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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「ターザンと狂人」 エドガー・ライス・バロウズ

2010-11-23 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「野獣は欲に動かされたりしないし、復讐心にかりたてられることもほとんどない。やつらは人間よりも大きな尊厳さを持っている」
 ターザンの言葉。

 ターザンブックスももう末期の作品。

 自分をターザンだと思いこんだ狂人がアメリカの大会社令嬢を誘拐したことから、誘拐犯扱いされたターザンが怒り狂い、ニセモノは殺す!とジャングルを追撃する話。

 さすがジャングルの王者は血の気が多いなあ。あまりの怒りっぷりに、こちらがニセモノじゃないかと思うくらいの言動の数々。ヒーローものにニセモノ話はつきものだけれど、誘拐はするけれど紳士的なニセモノにたいして、殺す!殺す!のホンモノには引いてしまいました。
 それから、あいかわらずヒロインが美貌だけが売り物の無能ぶりで、あっちこっちとさらわれてタライ回し。まあ、原著が出版されたのが、私が物心も付かない年という本なので仕方がないけれど、もうちょっと頑張って欲しかった。

【ターザンと狂人】【エドガー・ライス・バロウズ】【武部本一郎】
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「ホワイトハウス・コネクション」 ジャック・ヒギンズ

2010-10-16 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「おいしい紅茶を飲めば永遠に活動できるわ」
 ラング准男爵夫人ヘレンの言葉。ボストン生まれだけれど、もうすっかりイギリス人。

 IRAの過激派<エリンの息子たち>に捜査情報が流れている? 漏洩源はホワイトハウス?
 だが、捜査を続ける英首相直属のチームは、<エリンの息子たち>のアメリカ側協力者と思われる人物が次々と殺されていることを発見する。誰が、何のために? 仲間割れか口封じか、あるいは別組織が動いているのか……。

 男たちの戦いを描く冒険サスペンスの巨匠ヒギンズがこの話の主人公に選んだのは、イギリスの対テロ組織でもなければアメリカ大統領直属の捜査機関でもなく、1人の老夫人でした。
 やっぱりヒギンズは面白いなあ。

【ホワイトハウス・コネクション】【ジャック・ヒギンズ】【北アイルランド和平プロセス】
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「ターザンの双生児」 エドガー・ライス・バロウズ

2010-09-30 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「ジャングルでは、勇気のある者しか生きられないのだ」
 分別は二の次。グレイストーク卿の言葉。

 イギリス生まれの少年ディックとアメリカ生まれの少年ドックは従兄弟同士で、母親が双子だったことから彼らも双子のようにそっくり。しかもターザンことグレイストーク卿の遠縁に当たることから、ついた渾名が「ターザンの双生児」。
 その「ターザンの双生児」がグレイストーク卿に招待されてアフリカに向かったが、乗り込んだ列車が脱線し……。

 世間知らずの少年2人が行ってはいけないと言われたジャングルに足を踏み入れたことから始まる災厄の物語。ちっとも懲りてない気がしますし、彼らが助けに行った少女グレートヘンの方がジャングルに詳しいというのも情けない。少しは進歩があったのでしょうか。
 主人公の少年2人が双子のようにそっくりだということにも物語上の必然性はありませんでした。このあたりになるとバロウズも思いつきだけで話を書いているなあと思いました。

【ターザンの双生児】【TARZAN BOOKS】【エドガー・ライス・バロウズ】【武部本一郎】【黄金都市オパル】【食人種】【ターザン用語の手引き】
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「地底旅行」 ジュール・ヴェルヌ

2010-09-23 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 中世の錬金術師がルーン文字で書き残した謎の古文書を発見したリデンブロック教授は、その記述を信じてアイスランドの死火山の噴火口から地球の中心部を目ざすのだが……。

 変わり者の鉱物学者と慎重派の甥アクセル、無口な人夫ハンスの13週間に及ぶ地球内部への旅は、古典中の古典であり秘境探検物語の基本。ただただ歩いて旅行する話です。人気アトラクション『センター・オブ・ジ・アース』の元となったお話といっても、地底を走るケーブルカーは出てきません……。
 あまりに大胆不敵なリデンブロック教授の行動選択に「計画的に行きましょうよ、計画的に」とニヤニヤ笑いながらひとこと口を挟みたくなります。

