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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「さすらいのスターウルフ」 エドモント・ハミルトン

2008-10-30 | 宇宙海賊・宇宙商人
「人間にとって完全に平穏な状態というのは、死と同じことだからね」
 ヴォホル人科学者ラブティブディンの言葉。

 えっと、ハヤカワSF文庫の1冊目にして初期スペースオペラの代表作。

 高重力惑星ヴァルナ出身の無法者集団スターウルフは、宇宙各地で略奪行為を繰り返し、忌み嫌われ、恐れられていた。
 主人公モーガン・ケインは、ヴァルナ育ちの地球人だが、分け前争いから仲間を殺してしまい、スターウルフの裏切り者として追われることになる。
 やがてケインは地球の外人部隊に救われるが、元スターウルフだという正体が露見すれば命はない。外人部隊を指揮するジョン・ディルロは、四面楚歌のケインの正体を察した上で役に立つと受け入れるが……。

 スターウルフって名前だけでカッコイイ。漢字で書くと「星狼」。それもカッコイイ。特撮テレビ版はオープニングが曲も映像も名作だと思います。
 ちなみに『愛しのスペース・オペラ』で「スターウルフ」の訳者でもあった野田昌宏が「高千穂遥がスターウルフを書こうとしているが」と書いていますが、その文庫版『スペース・オペラの読み方』の巻末解説で高千穂遥自身が「書けなかった。高千穂版はありえない」と断言してます。残念です。

【さすらいのスターウルフ】【エドモント・ハミルトン】【宇宙海賊】
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「ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ)」 笹本祐一

2008-10-25 | 宇宙海賊・宇宙商人
「状況判断が的確で、装備と準備さえできてれば、なんだってできるよ」
 宇宙ヨット部副部長リン・ランブレッタの言葉。

 お嬢様学校の宇宙ヨット部に所属する、高校1年生の加藤茉莉香の家を怪しげな男女が訪問した。茉莉香の母、梨理香とも古い付き合いらしい彼女らは、ゴンザエモン加藤が2日前に死んだと告げた。
「ねえ、ゴンザエモン加藤ってどこの人?」
「あたしの旦那。おまえの父親だよ」
「ふうん……ええええ!」

 2人は宇宙海賊船<弁天丸>のクルーであり、茉莉香に船長就任を要請した。
 <弁天丸>は海賊船といっても私掠船。1世紀前の独立戦争のどさくさの中で発行された私掠船免状は、免状交付時の艦の存続と船長の存在が条件。船長死亡の場合は、直系の子供による世襲のみ認められるというのだ。
 そんな話を即座に受け入れられるわけでもない。回答保留のまま茉莉香はヨット部の訓練公開に出発するが、中継ステーションに長く係留されたままだった練習船<オデットII世>の正体は……。

 あー、確かにこの話には『エリアル』と『星のダンスを見においで』の精神が生きている。女子高生最強伝説……。
 宇宙海賊話といっても、まだ『星のダンスを見においで』のような海千山千のバケモノがぞろぞろ出てくるような展開にはなっておらず、どちらかというと、ほら、旭荘5号室から侵略戦艦に乗り込んでいってしまうような感じ。あの展開が好きな人ならたまりませんね。航法関係や電子戦のシークエンスはやたら詳しいし、女子高生はバケモノだし。
 でも<弁天丸>の皆さんは、いわゆる宇宙海賊というより星海企業って感じですな。
 楽しみなシリーズの開幕です。

【ミニスカ宇宙海賊】【笹本祐一】【ハーロック】【私掠船】【お嬢様学校】
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「戦いの子」 カリン・ロワチー

2008-08-01 | 宇宙海賊・宇宙商人
「人は自分の大切な過去を失うべきではない」
 戦闘輸送艦<マケドニア>艦長、カイロ・アザーコンの言葉。

 家族と共に乗り込んでいた宇宙商船が海賊に襲撃され、両親も他の乗員も虐殺。まだ8歳のジョスだけが海賊船長ファルコンに連れ去られる。
 ファルコンに食事のマナーやポーカーの練習などをさせられながら愛玩物のような暮らしをして1年。補給に立ち寄った宇宙ステーションで逃亡を試みるが、そのジョスを助けたのは人類と戦争が続く異星種族ストリヴィイルク=ナだった……。

