「殺戮の魔猫 ～くはははは、知らんのか！ チーズは空気に触れると鮮度がおちる～」 異世界印の転生饅頭

　転生したらネコだった。それが人間に恨みを抱いて魔族に転生して500年。その間に勇者を葬った魔王様は深い眠りにつき、ネコは玉座で居眠りする日々。でも、そんな見かけに誤魔化されちゃいけない。魔猫ケトスこと最強の魔王軍最高幹部にして大魔帝。ちょっと加減を間違えれば大陸すら沈めてしまう（沈めた）。そんなケトスが暇つぶしに人間の街をふらふらで歩いて食べ歩きするのだが……。

　１章１話完結の、神をも殺す（殺した）ケトスの食べ歩き冒険譚。モンスターの氾濫から街を救ったり、精霊狩りの罠を食い破ったり、神話級ダンジョンを踏破したりと章ごとに違ったパターンの事件に巻き込まれて読んでいて飽きず、また過去の事件でケトスがやったことが後々廻り廻って新たな火種になるという「自分は悪くないのに、どうしてこうなった？……でも、考えてみれば自分の過去のツケが回ってきただけのような……いや、それももともとは……」みたいなマッチポンプ話ですが、それに巻き込まれて世界の崩壊を食い止めようとする周囲の奮闘努力に期待します。
　主人公は最強ですが、それがまた話が進むことに強さを表していく天井なし作品です。これでマンネリにならないのはスゴいです。本気を出したら勝てない相手はいないけれど、本気を出したら世界を滅ぼしちゃうので加減が難しいのです。

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