【地底旅行】【ジュール・ヴェルヌ】【地底海】【水棲は虫類】【週給】
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「わしらは怪しい雑魚釣り隊 サバダバ サバダバ篇」 椎名誠

2010-06-30 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「こんな話がどうして釣りの専門誌に載るのだろうか、と書いているほうも心配だがもう読者も慣れたことだろう」

 椎名誠と雑魚釣り隊による、釣りと宴会の記録の2冊目です。なし崩しにあちらこちらの釣り場に行っては、ぐだぐだな釣りを繰り広げ、ぐでんぐでんになるまで酔って騒ぐ釣り紀行。
 暴風にテントを吹き飛ばされて難民と化したり八丈島で最小釣果記録を更新したり……。

【わしらは怪しい雑魚釣り隊】【椎名誠】【つり丸】【東海林さだお】【カツオ】【カワハギ】【キャベツの丸かじり鍋】【四川風辣油そば】【アジ】
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「博物戦艦アンヴェイル」 小川一水

2010-05-26 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 タイトルからして野尻抱介の「銀河博物誌」みたいな雰囲気かと思ったら違いました。あれほど博物学的なマニアックさはありませんでした。ちょっと残念。児童向けの海洋冒険ファンタジーの要素を丸ごと押し込めたようです。

 諸島の戦いは強大な島国ラングラフの勝利に終わったが、終戦により街には食を失った帰還兵があふれていた。騎士を目指す少女ティセルも資格十分ながら空席が無くこのままでは浪人確実の身の上。
 そんなティセルに思いもよらぬ話が舞い込んできた。ラングルフ王が海の果てにあるという「古の驚異」を探るために博物戦鑑を送り出すというのだが、その艦に乗り込む少年の護衛を務めるなら、騎士の地位と十分な俸禄を支払おうというのである……。

 博物戦艦というからどんなものかと思ったら、単なる調査船でしたね。博物調査もやるけれど挑まれれば戦闘もするから博物戦艦ってところでしょうか。戦うビーグル号というよりUSSエンタープライズ号の方がイメージに近いのですが、艦長が頼りない若造なのでぐだぐだ感が漂います。
 今回はまだまだ登場人物が顔見せしつつ立ち位置を決めたというあたりなので、次巻以後に期待です。

【博物戦艦アンヴェイル】【小川一水】【藤城陽】【大型帆船】【海洋冒険】【奇矯王】【メギオス驚異】【片手剣徒歩騎士子】
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「三国志男」 さくら剛

2010-03-20 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 ゲームを通じて知った「三国志」の物語にのめり込み、コミックから小説へと次第にはまっていった著者が、ならば所縁の名勝旧跡をこの目で見てやろうと中国大陸へ飛んだ旅行記。
 甘露寺に行っては「孫尚香と3ヶ月新婚生活を送らせてくれるなら、その後暗殺されてもいい」と言い、徐庶の墓を見ては「名軍師の前に洗濯物を干すなよっ!!!」と怒ったり、あるいは展示館の大喬・小喬の美人姉妹がオバケだったり……。
 他の本でもありましたが、中国本土では『三国志』はあまり有名ではないらしく、関羽・張飛あたりだと立派に祀られていたりしますが、それ以外だと墓や史跡が目の前でも地元民が知らなかったりすることも多いようです。

【三国志男】【さくら剛】【しりあがり寿】
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「一天四海のマーガレット」 北沢大輔

2010-03-06 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 19世紀のロンドンで若き英国貴族エリオット・マクスウェルがつましく暮らしているのも、錬金術にとち狂った先祖が遺した莫大な借金のせい。しかも、ある日突然、彼の館が大爆発したことから、テロリストの濡れ衣さえ着せられてしまったエリオットが一発逆転するには、怪しげな男たちに指図されるまま80日で世界を一周するしかない。それも地下の爆発跡から発見された人造美少女と共に……。

