
著者が京都精華大学のマンガ学科で教えてきた講義の集大成……というか、タイトル通りの概論。脚本概論といいつつ、表現技法とか歴史まで踏まえて書かれているので、ストーリー創作法とかマンガの描き方として読むと少し物足りないかも知れません。
マンガを描くにはオリジナリティが大切だけれど、それ以前の話として先人たちが残したものを知っていて、それを足がかりにしないとなかなか前には進めません。独学で連立方程式の解き方を発見した数学の天才の寓話もあったけれど、ジム・ロジャーズも「歴史を知らなくては、何を見たとしても、学ぶことも分析することもできない」と言ってます。
新しく何かをしようと思うなら、きちんと勉強して先人の業績をちゃんと踏み台にしないといけないし、その積み重ねが人類の歴史なのです(学ばないことも多いけれど)。マンガについても同じこと。しかもストーリーと絵は一体にして不可分なのですから、いかにポイントを絞って見せたい効果を出すかは大問題。ストーリーを活かすも殺すも絵(演出)次第なので、過去の作品から学ぶべきことは幾らでもあります。
なのに、最近は大学まで来てマンガを学ぼうという者ですら、マンガの神様と呼ばれた手塚治虫の話ですら通じないのだとか。
そういう状況なので、「脚本概論」と言いつつ、コマ割り・擬音から構成まで、過去の作品から引用して紹介するのに紙幅が費やされていても仕方がないのでしょう……って、自分は今さらマンガ家になるつもりはないので、こういう本を読んでも仕方がないのだけれど……。
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