
昔、そう言い張った人が居た。
その人がこの本の著者である高桑氏。演出担当としてハンナ・バーベラ制作のアニメ作品を日本で放映するため、日本独自のオープニングを作り、キャラクターは声から台詞まで個性を強調して分かりやすい差を付け、とにかく落語のノリでどんどん日本語の台詞を書いていったという人。
そのお陰で、本家アメリカではたいして人気のない『ワッキー・レース』が日本では『チキチキマシン猛レース』としてヒットし、そのメインキャラクターであるナビゲーター犬の「マトリー」は「ケンケン」として根強い人気を獲得しました。
そんな1960~70年代にかけての日本版作成にまつわるあれこれを、日本語版テーマソングの歌詞や関連グッズ一覧、放映リストなどを交えながら語った1冊です。範囲は高桑氏がかかわったハンナ・バーペラ作品のみ(『幽霊城のドボチョン一家』など、それ以外の作品はちょっとだけ言及有り)。
日本のアニメや特撮番組が海外で放映される際に、勝手なタイトルがつけられたり、名前が変えられたり、はたまた複数作品をひとまとめにして再構成されたり、ドラマパートを差し替えられたりすることがあり、それについて不満を持つ人もいるようですが……日本はずーーーーっとそれをやっていたんですね。
しかし、今でも印象に残っているのは、「ハイハイサーご主人様」「パパラパー」「ラリホー」「チキチキ」「ドボチョン」「ムッシュメラメラ」といった擬音や幼児語を交えた造語の数々。ああ、やっぱり英語じゃ誰もそんなことを言ってないんですね……。
【ケンケンと愉快な仲間たち】【高桑慎一郎】【ムッシュムラムラ】【フォーリーブス】【スーパースリー】【大魔王シャザーン】【落語】【エノケン】【ネーミング】