
ろくでなしの母親に放り出され、田舎暮らしの老人2人と一夏過ごした少年の物語……なんだけど、老人と孫の会話を聞いていたら芝村節かと思ってしまいました。
「名誉、勇気、そして美徳は、全てを意味する。力とお金、お金と力は何も意味しない。人の良さっていうのは邪悪なものにも打ち勝つ。そしてこれは覚えておいて欲しい。愛、真実の愛は決して死なないものだ」
あんたはペンギンかい。
きっと最後は世界移動存在になったんだろうな……。(2006.7/29)
ということでDVDを迷わず購入!
母親が男を追いかけるのに邪魔だからと体よく遠縁の老人2人のもとに押しつけられたウォルター少年だが、農園で暮らしている老人たちの破天荒な生き方に衝撃を受ける。やってくるセールスマンに散弾銃をぶっ放して追い払い、狩りをしたいからとライオンを購入し、酒場では難癖つけてくる不良青年たちをたった1人でぶちのめしたり☆
次第に奇妙な老人たちとの暮らしになれていくウォルターに、老人は少しずつ昔の話を語り始める。それは嘘か真か、2人で外人部隊に入って激戦をくぐり抜け、お姫さまと出会い恋をし、お姫さまを賭けて砂漠の首長と戦い……。
だが一方で近所の人たちは囁く。彼らはマフィアの金を奪ってほとぼりを冷ましているだけなのだと……。
あの『アイアンジャイアント』のスタッフが作った「家族の絆」と「古き良き時代への追慕と再興」の物語で、何が真実かではなく、何を信じるべきなのかが重要なのだ……という話。コレクター版DVDには未公開シーンとかかなり入っていて、その取捨選択からスタッフの姿勢がよく分かります。
親戚連中の厚かましさとか、老人の偏屈さとか、そういうところがスパーっと(もったいないくらいに)カットされ、ストーリーがかなりシンプルに刈り取られたことがわかります。ラストシーンもまったく違ったシーンが完成していてこれも面白い。個人的にはこっちの方が好きなくらいなんだけれど、結局いちばんシンプルに「破天荒な話を地味に地味に描く」ことによつて、現代では荒唐無稽となった話を着地させたのだと思います。ヘリコプターの登場も悪くないけれど、外人部隊と黒塗り高級車ってのも捨てがたいですね。
原題は『SECONDHAND LIONS』。直訳すれば「中古のライオンたち」、作品に登場するのはサーカスから下取りに出された1頭だけなのに複数形になってます。ライオンというのは勇気と力の象徴。「おいぼれライオン」となってなお雄々しく誇り高い男たちの物語なのです。(2022/09/03補足)
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