付け焼き刃の覚え書き

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「イスタンブールの毒蛇」 ジェイソン・グッドウィン

2009-05-30 | ミステリー・推理小説
「友情というのは僥倖よ、ヤシム。それに人生は短いわ」
 母后エイメ・デュブク・ド・リヴェリーの助言。

 ヤシムの知り合いの八百屋が半死半生の目に遭わされた。
 ヤシムの行きつけの古本屋が殺された。
 ヤシムの家に身を寄せていたフランス人考古学者も殺された。
 街で何が起こっているのか? ギリシア独立戦争末期に端を発した事件の火種が、このスルタン崩御まで幾何もなかろう19世紀のイスタンブールに飛び火したというのか。
 心ならずも降りかかりそうになっているフランス人殺しの嫌疑を払い除けるため、宦官ヤシムは事件の真相を探ろうとするが……。

「敵がいないのは腑抜けだけよ。ひとに憎まれるには、それ相応の気概がないとね。味方を持ち、危険を冒し--他の者は完膚なきまでに叩き潰すのよ!」
 苦境に陥ったヤシムに、自分だってお行儀よくして今の地位になったわけではないと豪語する母后。

 オスマントルコを舞台に白人宦官ヤシムの活躍を描く歴史ミステリのシリーズ第2弾。歴史ミステリといっても、「歴史の謎を解く」のではなく、「歴史小説+推理小説」という方です。1冊で2度美味しい。いや、登場する料理の数々が実に美味しそうなので3度美味しいのかも。
 なんといってもフランス料理・中国料理と並んで「世界三大料理」のひとつに数え上げられるのがトルコ料理。『味の決め手は火加減ではない。包丁の切れ味いかんにかかっているのだ』というくらい主人公ヤシムの趣味が料理ということもあって、各所で描写される料理の美味しそうなこと。皮目をかりっと焼いた鯖料理のウシュクル・ドルマス、子羊肉で作ったカルヌヤリク、ズッキーニの花詰め、豆サラダ、トライプスープ、トラトルスープ、おなじみケバブ、炙り肉団子、薄焼きパン……巻末に写真入りの料理ガイド付き。

【イスタンブールの毒蛇】【ジェイソン・グッドウィン】【脳内戦場】【バイロン卿】【聖遺物】【地下水道】【女は怖い】

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