「ニートだけどハロワにいったら異世界につれてかれた２」 桂かすが

　マサルが異世界に派遣されてはや数ヶ月。視力を回復したサティをパーティに加えるべく、ギルドの訓練施設に連れて行く。
　ところがサティはめきめき頭角を現し、周囲の教官たちもよってたかって指導を始め、あっと言う間に主人であるマサルを凌駕する戦士になっていく……。

　この手の話に多い異世界「転生」とか「召喚」ではなく、ハロワ経由で「派遣」されてしまった主人公の冒険譚。
　いきなり異世界に連れて行かれてどうしようかと思ったけれど、チートな能力で着々とハーレム建設に向けて邁進……というか、生き残ろうと頑張っているうちに女の子が集まり始めただけなんだけれど、なんか「お金は寂しがり屋だからお金のあるところに集まる」という言葉を思い出すね。女の子は寂しがり屋だから女の子のいるところに集まるんだよ。
　だからコミュニケーション能力に難のある主人公は、とりあえず奴隷で女の子を１人手元に置くと、あとは自然に集まってくるというもしかしたら鮎漁に近いのかも。養殖アユで友釣り理論を提唱したい。
　まだまだ女の子たちが自分に好意を持っているらしいと思うのだけれど、過去にそういう雰囲気だと思って告白して断られた過去から、今ひとつ最後の一歩を踏み出せなかった主人公が３人でいちゃつけるようになるところまで。あるいはどこかゲーム感覚だった主人公が戦いと死に向き合って克服するまで。
　今回もさめだ小判のイラストは好調。巧い絵を描ける人が、章の山場になるシーンをちゃんとピックアップし、複数のキャラクター（美少女やらおっさんやら怪物やら）を１枚の絵にまとめ、奥行きをつけ、背景を描き込み、文句の付けようのないイラストを完成させていると本全体の完成度も上がります。

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