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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「紅はこべ」 バロネス・オルツィ

2009-02-24 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「どんなときだってイギリス人の頭は、フランス人の頭に負けやしないんだからね」
 パーシー・ブレイクニーの言葉。

 フランス革命のさなか、処刑されようとしている貴族をフランスからイギリスへと救いだしていく秘密組織があった。その名を「紅はこべ」という。
 元フランス座の花形女優であり、今はイギリス貴族パーシー卿の夫人であるマルグリートは、兄を救うため「紅はこべ」の正体をさぐる密命を与えられるのだが……。

 恐怖政治が吹き荒れるパリとロンドンを舞台にした冒険活劇にして陰謀劇。巧妙な計画で次々に脱出を成功させるイギリスの秘密結社対フランスのスパイ組織との攻防の結末やいかに。名作文学の定番だけれど、面白いよねー。

【紅はこべ】【バロネス・オルツィ】【フランス革命】【地下組織】
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「アフリカにょろり旅」 青山潤

2009-02-15 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「ウナギは、新月の夜、マリアナの海山で産卵する」

 確認されている世界のウナギは全部で18種類。しかし、東京大学海洋研究所にはそのうちの17種類しか標本が存在していない。なんとか、18番目のラビアータ種を採取して完璧なコレクションとしなくてはならないと、ウナギグループの研究員たちは空路アフリカへ!
 限られた予算、ろくに通じない言葉、50度超の気温、水無トイレ、住血吸虫だらけの真水、撤去されない地雷原、そしてウナギを知らない漁師たち……。
 過酷な環境のもと、次第に身体は衰弱し、心が折れていく研究者たち。果たして熱帯ウナギ捕獲は成功するのか!?

 単なる学術調査なのに、第三者から見れば命がけの探検記にして冒険記。実際、誰か死んでしまっていたら、のんきに笑って読んでもいられません。自然相手のフィールドワークは国内でもかなり過酷。それがインフラも整っていないアフリカとなったらなおさらのこと。単なる学術調査もサバイバルとなります。
 ところが、これがマイペースで旅してるだけとなると一転してしまうらしく、やっとの思いでたどり着いた先に、普通のバックパッカーや白人観光客がにこにこと歩いていたりして、そりゃあ、もう笑うしかないよなあ。秘境は挑む者の心の中にあるのです。

 普通の日本人にとってウナギなんてものは土用の日に食べるものだとか、名古屋はひつまぶしが名物らしいとか、中国産もあるらしいよとか、その程度の理解なんだろうと思います。
 では、ニホンウナギの産卵場をほぼ特定したといっても、それに何の意味があるのか。「特定した」と「ほぼ特定した」の間にある越えがたい溝。そのあたり、学問の意義とか意味ってものも考えさせられる話としても読めます。

【アフリカにょろり旅】【青山潤】【ジンバブエ】【エッグカレー】【フィールドワーク】
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「にっぽん・海風魚旅5~南シナ海ドラゴン編」 椎名誠

2009-02-09 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 日本の海岸地帯をうろうろしては写真とエッセーで書きつづる椎名誠の紀行記の最終巻。最後は沖縄からオマケでベトナムまで飛んでおしまい。総括としては、日本の海はどこも土建屋と役所に蹂躙されて、漁師のおとっつぁんたちが不景気な顔をしているという構図……かな。

 沖縄の青い空と蒼い海はいいなあと思いながら読んでました。物心ついて最初に好きになった食べ物が「ワンタン」という人間なので、新潟県でワンタンメンって話にもすごくそそられ、これだけのために旅立ちたくなりました。
 読んで自分も旅に出たくなる1冊。病床の寝床で読んでました。夢は枯れ野を駆けめぐるってやつですね。

【にっぽん・海風魚旅】【南シナ海ドラゴン編】【椎名誠】【ベトナム】【沖縄】【山口】【新潟】【青森】
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「ガイドブックにないパリ案内」 稲葉宏爾

2008-12-23 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 ふつうのガイドブックに載らないような路地裏の店、マイナーな名所旧跡の案内本。料理屋の本もあわせて買いました。とりあえず揃えて置くと、あとで何かと使うんだな。まあ、あまり古くなると時代遅れになっちまうけど。

