッサー】【神様】
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