 ヴェルヌの『80日間世界一周』を下敷きに……というより『80日間世界一周』だけをガイドブック代わりに押しつけられた少年の世界一周の、旅の行方やいかに!?
 そういや、昔、『サイエンスくんの世界旅行』という学習マンガがあったなあ。
 もう少し序盤のテンポが早いと読みやすいかと思いました。どちらかというと丁寧に順を追って説明しすぎかも(親切と言えば親切です)。あと、ヒロインにしろ、追っ手にしろ、もっとベタベタにパターンを踏襲する方が面白い気がします。あるいは『地球の歩き方』を模したような構成にしてしまうとか、素材が面白く、イラストが良いだけに、もう一工夫を要求してしまいます。

【一天四海のマーガレット】【80日間世界一周】【北沢大輔】【呉マサヒロ】【集英社スーパーダッシュ文庫】【錬金術】
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「アンギャマン」 左剛蔵

2010-02-09 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 文字通り、大阪から伊勢まで歩き続けた6日間の行脚を、背景をすべてカラー写真にしたコミック形式で描き綴った写真マンガ。
 わたしはこういう旅行記は好きなのだけれど、ヒゲの男と目玉人間が歩き続けるだけの話なので、とにかく“潤い”はありません。
 こういう旅も、自分がシニア(現ベンチャー)スカウトのときにやったけれど、とにかく野宿する場所探しに苦労しました。山の中でいちばん手頃なのはバス停の待合所なんだけれど、そういうところって野グソが放置したまんまとか荒れ果てているんですね。観光地近くだと、そもそもテント張られるのも周囲が嫌がるので、いったいどうやって過ごしたか記憶から抜け落ちるくらい忘れたい記憶です。
 良い思い出というと、日本海側から太平洋側へ横断したときにゴールの長島温泉でゆっくり風呂に入ったことかな。歌謡ショーでは狩人が歌っていて、大浴場では隣の女湯を覗こうとしたのか親父が螺旋階段で足を滑らせて転がり落ちていたことくらいが思い出です。

【アンギャマン】【リアル遠足伊勢巡礼編】【左剛蔵】【貧乏徒歩巡礼】
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「KGBの世界都市ガイド」 訳:小川政邦

2010-01-26 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「止まれ! ばか者、止まれ! 敵に信号を送っていると思われるぞ!」
 海辺で走り出した妻に向かって叫んだイギリスの作家D・H・ロレンスの悲鳴。コーンウォールに移り住んだロレンスだが、ドイツ人女性と結婚したこと、彼が作家であるということから、夫婦は常に周辺住人すべてから監視され、洗濯物を干すことさえままならなかった。

 KGBといえばソ連の国家保安委員会であり、冷戦時代には共産陣営のスパイ網の中核としてさまざまな工作活動をおこなってきた巨大な権力機構です。かつてはスパイ映画や小説における敵の親玉の代名詞でもありました。
 それがソビエト社会主義共和国連邦が解体され、KGBも改組され、核戦争で人類絶滅もありうるといわれていた東西冷戦も今は昔。戦争の危険性としては東西対立で構図がはっきりしていた当時より混沌としてしまった今の方が危ないともいわれていますが、それはともかくとしてKGBのエージェントがどのように採用され、世界各国に派遣されてはどのような活動をしていたかとか、彼らから見た世界の主要国の姿はどうなのかとか、気軽に読める時代が来てしまいました。
 60年代に日本に赴任した新米エージェントの回顧やらリオのシュラスカリアで24種類の肉を堪能した話、ボリショイのバレリーナを連れてティファニーを訪れたときのことなど、11人の退役した諜報部員たちが語るKGBとしての日々。

【KGBの世界都市ガイド】【小川政邦】【ユーリイ・センケヴィチ】【娼婦】【愛国者】【イギリス人】【ランデヴー】【切手収集家】【ジャーナリスト】【動物園】【情報提供者】
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「女王の復活」 ヘンリー・ライダー・ハガード