【ガイドブックにないパリ案内】【稲葉宏爾】【フィガロジャポン】【TBSブリタニカ】【】【】【】【バガテル庭園】【パサージュ】【ギマール】
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「緑の魔界の探検者」 H.M.スタンリー

2008-12-13 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 なんか大仰なタイトルがついているけれど、作者名から一目瞭然。つまるところ
「リビングストン発見記」。これにリビングストンの「アフリカ横断探検記」の抄
訳がセットになったお得な1冊。
 でも、確かに探検隊の編成とかスポンサーの確保とか道中の危険とかへの言及は多いけれど、それもアバロンヒルの「アフリカ探検」のマニュアルを読めば事足りる程度だから、もう少し数字で読みたいなあ……。
 歪んだ読み方してるかな。
 もっと感動すべきところもあるのだろうが、内容的には先日の「大旅行記録」の方が充実していたのでつい比較してしまうのだ。歴史的意義は別としてね。
 映画の「愛と野望のナイル」も良かったです…って脈絡なし。疲れているのかも。(2006.3/13)

【緑の魔界の探検者】【地球人ライブラリー】【スタンリー】
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「英国特派員の明治紀行」 ハーバート・ジョージ・ポンティング

2008-11-16 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「日本の少女が近代的な教育方法の下で、控えめな態度をいくらか失ったとはいえ、女性としての優雅さと愛嬌までを失うことは決してあり得ないだろう」
 いやあ、さすがのポンティングも100年先までは見抜けなかった。

 特派員として日本を訪れた英国人写真家が見た、明治期日本の姿を文と写真で綴ったもの。京都の街並や七宝職人の工房から浅間山の爆発まで。

 ただし抄訳。
 同じ訳者で講談社学術文庫から『英国人写真家の見た明治日本―この世の楽園・日本』というのが最近になって刊行されていて、元本は同じと思うのだけれど、文庫が全訳かどうか一度店頭で確認したいと思います。新人物往来社版217頁、講談社版330頁……うーむ、微妙だなあ。
 ……と思っていたら文庫版も抄訳というブログのコメントを発見。

 南極で遭難したスコットの第二次探検隊にサポート隊として参加。こちらでも、素晴らしい写真を残しているそうです。
 親日的というか、今でも立派に通用する日本案内。「そりゃ、誤解だよ!」とか「深読みしすぎだよ」とかいうこともなく、ごく自然に「ああ、当時の日本の良いところをきちんと見て紹介してくれましたね」という1冊。

【英国特派員の明治紀行】【ポンティング】
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「レスキューウィングス~ファイナルシーカー」 小川一水

2008-11-07 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 日本最高の救助エキスパートである航空救難団は、警察、消防、海上保安庁、すべてのレスキュー部隊が活動を断念した段階で、遭難者救助の最後の切り札として投入される。しかし、彼らは航空自衛隊の救難隊であり、墜落した戦闘機パイロットの救出が本来の任務であった。
 救難員(メディック)である高巣英治は、若いながらも遭難者の発見では誰もが一目を置く成果を上げている。
 だが、彼には秘密があった。
 発見が困難な遭難者を見つけているのは、彼の背後にいる少女……の幽霊だったのだ。


 ライトノベルとして刊行されたものを、そのまま表紙を変えて一般文芸として売り出しているもの。幽霊出てくるけれど、ファンタジーじゃないよね。ついでにいうと、幽霊と生身と若い女性が出てきて、主人公は男性なんだけれど、色っぽい話にもならないところが、ラノベとしてはダメかも。一般文芸としても潤いがないよね。
 まあ、助けられるかられないか、死ぬか生きるかの話なので、キャッキャウフフもしてられないですが。

 人助けの話であると同時に、自衛隊(軍隊)の一組織であるがゆえのジレンマとか周囲の目とかについてもしっかり書いてあるので、単なる綺麗事にならないのがさすが小川一水。
 命がけの捜索で助けられて文句をいう遭難者とか、自衛隊に助けられたくないと駄駄を捏ねる遭難者とか、報われない職場の誇りを描いた1冊です。