 超弩級戦争SFと帯に唱ってあるけれど、そういうことはないなあ。
 確かに戦闘訓練-戦闘の描写は多いけれど、あまり「戦争」といった雰囲気は無いので、ミリタリー小説を期待するとショボン。個人戦闘ではあれこれ描写はあるけれど、戦闘全体はニュース記事ほどしかないし、艦隊戦は皆無。1兵士の視点から見た戦場という意味ではリアルだけれど。
 海賊に囚われた少年がやがて異星人の戦士カーストに育てられ、その後海賊狩りと異星人との戦争の中核となる人類側の戦闘艦にスパイとして送り込まれ……という、3勢力のはざまで翻弄される少年の成長物語。ハインラインあたりが大昔にジュブナイルで書いていた話を3倍に膨らませたような雰囲気かな。
 確かに面白くて一気に読んでしまったけれど、その一方でこれだけ文量があったらもう少し書き込めないかと思う箇所もあり。まあ、作者の取捨選択の方向が自分の望んだ方向と違ったというだけですが。ポーカーは結局あれだけの伏線だったんですかとか、戦闘訓練で剣による白兵戦を重視するのは結局どういう意図だったのかなとか、悪そうな人はやっぱり悪かったんですねとか、男の子が死んだときはあれこれ余波があったのに女の子の時はいつの間にか死体が転がっていて終わりですかとか。

【戦いの子】【カリン・ロワチー】【ハートマン軍曹】【暗殺僧】
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「スペース・オペラ名作選2 お祖母ちゃんと宇宙海賊」 野田昌宏編

2008-06-07 | 宇宙海賊・宇宙商人
 野田昌宏・宇宙軍大元帥の訃報が届く。
 合掌。

 野田昌宏という人はスペースオペラの啓蒙を続けた人でした。もちろん「どんなものも、その90%はカスである」というスタージョンの法則の通り、スペースオペラの9割はカスなのだけれど、その残り1割を、いかにも面白可笑しく吹聴して回った人。
 そうして紹介された、キャプテン・フューチャーやスターウルフのように有名なシリーズものは置いておいて、単発のスペースオペラ作品を紹介したのがアンソロジー集、『お祖母ちゃんと宇宙海賊』。
 収録された作品の大半は、今から見るとより抜いてさえこれかい!?という水準ではあるけれど、表題作の「お祖母ちゃんと宇宙海賊」はなかなかの快作。これがあるから仕方がないねえという。

 カリストから地球へ向かう豪華客船<キスメット号>が宇宙海賊に襲撃された!
 乗り込んでいたおチビなおばあちゃん、152歳のパーキンス祖母ちゃんは宇宙服を着込んで、有名な乗客の1人である美人女優トゥジュールになりすますと海賊船に潜入。宇宙海賊を手玉にとって大反撃。ついにはやってきた宇宙パトロールまで巻き込んで……

 スペースオペラ名作選2といっても『名作選1 太陽系無宿』は(たぶん)読んでないし、2も実は手元にない。
 15年ほど前に、三重の山奥に転居したNさんに借りたのだ。膨大な蔵書の中から「これいいですよ」と貸してくれて、家に帰って読んでまた高速飛ばして返しに行ったという1冊。庭でバーベキューして焼いたハムが美味しかったなあ……。

 まあ、こんな感じで、みんな宇宙軍大元帥の敷いたレールを走ってきたのですよ。(2008/06/07)

「スマートな女性ってものはね。ヘアピン1本ありさえすりゃ、やれないことはないんですよ」
 御歳152というマチルダ・パーキンスの言葉。

 アマゾンで安く出物を見つけて購入。
 よしよし。(2012/02/09)

【スペースオペラ名作選】【お祖母ちゃんと宇宙海賊】【J・マッコネル】【夜は千の眼を持つ】【J&D・ド・クーシー】【サルガッソー小惑星】【F・A・カムマーJr.】【宇宙船上の決闘】【H・ハス】【隕石製造団の秘密】【P・ハミルトン】【野田昌宏】【水野良太郎】
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「ペイルココーン」 板橋しゅうほう

2008-05-22 | 宇宙海賊・宇宙商人
 昔、『月刊OUT』という雑誌があって、創刊の頃はポップカルチャーとかロック音楽とかSFとかなんでもかんでも記事にしていて、やがてアニメ記事が増え始めて『月刊アウト』となり、今はもうない……。
 その最初期に連載していたのが、板橋しゅうほうによるアメコミ調SFコミック『ペイルココーン』。

