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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「おいしい関係 9」 槇村さとる

2022-11-23 | 食・料理
「たった一人で生まれて、たった一人で死んでいくのは仕方がない。だから人と関わりたい。あったかいものを感じたい」
 そのために持っている方法は自分には料理しかないのだと藤原百恵。

 アムールに居場所がなくなった百恵は失踪し、高橋薫は自分が百恵の優しさに甘えていたと反省しつつも解雇通知を出した。
 その頃、街をあてもなく放浪していた百恵は、寿司屋で居合わせた老人に拾われて料亭の仲居となっていた……。

 百恵放浪篇。
 キチンとしたものを食べたいと思えるのは、心身共に充実しているということなのだ。

【おいしい関係 9】【槇村さとる】【ヤングユーコミックス】【グルメ・ラブストーリー】【インディゴ・ジーンズ】【おにぎり】【目玉焼き】
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「おいしい関係 8」 槇村さとる

2022-11-14 | 食・料理
「自分一人で幸福になれる--か。それがおまえの最大の武器だよ。そして致命的だ」
 織田千代は百恵の限界を冷酷に見極める。

 織田が辞め、オーナーが入院したプチ・ラパンだったが、それまで二番手として誰かのサポートであればいいと信じていた木村が「第一シェフとしてやりたい!」と言い切った。
 その頃、千代ばあは高橋薫の店に日比野ミキを送り込んでいた。ミキは料理人として百恵に足りないものをすべて持っている。高橋の味を完璧にコピーして客を満足させるミキに、百恵は居場所を奪われていく……。

 「心」しかない百恵に対して「技術」だけで良しとするミキという、今まで登場していなかったライバルの出現ですが、料理×恋愛ものなので話はまたしばらくギスギスします。

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「おいしい関係 7」 槇村さとる

2022-11-04 | 食・料理
「『おいしい』をつかまえるって、すごくむずかしい」
 料理を作る人も食べる人もベストのコンディションで、最高の食材が好みに調理されていないと「おいしい」には出会えない。「おいしい」状態になれるのは奇蹟だと百恵。

 織田が独立を決め、可奈子との同居生活を始めた。
 高橋の店で働き続けて充実しているはずの百恵だが、彼女には自分が独立して店を持つビジョンが見えない……。

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「おいしい関係 6」 槇村さとる

2022-10-26 | 食・料理
「幸福はいつまでも続かない事を人は知っている。だからこそ大切さが増す。一瞬の幸せさえありがたいと感じられるのさ」
 千代ばあは、人生は無常だと百恵に説く。

 再起した高橋の店、アムールで働くことになった百恵は、多峰や辻たちと共にお客を迎え入れる。
 その頃、織田と可奈子の生活も順風満帆に見えたのだが……。

 百恵に未熟さを突きつけ、いつも厳しいことばかり言う千代ばあですが、それでも60の歳の差があっても自分たちは仲良しだし、世代を超えてコミットすることが人生最大の楽しみと言い切ります。

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「おいしい関係 5」 槇村さとる

2022-10-22 | 食・料理
「迷って選べないということは、結局、その時点で死んでしまったも同然だ」
 織田千代は剪定していた盆栽を根本から断ち切る。
 仕事も身体も恋も、素直にならなきゃ全然力が出ないと分かっているが、それを百恵の中の「女」が邪魔をするのだ。

 百恵は料理人として成長するために「プチ・ラパン」を出ることを決意する。新たにレストランを開業することになった高橋シェフに請われたのだ。オーナーは反対したが、一人前のコックなら自分の世界を確立するために職場を移るのは当然と、織田は自分の料理を期日一杯まで教え込む。
 しかし、それを聞いた千代ばあは、背水の陣の片腕に中途半端な娘を相方に選んだと激怒し、引退していた古参の料理人・多峰英太を無理矢理に高橋薫の店「アムール」に押し込んだ。技と味を独り占めにしたまま天国に持っていくのではなく、赤の他人の中に種を撒いてこいと……。

 新旧シェフが火花を散らし、愛憎劇が煮詰まり始めていきます。
 傲岸不遜で傍若無人っぽい千代ばあちゃんですが、常に弟子全体に気を配っていて、少しでも上手くいくようにあれこれ手を打っているのです。ただの女版海原雄山ではないのだ。あとは本人たちの努力と運だけです。運だけはどうしようもない。

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「おいしい関係 4」 槇村さとる

2022-10-09 | 食・料理
「わしは自分の口に入るものは自分で決める」
 織田千代の家の米は美味い。そしてそれを手に入れるための労と金は惜しまない。国なんか信用していないのだ。

 織田と性格は正反対の男、高橋薫のレストランが閉店した。バブルが崩壊して景気が悪化し、理想の料理を追求する「メゾン・ブリュ」は採算が取れなくなっていたのだ。海外ならまだ引く手あまたの高橋だが、彼はあくまで日本人にフランス料理を食べてもらいたいのだと国内での再起を模索する。
 そんなとき、千代ばあが骨折したと連絡が入り、百恵は千代邸へと向かうのだが、そこに高橋薫もいた……。