【レスキューウィングス】【ファイナルシーカー】【小川一水】【自衛隊】【幽霊】【不審船】
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「大漁旗ぶるぶる乱風編」 椎名誠

2008-10-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 椎名誠が日本全国海辺を歩いて写真を撮りまくったフォトエッセイの第4弾。
 生け簀のある店での高いマグロの不味さに激怒し、安い店のマグロの美味さに感涙し、泡盛作りを見学したり、讃岐うどんをむさぼり食ったりの日々。
 7月に出てたんだけれど、9月に買って10月に読んでりゃ、ちょっと季節外れ。なんか青い空、青い海が無性に懐かしくなる1冊。
 確かに日本人は海を大切にしてないのかも。

【大漁旗ぶるぶる乱風編】【椎名誠】【蟹】【ホタテ】【ラーメン】
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「剣の名誉」 エレン・カシュナー

2008-10-10 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「国家の運営や政治には時間がかかる。忍耐と熟慮が要る。そう、妥協だって要ります。政治は玩具じゃないし、われわれも玩具じゃない」
 三日月法務長官フェリス卿の言葉。

 少女キャサリンの家はもとは裕福な田舎貴族であったが、長年の間に所領をかすめ取られ、借金と訴訟にあえいで銀器を売り払って食いつなぐ日々。訴訟の相手は都に住む、母の兄である<狂公爵>。
 だが、ある日突然、<狂公爵>はキャサリンを自分のもとに寄こすことを条件に、訴訟取り下げと資金援助を申し出てきた。
 権謀術策入り乱れる都の政界と退廃的な社交界に強い影響力を持ち、恐れられている<狂公爵>の屋敷に送り込まれたキャサリンは、そこで剣客としての修行を命じられた。伯父である<狂公爵>の剣となり盾となる剣客になれというのだが……。

 表紙は剣を持った美少女で、実際主人公は剣客となった美少女なんだけれど、その周囲は腐女子が喜ぶ男色で固められていますがなにか? まあ、何を考えているか判らず、残酷な気分屋で男色家の<狂公爵>ですが、女はさっさと結婚して家庭に入って夫に従っていればいいという社会で、少女に男装させて剣を習わせたり、職業婦人のパトロンになっていたり、アナーキズムとリベラリズムを併せ持つ人物。こっちが本当の主役なんですね。やっとわかりました。
 とりあえずうっとうしいヤツは、面倒だからぶん殴って心臓にナイフを突き立ててみましたという話。

【剣の名誉】【エレン・カシュナー】【結婚観】【同性愛】【ジェンダー】
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「スペイン巡礼~スペイン全土を廻る」 天本英世

2008-09-14 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「たったひとりだけですか?」
「ごめんなさい。そうです。たったひとりだけだったのです」

 市民戦争に国際義勇軍として参加し、戦死した日本人について。

 “スペインこそ我が恋人”と言い切る俳優・天本英世が、1979年にスペインを旅した7ヶ月の回想録。

 天本英世というと、岡本喜八映画の常連か、死神博士か、はたまた平成教育委員会のアマモトくんかという私なんかにはピンとこなかったのではありますが、20世紀最高のスペイン人作家ともいわれるフェデリコ・ガルシア・ロルカの詩の朗読者であり、日本最大のフラメンコのレコード・コレクターだったのです。
 「スペインを彩るものは血なのである」と言い、こちらで子供と遊び、こちらでロルカやピカソの足跡を辿り、ロルカを唱います。半年テレビに出ないと忘れられますよという周囲の言葉を笑い飛ばし、病床の父と妹を置いてまでスペインへ旅立った天本英世の旅は、まさしく巡礼の旅でした。

【スペイン巡礼】【天本英世】【ロルカ】【水滸伝~青い国境線】【ファウスティナ】
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「MW号の悲劇」 電撃コラボレーション

2008-09-13 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 電撃文庫創刊15周年企画「電撃コラボレーション」の第2弾。