 太陽系をパトロール中の国際防衛機構のアメリカ軍機が異星人の宇宙船と交戦。敵に対して4発の核ミサイルを叩き込むが自機も大破した。火野が指揮する大阪支局のパトロール機が救助に向かったが、異星人の巨大宇宙船はいまだ健在だった。
 火野はかろうじて助け出したクリフォード大佐らと共に脱出を試みるが、異星人の船内で暴れ回っていた怪獣ジアーラが火野機の前に出現。時空変異に巻き込まれてしまう……。

 人気最低で、打ち切られるならと開き直って、「ヤマト」だ「ライディーン」だ「鋼鉄ジーグ」だ「エイトマン」だと、一転ギャグにしたところ人気爆発。タイムスリップするわ、スターリング少年とラスカル小僧は出てくるわ、異星人ガーホンはクレオパトラとデートするわとなんでもありに。そしてOUT別冊の『ランデヴー』に出張したり、『アニメック』で番外編を連載したりと、あっちこっちでやり放題やった果てに東京三世社でのコミック化の際に大幅描き直しして無理矢理に元々の路線で集約。『幼年期の終り』と『デビルマン』を足して割ったようなクライマックスには唖然とするばかりでした。そう。地球は蒼ざめた繭だったのです。(2009/05/22)

 コミックにまとまったところで読み返してみても連載中のような興奮は無し。
 やはり、これは「なにが起きるか解らない」という雑誌連載でのライブ感覚あっての面白さ。たぶん「CDで聴くのと同じ曲なんだからどうしてわざわざライブやコンサートに行くの?」とアーティストやアイドルのコンサートに積極的に行く人に訊ねたときと同じ答のような気がします。(2009/06/19)

【ペイルココーン】【板橋しゅうほう】【タイムトラベル】【人類の覚醒】【アメコミ】【繭】【パロディ】【アトランティス】【タイムリサちゃん】
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「恐怖の疫病宇宙船~太陽の女王号2」 アンドレ・ノートン

2008-01-21 | 宇宙海賊・宇宙商人
 2004年に岐阜で開催された日本SF大会『G-con』。そこでの新訳レンズマンについて語る企画で、新訳版の訳者である小隅黎こと柴野拓美氏が語ったことですが、アンドレ・ノートンの<太陽の女王号>シリーズが全4巻のうち2巻までで止まってしまったのは、イラストに起用した松本零士が売れっ子になって使えなくなった為だそうです。そういう話を聞くと、ライトノベルの原点はハヤカワ文庫のSFシリーズにあるような気がしてきます……。
 「ライトノベル」を漫画家のイラストを表紙にして(商品価値におけるイラストの比重が高く)少年少女向けに書かれた小説と定義した場合、そのもっとも最初の作品は久美沙織の『丘の家のミッキー』あたりだろうと思っていました。でも『おかみき』がめるへんめーかーのイラストで世に出たのが1984年9月。でもハヤカワ文庫が漫画家・松本零士を使っていたのはもっと前。ノートンの『大宇宙の墓場』の初版は1972年4月刊行。その頃はノートンやC.L.ムーア、マイクル・ムアコックといったスペオペやファンタジー小説のイラストといったら松本零士一色でした。手元にあるいちばん古い作品ですと、1971年9月刊行の『大宇宙の魔女』。
 つまり(ライトノベルは国産に限ると定義しない限り)ハヤカワSFこそが今のライトノベルの原点であり、その最初はシャンブロウということになるのではないでしょうか(ちなみにソノラマ版『宇宙戦艦ヤマト』は1975年)。[2007.8.26]

 交易を成功させ、意気揚々と帰還する<太陽の女王号>。
 しかし突然謎の病気で次々に倒れる乗員たち。疫病か? 未知の疫病なら危険船として乗員ごと焼却処分されてしまう!
 デイン・ソーソンは一か八かの強硬手段に出て生き残りを図るのだが……。

 やっぱり大企業ってのは悪かったり、ずるかったりして、頑張っている中小企業の上前をはねようとしているんだよという話……かな?