 ついでにミモザ亭も閉店。
 自分が織田に抱いている感情がなんなのか百恵が悩み始めている間に、織田と可奈子の関係は深まり、ストーリーはかなりとろりとして来ました。

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「おいしい関係 3」 槇村さとる

2022-09-10 | 食・料理
「自信ってのはな、やることキッチリやっとかなきゃ生まれないんだ」
 織田千代。

 織田が「クレッシェント」に派遣されている間に「プチ・ラパン」の売上は半減していた。料理の腕でも早さでも、百恵たちでは織田の代わりにはならないのだ。
 荒れる店にやってきた千代ばばあはオーナーを一喝する。「あんたの店で、あんたの味で、あんたの皿だろうが。プライドがないのか!」と。

 料理人としての百恵は見習い以下だけれど、今まで食べたものの味はみんな覚えている、最高の味を知っているというのは才能にして財産なのだ。
 ストーリーとしてはそろそろ恋愛関係がドロドロし始めます(とろみが付いたくらい)。

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「おいしい関係 2」 槇村さとる

2022-08-30 | 食・料理
「人が殺しあう戦争が終わったら、人を生かす食べものの時代になる。その時、食いもので敗けなきゃいい」
 有名レストラン「クレッシェント」の創業オーナー、大原は戦前にそう語っていたという。

 「プチ・ラパン」にスタッフとして採用された百恵だが、料理はまだ素人レベル。シェフ織田圭二の同門、高橋薫の料理教室にこっそり通っていたりする。
 そんなとき、千代婆が老舗レストランを立て直すために織田を1ヶ月貸し出すと言い出した……。

 思いつきのようにオーナーでもないのに、あちらこちらの有名レストランのシェフやスタッフを勝手に右から左に動かす織田千代がまずは軽くジャブ。料理人のトラの穴とはよくいったもので。

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「おいしい関係 1」 槇村さとる

2022-08-19 | 食・料理
「(死にたくなったら)とにかくレストランに入るんだ」
 人間腹がへるとろくなことを考えないと藤原春彦。

 美食家で食いしん坊の父を失い、会社も倒産して、藤原百恵と母は二人きりの生活を始める。しかし、お嬢様育ちの母は100万単位の買い物をものともしないお嬢様育ちが抜けきらない。
 そんなとき、ふらりと立ち寄った小さな洋食店「プチ・ラパン」で、百恵は父が生存中に連れて行ってもらったレストランとまったく同じ味の絶品コンソメスープに出会う……。

 幼い頃から育てられたおいしいものに対するセンスと味覚の記憶を持ちながら、自分では米すら炊けない少女が飛び込む洋食の世界。
 美味しいものが分かりすぎるくらいわかるのに、自分では作れない、食べに行く金もない状況から始まる料理道。

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「となりの彼女と夜ふかしごはん」 猿渡かざみ

2022-08-10 | 食・料理
「1日の仕事を終えて酒を酌み交わし、酔っ払ってアホになる! 馬鹿みたいな冗談で笑い合ったり、愚痴を吐き出し合ったり、青臭い夢を語り合ったりする時、そこにしちめんどうくさいしがらみは存在しない! 皆が平等にただの酔っぱらいなんだ!」
 呑んでいる間はみんなただの酔っぱらいに過ぎないと筆塚ヒロト。

 スーパーコトブキに勤務する25歳の筆塚ヒロトは、食品部門から文具部門に異動してからパッとしない。若くしてマネージャーに昇格したものの、畑違いの売り場にすべてが裏目に出て担当スタッフとの関係も最悪。このままでは聞いたこともない国の聞いたことのない街の支店に飛ばされてしまう。
 そんな筆塚が深夜のアパートに帰宅してみれば、隣の部屋の前に自宅キーを無くした女子大生が座り込んでいた……。

 電撃文庫も新文芸以外で成人男性が主人公の作品がたまに来るんですよね。うだつの上がらないサラリーマンがたまたま知り合った女子大生と深夜の会食を続ける中で、仕事への新たなアプローチを見つけていろいろ生まれ変わる逆転劇。
 深夜の実写ドラマ化もワンチャンスありそうなグルメ・サクセスストーリー。

【となりの彼女と夜ふかしごはん~腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活~】【猿渡かざみ】【クロがねや】【電撃文庫】【深夜の食卓ラブコメ】【肉巻きアスパラの1本揚げ】【海老と牡蠣のアヒージョ】【煮豚の山椒風味】【竜眼肉の粥】【ストーカー】【売り場変更】
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「ホットドッグの歴史」 ブルース・クレイグ