 11人の作家が競作した、「6月18日午後9時に非常ベルが鳴り、謎の沈没を遂げた豪華客船MW(ミレニアム・ワンダー)号」を舞台にした作品集。前半は連作短編をリレー方式で書き継いでいくというもので、なおかつ「タコ」「電撃」「30」のキーワードを作品中に入れなくてはいけないという企画。後半は、それぞれMW号にまつわる外伝集。
 執筆陣は、渡瀬草一郎、三雲岳斗、時雨沢恵一、有沢まみず、成田良悟、近藤信義、藤原祐、在原竹広、岩田洋季、谷川流、おかゆまさき。そしてイラストレイターはエナミカツミととりしも。

 やはり成田良悟が巧い。他の作家も巧いけれど、他の作家はそれぞれ前の作品までの設定やキャラを組み込みながらも好き勝手書いて独立した短編としているのに、成田良悟は最後にそれらすべてを組み込んで1つの設定に収めた上で、なおかつ自分の作品にしちゃってます。
 まず前半のリレーでみんなが好き勝手に広げた風呂敷をきっちり畳んで、無理矢理にハッピーエンドにしています。
 後半は外伝というか後日談も含めた完全に独立した作品群で、谷川流に至っては他の人の作品をまったく無視した、唯我独尊、ゴーイング・マイ・ウェイで全然リンクも引きも関係ない話を繰り広げているのにも関わらず、それすらまたすべてを組み込んで1つの設定に収めた上で、後半をまとめてしまっています。
 一見支離滅裂に見える、とっちらかった話を1本に束ねるテクニックは見事。まるでターンAのような御方だ。

 カバー裏の船長コメントも見落とさないように。

【MW号の悲劇】【電撃コラボレーション】【連作短編】【リレー小説】【クトゥルフ】
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「水木しげる、最奥のニューギニア探検」 荒俣宏

2008-09-09 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 荒俣宏が2006年1月に水木しげる大先生のお供をして、ニューギニア旅行へ行ったときの記録。副題は「荒俣宏の裏・世界遺産1」。「裏・世界遺産」とはニューギニアのことなのか、はたまた御歳84歳になろうという年齢でニューギニア奥地に足を踏み入れた大先生のことなのか……。

「美人は国家で保護しないといけませんなー」

 「博物学者・荒俣宏」の書く本ですから、大航海時代のニューギニアからカーゴ信仰まで筆は縦横無尽に走りますが、実際の旅の内容は分量的にやや物足りず。きっと、暑さでへばってカヌーの上でみんな死んでいたからだと思います。前半1/3はこうした博物学的余談とか、美人論とか幸福論とかに紙幅をかなり費やしてますし、後半1/3は闘病記と化していますから。
 その分、写真はたっぷりで、むしろ写真集として見た方が良いのかな。ユビキタス社会、ばんざい……。

【水木しげる、最奥のニューギニア探検】【荒俣宏】【ストーリーボード】【クソ】【マサライ】【憑き物】【ノニ】
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「マハラジャのルビー」 フィリップ・プルマン

2008-08-03 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「科学的な技術でぶちのめされるのは、べつに不面目なことじゃねえんでさ」
 元ボクサーにして禁酒主義の悪漢、ジョナサン・ベリーの反論。

 ヴィクトリア朝のロンドン。シャーロック・ホームズの活躍したあたりの時代という方が通りやすいか。ちょうどボクシングが、拳剥き出しの殴り合いからグラブをつけたスポーツに移行しつつある一方で、賭試合も盛んな時代。
 海運会社の経営者だった父を船の事故で失った16歳の少女、サリー・ロックハートは父の遺産を弁護士の信託化に置かれ、今は遠縁の意地悪な老婆のもとに居候の身。この時代のこの年頃、この家柄の娘なら礼儀作法の家庭教師にでもなるかというところだけれど、インド生まれで元軍人の父親の影響を強く受けているサリーには一般教養とか礼儀作法とかは苦手分野。
 そんな状況のサリーのもとへ死んだはずの父親から、似ても似つかぬ筆跡の手紙が届いた。分けの分からないので、もう縁のない父親の会社を訪ね、そこに書かれていた「7つの祝福」という言葉を居合わせた重役に尋ねたところ、恐怖のあまり死んでしまったのだ。しかも残った別の重役の態度もおかしい。
 彼女はひそかに手紙に隠された謎を解こうとするのだが、そこには十数年前にインドで起こった反乱と、そのときに消えたルビーが関係するらしい……。