【恐怖の疫病宇宙船】【太陽の女王号2】【アンドレ・ノートン】【松本零士】【ハヤカワ文庫SF】【疫病】【交易】【探検】【スペオペ】
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「大宇宙の墓場~太陽の女王号1」 アンドレ・ノートン

2007-11-01 | 宇宙海賊・宇宙商人
 アンドレ・ノートンの太陽の女王号シリーズは、ほぼ50年前の作品ですが、今読んでも面白いよね。

 通商員の試験に合格したデイン・ソーソンは自動機械の選別によって乗り込む船を指定されるが、それは<大企業>の交易船でもなければ退屈な惑星間航路でもなく、自由業者の船だった。彼らは一攫千金を追い求める冒険者のなれの果てであり、エリートコースを外れた貿易業界の一匹狼にすぎない。
 だが幸運なことに、ソーソンが乗り込んだ<太陽の女王号>が立ち寄った辺境惑星では、銀河系調査局が臨時の競売を開催していた。滅多にない話だが、何か緊急事態に対応するため、探査船が手近でデータの処分を迫られていたのだ。
 その結果、<太陽の女王号>はかろうじてDクラス惑星の通商権を手に入れることができた。自由業者としては一生に一度巡り会えるかどうかという幸運だ。
 しかし、彼らの手に入れた惑星<リンボー>は、先史文明によって破壊し尽くされた星だった……。

 テンポの良いストーリーが地球から銀河辺境まで展開し、あっという間に読了。ま、ジュブナイルSFですから、その分、個々のキャラクターの描写が薄いという面はあるかもしれないけれど、主役だけしっかり押さえていればいいさね。
 最近のハヤカワ文庫は、旧作の復刊+ライトノベル風にリニューアルというのが1つの流れになっているので、できれば未訳分も含めて復刊を期待したいものです。あ、イラストは少女マンガ風なのはダメだよ。若者とオヤジの群れとメカとBEM。これをしっかり描ききれるイラストレイターを希望。(2007/11/01)

 2009年の宇宙SFフェアで再販かかりました。これを機会に残りの作品も翻訳されるといいのにな……。(2007/06/04)

【大宇宙の墓場】【太陽の女王号1】【アンドレ・ノートン】【松本零士】【ハヤカワ文庫SF】【宇宙サルガッソー】【交易船】【古代文明】【宇宙海賊】
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「若き女船長カイの挑戦~栄光への飛翔」 エリザベス・ムーン

2007-10-18 | 宇宙海賊・宇宙商人
「お祖母ちゃまの言うことを聞けばいいんでしょ?」

 帯によれば「熱血宇宙冒険SF」だそうだ。ただし艦長ではなく船長。宇宙商船のお話。

 後輩への親切が仇になって士官学校を退学させられた少女カイ・ヴァッタは、父親の経営する航宙会社が廃船処分にしようとしているオンボロ船最後の航海を任され、宇宙へ放逐された。ベテランスタッフに支えられた新米船長の旅立ちだ。
 しかし途中立ち寄ったステーションで輸入されるはずの農作業機械が届かない話を聞き込んだカイは、儲け話を見逃す手はないと寄り道を決めるのだが、それが戦争に巻き込まれる第一歩だった……。


 面白い。600頁近い作品だけれどサクサク読めました。挫折してオンボロ船に乗り込んだ若者が、ひょんなことから順風満帆なエリートコースではたどり着けない果実を手に入れるという、雰囲気的にはアンドレ・ノートンの『太陽の女王号』シリーズとか、L.M.ビジョルドの『戦士志願』という感じ。
 ただ分量的には『太陽の女王号』の倍なのに、ストーリー的には『戦士志願』と比較してひねりが足りないので物足りない気もします。話をもう少し二転三転させるか、半分の枚数にすればいいのに。ここでもう一波乱あるだろう!? どんでん返しが来るだろうと思っているうちに終了するんだもの。最後の150頁は実質的にはエピローグだものね(それはそれでキライじゃないけど)。

【若き女船長カイの挑戦】【栄光への飛翔】【エリザベス・ムーン】【交易船】【士官学校】【通信網】【オンボロ船】
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「星のダンスを見においで」 笹本祐一

