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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「レベル・セブン」 モルデカイ・ロシュワルト

2017-01-01 | 破滅SF・侵略・新世界
「自由競争と平等はめったに両立しないよ。そして平等こそデモクラシーの基礎なのに、レベル・7の精華なんだからね」

 その男はただ押しボタン士官X-127とだけ呼ばれていた。
 地下4000フィートの原爆ロケット発射施設レベル・7にて、必要な時に必要なボタンを押すのが役割だ。しかし、一度ここに配属されれば二度と地上へは戻れない。彼らは地下都市の最下層で来たるべき戦争に備えて勤務を続ける。
 そしてある日、ラウドスピーカーから命令が出た。
「ボタンA1を押せ!」
 ボタンを押した。戦争が始まったのだ。
 X-127はボタンを押し続け、2時間58分後、戦争は終わったのだが……。

 今ではそんなことを考えるものは多くないだろうけれど、東西冷戦下での核戦争というのは現実の危機であって(今だって可能性がないわけじゃない)、1980年代まではそれが当たり前にあったのですね。そのいちばん危なかった時期、キューバ危機の少し前の1959年に書かれたのがこの作品。
 反核反戦をベースに、偶発的なシステム異常によって発生する最終戦争、食事までベルトコンベアで流れてくる非人間的な地下都市での生活に、少しずつ染みこんでくる死の気配。そして人類最後の男……という物語でした。

【レベル・セブン】【モルデカイ・ロシュワルト】【横山明】【サンリオSF文庫】【きのこのお話】【暮らしは2つ、死は1つ】【原子力戦】
コメント
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