 天涯孤独の少女を助け、冒険小説好きのメッセンジャーボーイや経営手腕のないカメラマン、腕っ節の強い神父たちが大活躍! 少女サリーも礼儀作法はからっきしだけれど、弁護士相手に予想利益を挙げて投資先変更の指示をするあたり、商売人としてのセンスはただ者ではないと思わせます。文学や美術はダメだけれど、株式市場や射撃はOKと……まあ、この時代としては変わり者ですね。
 この巻でルビーの謎は解決し、時間は数年後の話になるとか。楽しみですが、こういう話なら、もっとカラッとした表紙イラストの方が良いと思います。このいかにも犯罪小説だか大昔の児童文学だかという表紙で損してるんじゃないかな。

【マハラジャのルビー】【フィリップ・プルマン】【海賊】【東洋貿易】【アヘン】
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「地獄の綱渡り」 アリステア・マクリーン

2008-05-19 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 この「地獄の綱渡り」ってタイトルだけで引いてしまいますね。どこの江戸川乱歩か藤田和日郎かというタイトルですが、まあ、内容は東西冷戦真っ直中の東欧を舞台にしたスパイ活劇。

 東欧の某国へ親善サーカス団が入国するが、それは研究施設から反物質の機密を奪取するためのカムフラージュであり、CIAから依頼を受けたエージェントとはサーカスの綱渡り芸人だった。彼の特技は綱渡りだけではなかったのだ……。

 ルイ・マル監督の『ビバ!マリア』とか、(当時はまだ影も形もなかったけれど)藤田和日郎の『からくりサーカス』とか、サーカスの芸人って戦うと意外に強敵なんだぜ!という設定は練り込めばすごく面白くなるんだよね。いや、これに限らず、本来は非戦闘員の職種なのに戦っても強いっていうギャップの面白さは好きなのですよ。朝松健の『ユニコーン作戦』とか菊地秀行の『妖神グルメ』じゃコックが強いし。
 もう1つ面白くなったと思うんだけれどなあ。マクリーン作品としては凡作。

【地獄の綱渡り】【CIRCUS】【アリステア・マクリーン】【ハヤカワ文庫NV】【サーカス】【反物質】【東西冷戦】【絶対記憶】【ダブルスパイ】
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「陸の海賊~ドイル傑作集4」 コナン・ドイル

2008-05-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 日本では……というか、本家イギリスでもシャーロック・ホームズの生みの親としてばかり有名で、あとは『失われた世界』のチャレンジャー教授くらいしか知られていない作家コナン・ドイル。でも、本人が本当に書きたかったのは歴史小説で、晩年はオカルトに傾倒していたというのも、そこそこ知られた話。
 そんなコナン・ドイルの諸作品を、ジャンルごとに集成した創元推理文庫の『ドイル傑作集』もやっと4巻。別の出版社でスタートした時みたいに、途中でぽしゃりはしないかとドキドキしていましたが、なんとかここまで辿り着きました。
 さて、今回は『陸の海賊』というタイトルからして海賊物か!?と思いきや、確かに海賊物も数編入っていますが「スポーツ・冒険編」。いきなりボクシングの懸賞試合から始まって、狐狩りやらクリケットやらあれこれ。実はスポーツ小説というとキンセラの『シューレス・ジョー』、ブラウンの『プレーボール!2002年』、大泉浩一の『杜の都のボールパーク』くらいと全部書名をあげられるくらいしか読んでいませんでしたが、みんな読めば面白いんですよねえ。
 こうしたスポーツ小説がさほど人気にならなかったというのは、ホームズが偉大すぎたのか、はたまた当時のスポーツ小説の水準がこれくらいだったのか。これも充分に楽しめました。

【陸の海賊】【ドイル傑作集4】【コナン・ドイル】【拳闘】【幽霊譚】【復讐譚】【魔球】【海賊】【勇将ジェラール】
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