2007-09-15 | 宇宙海賊・宇宙商人
 『星のダンスを見においで』は笹本祐一の正統派の宇宙海賊物です。新書で再版されるときに、書き直しと書き足しで2割ほど増量ということですから、旧版を持っている人でも買いです。
 日本のスペースオペラ界にも宇宙海賊が登場する作品は小説なら『敵は海賊』から『クラッシャージョウ』まで、コミックなら『マップス』から『コブラ』まであれこれありますが、これこそ代表作品。海賊というのは夢とロマンと恐怖の存在であって欲しいので(個人的には現代のマラッカ海峡に出没するモーターボートとサブマシンガンの集団だって「海賊」とは呼びたくない)、レジスタンスだったり冒険者だったり犯罪シンジゲートだったりするような存在を宇宙海賊とは呼べません。

 この『星のダンスを見においで』に登場する海賊たちは、皆、自由で、卑劣で、裏切り者で、欲深で、戦いに生き甲斐を感じる乱暴者ばかり。そいつらが活き活きと罵りあいながら、伝説の海賊船長が隠した秘宝を争奪するため、艦対艦から艦隊戦、電子戦、衝角戦、白兵戦に焼き討ちと多彩な戦闘を繰り広げます。そんな海賊や正規艦隊が入り乱れる戦いに巻き込まれた日本の女子高生唯佳の運命や如何に!?
 ただ難点は、文庫2巻の作品に書き足して新書1冊にしたため、やや分厚くて持ちにくくなったことと、2段組になっているのでエピローグ部分の見栄えが悪くなっていること……かな。個人的には海賊船やデンデロベイバー級打撃戦艦の三面図を希望。
 アニメ版『宝島』のフレーバーを漂わせつつ、最後は『お祖母ちゃんと宇宙海賊』かい!?と思ってみたりして読後感も上々。みんなが争って探していた秘宝の正体も「なんだかなー?」あるいは「結局、なんだったの?」という感想になりがちだけれど、まあ、欲にかられた海賊どもの話なんで別に空き缶1つでも「友情・努力・勝利」の紙切れ1枚でもOKな話ではありました。
 海賊物だもんね。

【星のダンスを見においで】【笹本祐一】【宇宙海賊】【女子高生】
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「トラブル急行」 弓月光

2007-08-26 | 宇宙海賊・宇宙商人
 弓月光といえば「ヤングジャンプ」や「ビジネスジャンプ」でエッチなコメディを描いている作家ですけれど出身は「りぼん」。でも描いていることは今とほとんど同じ。極端な話、直接的な描写があるかないかくらい。
 その弓月光が「週刊少女マーガレット」に最後に連載したのが『トラブル急行』。打ち切り同然に単行本2巻で終わったけれど、今思っても無理もない話。銀河系を旅する零細運輸業者の話ですよ(小説版クレギオンを思ってもらえばよろしい)。そこで彼らが遭遇したのが古代文明の遺産、折り鶴型のバイオシップ。宇宙船そのものに人工知能が搭載されていて、端末は女性アンドロイド型というヤツです。今でこそライトノベルなどでは散見される設定ですけど、マキャフリィの『歌う船』の翻訳が刊行されたのが1984年。これは1982年の作品ですからね(これ以前にバイオシップ、というか人格を持った「頭脳船」の出てくる作品はあったかな……?)。
 小道具だってハインラインやニーブン系のSFアイテムがごろごろ出てきて、パワードスーツはスリムなボディスーツ型から無骨な大型まで。折り鶴宇宙船のシールドに手を焼いた宇宙海賊は、怪しげなパペッティア人の商人からガトリング式ビーム砲を購入する……という、まあ、それをあの時代に少女マンガでやろうというのが無謀ってもんです。今、少年サンデーあたりでやるなら可なんだろうけどもさ。
 弓月光の『甘い生活』の27巻の最後のページ。軌道エレベータ上部のステーション・ブロックのドッキングゲイトに係留されているのは、たぶんチャイカですね……。

 この頃、各人気作家が毎号読み切りマンガを執筆し、読者投票でグランプリを選ぼうという企画があったのですが、このときに弓月光が描いたのが『3DKのサバイバル』。若夫婦の旅行中の団地の一室。留守番をしていたお婆ちゃんが突然死んでしまい、取り残された赤ん坊が4LDKをはい回って生き延びようとする話。当時は読んでも面白くなかったし、逆に今読むと痛すぎる。少女マンガ誌の企画ですよ? もう、賞を取るより描きたいものを描く!って感じでした。

【トラブル急行】【弓月光】【マーガレットコミックス】【頭脳船】【人型端末】【宇宙海賊】【パワードスーツ】【3DKのサバイバル】
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