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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「ウォルター少年と、夏の休日」 監督: ティム・マッキャンリーズ

2008-03-08 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 さあ、ガンオケでもプレイしよかとテレビをつけたら『ウォルター少年と、夏の休日』がやっていて、老人(従弟)の方の声が聞き覚えのある声だったんで思わず手が止まり、つい最後まで見ちゃったよ。後半1/3だけどな。
 ろくでなしの母親に放り出され、田舎暮らしの老人2人と一夏過ごした少年の物語……なんだけど、老人と孫の会話を聞いていたら芝村節かと思ってしまいました。

「名誉、勇気、そして美徳は、全てを意味する。力とお金、お金と力は何も意味しない。人の良さっていうのは邪悪なものにも打ち勝つ。そしてこれは覚えておいて欲しい。愛、真実の愛は決して死なないものだ」

 あんたはペンギンかい。
 きっと最後は世界移動存在になったんだろうな……。(2006.7/29)

 ということでDVDを迷わず購入!

 母親が男を追いかけるのに邪魔だからと体よく遠縁の老人2人のもとに押しつけられたウォルター少年だが、農園で暮らしている老人たちの破天荒な生き方に衝撃を受ける。やってくるセールスマンに散弾銃をぶっ放して追い払い、狩りをしたいからとライオンを購入し、酒場では難癖つけてくる不良青年たちをたった1人でぶちのめしたり☆
 次第に奇妙な老人たちとの暮らしになれていくウォルターに、老人は少しずつ昔の話を語り始める。それは嘘か真か、2人で外人部隊に入って激戦をくぐり抜け、お姫さまと出会い恋をし、お姫さまを賭けて砂漠の首長と戦い……。
 だが一方で近所の人たちは囁く。彼らはマフィアの金を奪ってほとぼりを冷ましているだけなのだと……。

 あの『アイアンジャイアント』のスタッフが作った「家族の絆」と「古き良き時代への追慕と再興」の物語で、何が真実かではなく、何を信じるべきなのかが重要なのだ……という話。コレクター版DVDには未公開シーンとかかなり入っていて、その取捨選択からスタッフの姿勢がよく分かります。
 親戚連中の厚かましさとか、老人の偏屈さとか、そういうところがスパーっと(もったいないくらいに)カットされ、ストーリーがかなりシンプルに刈り取られたことがわかります。ラストシーンもまったく違ったシーンが完成していてこれも面白い。個人的にはこっちの方が好きなくらいなんだけれど、結局いちばんシンプルに「破天荒な話を地味に地味に描く」ことによつて、現代では荒唐無稽となった話を着地させたのだと思います。ヘリコプターの登場も悪くないけれど、外人部隊と黒塗り高級車ってのも捨てがたいですね。
 原題は『SECONDHAND LIONS』。直訳すれば「中古のライオンたち」、作品に登場するのはサーカスから下取りに出された1頭だけなのに複数形になってます。ライオンというのは勇気と力の象徴。「おいぼれライオン」となってなお雄々しく誇り高い男たちの物語なのです。(2022/09/03補足)

【ウォルター少年と、夏の休日】【ティム・マッキャンリーズ】【ハーレイ・ジョエル・オスメント】【マイケル・ケイン】【ロバート・デュバル】【外人部隊】【お姫さま】【家族】【追憶】【虚と実】【盗賊】【セールスマン】【ライオン】【恋と冒険】【老人のヨタ話】
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「補給戦―何が勝敗を決定するのか」 マーチン・ファン・クレフェルト

2008-03-08 | 戦記・戦史・軍事
 中公文庫ってのはどのシリーズも文庫にあるまじき高さなんだけれど、それでも買わされてしまうラインナップ(泣)。このクレフェルトの『補給線』も「戦争について知りたいなら必読書」とか言われて購入。誰に勧められたっけ?

 戦争の勝敗は、いかに適切な補給を行えるかで決着するのだと、「戦争」というものについて、「外交」とか「兵器」とか「歴史」とかの視点ではなく「補給」の視点から分析した1冊。
 ナポレオン戦争からノルマンディ上陸作戦までの主な戦いを、補給計画から戦闘への影響まで弾薬や食糧等の具体的な数値と計算を提示して説明し、一般的なイメージあるいは従来の専門家のイメージではない戦争の実体を明らかにしていく。

 「戦いは数だよ、アニキ!」は良いけれど、その頭数をそろえるには補給が必要です。いくら巨大な戦艦を持っていても燃料・弾薬・兵員がなければ石のタヌキ。生身の兵士1人を戦場に送り込むには、1日あたり約100Kgの補給が必要だそうですし、その100Kgの補給物資を送り届けるためにはトラックなり馬車なりが必要で、そのためのドライバー自身にも100Kgの補給が必要ですし、トラックはガソリンを消費するし、馬は飼い葉を必要とします。ゲームのアイドレスをプレイしていて燃料や資源の消費に頭がくらくらしましたが、あれはとってもリアルだということです。
 とにかく数字を論拠に訴えてくる本です。大量輸送は鉄道に限る!と言っても実際には国ごとに鉄道の軌道の幅が違うのでそこでいちいち積み替えるなり台車の変更作業をしないといけないし、積み卸しでも大騒ぎ。線路の爆破も簡単で輸送が簡単に滞るからイメージほどの万能ではないとかいう話もありました。そういえば、パゴニス陸軍中将の『山・動く』でも空輸中心でプランを組んでイラク戦争に臨んだけれど、結局高速輸送船の方が……という話もあったし、今さら昔の戦争の話が何の参考になるかと言えば「湾岸戦争の補給システムはアレキサンダー大王を参考にした」そうだし。温故知新。
 本文は長いし、読みにくいけれど、巻末の解説がそのまま副読本クラスの「要約と解説」になっているので、そちらを一読してから本文をつまみ食いした方が頭に入ると思います。

【補給】【石津朋之】
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