2010-01-22 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 『洞窟の女王』の続編である『女王の復活』ですが、わが家にも創元文庫版があるかと思っていたらロマン全集版しかありませんでした。こんなイラストで女王といわれたら、どこのメディチ家かと思ってしまいますね。イラストって大事だなあ。

 若返るはずの生命の焔をあび、逆に醜く老いさらばえた残骸と化してしまった洞窟の女王アッシャだったが、女王の恋人であったレオは生きかえると誓った女王のことばを信じ、彼の後見人である醜いホリーと共にアフリカの奥地から神秘の国チベットへと旅を続ける。
 その前に姿を現す謎の女性ヘスの正体は……。

【女王の復活】【ヘンリー・ライダー・ハガード】【輪廻転生】【精霊の力】【カルーン】
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「吼える海流~魔大陸の鷹(1)」 赤城毅

2010-01-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 時は大正、処は花の巴里。子爵家の放蕩息子で終わらせるのは惜しいと、海軍大将・伊集院隆介は、甥の伊集院従吾にジンギスカンの墳墓より発見された未知の金属板の謎を解くべく南海行きを命じる。
 苦手の叔父に難題を押しつけられた従吾だが、これもまた余興と美女と美少女を引き連れて愛機を駆って南海へと向かう。その行く手に立ちふさがるのは、世界支配を画策する軍隊、そして謎の怪人・暗闇公爵!

 平成の世に、明治から昭和初期にかけての秘境探検小説・冒険小説をリバイバルさせようという作品群。こんな企画が通ってしまったのはなんというか海野十三や押川春浪が再評価されたのではなく、ゲーム『サクラ大戦』あたりの影響のような気がします。
 こういう活劇は今こそ実写映画で観たいものです。

【吼える海流】【赤城毅】【絶海の孤島】【成吉思汗】【神器】【米国海兵隊】【黒魔術】
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「サラエボ旅行案内」 FAMA

2010-01-11 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「事態が悪くなればなるほどユーモアの生産量は増す」
 これが人間の叡智であり文化の底力であるという池澤夏樹の解説。

 ユーゴスラビアから独立したボスニア・ヘルツェゴビナで発生した内戦は1992年から1995年まで続き、死者だけでも20万人を超えたとされています。その間、セルビア人勢力によって包囲され続けた都市サラエボの状況を、ミシュラン形式のガイドブックとして紹介したものが本書。日本版の刊行は1994年1月です。
 こういう本を第三者が作ると悪趣味と非難されるかも知れませんが、サラエボを拠点とする編集グループによるものなので一種のブラック・ユーモアを利用したアピール活動といえるでしょう。
 包囲下の都市に出入りできるのは、外交官・報道関係者・人権援助活動グループ。救急車や赤十字の腕章は狙撃のターゲットにしかすぎず、街の真ん中には国連治安維持部隊が抑えた空港があるけれど、外へのキップを手に入れるのは至難の業。その優先順位やワイロの相場から、市内の交通事情、食事や観光についてもあれこれフォーマット通りに記述されています。
 市電・バス・バン・トロリーバス・ケーブル鉄道は動いておらず、タクシーは存在していません。車は壊れるか没収されるかで、ガソリンも不足しているので主な交通手段は徒歩、そして自転車。ショッピング用カートもレンタルできたようです。ちょっと外出するにも瓦礫を乗りこえ、裏口を通り抜けと片道が精一杯。たまたま電気が通じていて飲み物が手に入った家でパーティーが開かれるというと2日がかりとなります。昼間に移動して辿り着き、徹夜で騒ぎ、また次の日1日かけて自宅にたどり着く……というもの。
 葬式は日常茶飯事だけれど、身内以外は出席しないし花も贈らないのが通例。贈りたくても花など売っていない。そんなセルビアの街を見て歩くためのガイドブックです。

【サラエボ旅行案内】【史上初の戦場都市ガイド】【FAMA】【戦闘糧食】【墓地】【病院】【国連軍】【劇場】
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「樹海の歩き方」 栗原亨

2010-01-10 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「もう、樹海で遺体を発見するのはやめた方がいいんじゃないかな」
 見つからなければ遺族も生きているという希望を持てるのにと捜査員の言葉。

