
非情な任務に明け暮れている諜報員、ラプターにとって唯一の癒やしは小説『薄幸のロザリンド』だけだった。既刊はもちろんコミカライズから設定集まで読み込んでいたラプターだったが、その最終巻で令嬢ロザリンドが薄幸のまま凄惨な末路を辿ることを知り、彼もまた絶望のまま敵国エージェントの襲撃を受け自爆して果てた……と思ったが、いつの間にか見知らぬ世界に放り出されていた。
そこがまさに『薄幸のロザリンド』の世界、しかも物語が始まる前のタイミングと知ったラプターは、某国最高峰の諜報員としての能力全てとどんな極秘情報や世界の未来も「作品の設定」と知る記憶力を駆使して、少女の破滅を〈改編〉すべく動き出した……。
筋立てそのものは今の王道、物語(ゲーム・小説)のメインキャラ以外としてその世界に転生した主人公が、原作知識を駆使して成り上がる/不幸に陥る登場人物の救済に走るというもの。全体の流れは冒頭できっちり説明されているので、あとはそれが凄腕諜報部員によってどう覆されるのか……というのが見所です。
しかし、そこは書き割りの物語ではなく、実際の生きた人間によって築き上げられてきた世界です。物語の設定ですら語られなかった、それこそ脇役も脇役ですらどう動くのか予断を許しません。
【純白令嬢の諜報員~改編1.侯爵家変革期】【桜生懐】【ファルまろ】【ファンタジア文庫】【謀略ファンタジー】【全知全能の暗躍で、少女の破滅を《改編》せよ。】【ファンタジア大賞金賞】
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