「蜥蜴の忠誠、貴方に誓う。」 岩月クロ

「与えられるものを背負って生きることと、自分らしく生きることは、決して反義ではありませんのよ」
　ハイディル王国の王女ジュリアはヴィーゴに告げる。

　魔界の戦争で傷ついた身体を癒すべく、魔王の娘ラウラは小さな蜥蜴の姿になっていた。ところが、その蜥蜴が人間界の魔法学校の少年に使い魔として召喚されてしまったのだ。
　名門学園の模範生徒にして将来を期待される名家の長男が、ただのトカゲを召喚してしまったと周囲は騒然とするが、当人はにっこり笑っていた。
「よろしく、蜥蜴さん。俺は、ルドヴィーコ。ジーノって呼んでくれ」

　人間の貴族の御曹司とただのトカゲのふりをする魔王の娘との、奇妙な主従関係の物語。
　まだまだ続きそうだけれど、話としては１巻完結とも読めないこともない結末で、期待以上の良作。

【蜥蜴の忠誠、貴方に誓う。】【岩月クロ】【蜂屋マサ】【宝島社】