 自殺の名所といわれた東尋坊から飛び降りるのが趣味のおじさんがいたように、同じく自殺の名所と言われている青木ヶ原の樹海を踏破するのが趣味の人がいるのが世の中というものです。そんな趣味の著者が、樹海の概要から注目スポット、装備の選び方まで書いたマニュアルが本書です。
 ただがっかりするのは日本最後の秘境である青木ヶ原でもコンパスは狂わないということ。「樹海では溶岩に含まれる磁鉄鉱などの影響でコンパスが狂う」というのは村営博物館にも記載された常識ですが、実際に著者が歩き回っていて狂ったことはないし、たまたま遭遇した陸自のレンジャー部隊に訊いても狂ったことはないという答えだったそうです。
 ただ、磁石が狂わないからといって遭難者や自殺者がいないわけではなく、かなりの頻度で遺体等に遭遇しており、遺体を発見したときの通報の仕方などにも紙幅が費やされていますし、袋とじは見つけてしまった死体のカラー写真集なので、そのまま破り捨てて見なかったことにしました。

【樹海の歩き方】【栗原亨】【さまよえる亡霊】【青白く光るキノコ】【野犬の群】【人食い熊】【首吊りの巨木】【祭壇】【洞窟】【コロニー】【まぼろしの遊歩道】
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「奇厳城/ペロー童話/紙カヌーの冒険/ガルガンチュア物語 …他」 少年少女世界の名作22

2010-01-07 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「天の火、山のあらしよ。わたくしのあいする友、この古いかしの木をきずつけないでおくれ。わたくしがおまえをあいしたように、子どもたちがいつまでもおまえをあいしてくれますように」
 エンミの祈り。

 さあ、フランス編です。
 フランスの作品なんてデュマ以外は馴染みがないと思いきや、ルブランのアルセーヌ・ルパンものがありました。忘れちゃいけませんね。名編『奇厳城』です。
 紀元前のガリア戦記の時代からフランスに秘かに受け継がれてきた謎を巡って怪盗ルパンが暗躍し、イギリスの名探偵シャーロック・ホームズ(オリジナルではエルロック・ショルメ)、宿敵パリ警視庁のガニマール警部、そして高校生探偵イジドール・ボートルレがルパンと対決するというもの。で、こちらは悲劇的な結末のクライマックスをすっぱりカットしたハッピーエンド版。これを思うとホームズが独身を貫いた形になっているのは正解だと思います。

 それから、巨人の代名詞ともいうべきガルガンチュアが登場する『ガルガンチュア物語』。ただし、その息子である快傑パンタグリュエルにまでは届かず。
 ペローからは「長ぐつをはいたねこ」「サンドリヨン」「ほうせきひめ」「おやゆびこぞう」の4編。「サンドリヨン」は「灰かぶり」でシンデレラのことですね。よく知った有名な話ばかりです。
 『田園の保安官』はファーブルによる小品で、ふくろうの生態を語ったもの。
 500才の樫の木とブタ番の少年エンミの物語『ものいうかしの木』は、フェミニズムの旗手である女流作家サンドの作品。どろぼう村や森の描写が面白くて、意外と夢中になって読み返した記憶があります。
 そして、紙製のカヌー<キビブー号>でヨーロッパの河川1万キロを旅した著者ボーガン自身の記録である『紙カヌーの冒険』は、この本以外に情報がみつからず、本当はどうだったのかしらと思うことしきり。      

『ペロー童話』原作:シャルル・ペロー/絵:赤坂三好・多田ヒロシ・高橋真琴 他
『ガルガンチュア物語』原作:F・ラブレー/絵:村上勉
『田園の保安官』原作:アンリ・ファーブル/絵:藪内正幸
『ものいうかしの木』原作:ジョルジュ・サンド/絵:上田武二
『紙カヌーの冒険』原作:T・ボーガン/絵:依光隆
『奇厳城』原作:モーリス・ルブラン/絵:柳柊ニ

【ワイドカラー版少年少女世界の名作22】【フランス編3】
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