2022-06-27 | 食・料理
 この「食の図書館」シリーズは、コメからウィスキーまでいろんな食の歴史について書かれた翻訳で、ハードカバーなので片っ端から買いそろえるのも(予算と収納スペースの両面で)憚られるので、まずは「本当に野球場のスタンドでレッドホットと売られていて、それを新聞マンガが犬を挟んで売っているように描いた」のが元ネタか気になっていたので確認の意味でホットドッグ編。

「ホットドッグ、野球、アップルパイ、そしてシボレー」
 1975年の某自動車メーカーのキャッチフレーズ。つまり、ホットドッグはアメリカ人のアイデンティティの一部なのだ。

 この本は、まずホットドッグとは何かの定義から始め、つまりホットドッグはパン料理ではなくソーセージ料理なのだとしました。ドイツのソーセージを食べるために何かで包むことでアメリカ料理としたのだ……という視点。なので序盤はソーセージ略史です。
 問題のニューヨークの野球場発祥説は1901年の出来事。ただ、これには根拠となる資料はなし。もう1つの有力説は1904年のセントルイス万博発祥説。また別に1867年にドイツ移民のチャールズ・フェルトマンがソーセージを挟んだサンドイッチの屋台を出したという説なのだけれど、フェルトマンがワゴン売りをしていた記録はなく、むしろはソーセージ売りが嫌いという記録は残っていて……と、こういうもっともらしい現代の伝説というのはたいていは広告屋のライターの仕業っぽいそうです。パンに挟んだソーセージをホットドッグと呼んだ記録では、1895年のイェール大学の学内誌がいちばん古いそう。
 ここまでで全体の1/3。残りはホットドッグ(つまりソーセージ)の作り方、売り方、文化、世界のホットドッグと続きます。自分で調べていて気になっていたアーマー社についても再確認できて良かった。ネットで英語文献を調べていると頻繁に検索に引っかかるのだけれど、自動翻訳だと「装甲ホットドッグ」と訳されて、いったい何事!?となっていたのです。

【ホットドッグの歴史】【食の図書館】【ブルース・クレイグ】【原書房】
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「建築知識2022年2月号」 エクスナレッジ

2022-02-11 | 食・料理
 
 厨房や客席のあれやこれやをなんと呼ぶのか分かりやすいと聞いて購入。
 そうしたら本当に「小さな飲食店の作り方」という特集の名に恥じず、開業するために必要な手続きには何があってどういう順番で進めたら良いかから始まって、ベーカリーからバーまでさまざまな業種の対象とする客層まで事細かに、どういうデザインにすれば客が入りやすいかとか動線が働きやすいかなど外観から内装デザイン、レイアウトまで徹底解説。それも平面図から俯瞰図までふんだんに入っているので分かりやすいし、イラストやマンガの参考になるし、自分で起業したくなる1冊。

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「船の食事の歴史物語」 サイモン・スポルディング

2022-02-04 | 食・料理
「ディナーに豆とは!」
 1854年3月10日の航海日誌より。

 船と食事にまつわるすべてを、石器時代のカヌーから現代のディズニークルーズまで、船の厨房設備や食習慣まで、帆船時代の腐ったジャガイモから豪華客船のヴィーガン用メニューまで、おおよそ年代順にその変遷を語り倒したもの。内容は研究書だけれど書き方はコラムかエッセーのよう。気軽に寝床でぱらぱら読めます。巻末には船旅をしたくなくなること請けあいのレシピ付き。
 海底の沈没船から推測する当時の食事のありさまを語ったかと思えばアイルランドやスコットランド移民の旅の様子を描写し、あるいは船から追い出された中国人客、さらには原子力潜水艦までと幅広く楽しめます。

【船の食事の歴史物語~丸木舟、ガレー船、戦艦から豪華客船まで~】【サイモン・スポルディング】【原書房】【食べても食べなくても命の危機】【ロージー・ザ・リベッター】【エンジェル島移民局】【ディケンズ】【マーク・トウェイン】【ルシタニア号】【南北戦争】【ヴァイキング】【ホワイト・スター・ライン】【オリンピック号】【パンパニート号】
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「おやつが好き」 坂木司

2022-01-29 | 食・料理
「プリンって、日本語化した外来語の中で最高のヒット作じゃないかと思いませんか」

 坂木司が銀座の月刊タウン誌「銀座百点」を中心に書いていた、ゴーフルからとらやの羊羹までお菓子に関するエッセイをまとめたもので、文春文庫としては『ワーキング・ホリデー』シリーズに続く4冊目の本。
 銀座を中心に、全国各地の有名店とその商品を、洋菓子から和菓子、甘い物からしょっぱい物まで語り尽くします。読んでいて、美味しそうでなんかふらふら食べに行きたくなります。

【おやつが好き(お土産つき)】【坂木司】【文春文庫】【おやつエッセイ】【銀座百店】【いとをかし】【あまから手帖】【ダ・ヴィンチ】【小説野生時代】【おしゃべりな銀座】【心の素浪人】
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「この社会主義グルメがすごい!~ソ連スイーツ編~」 内田弘樹

2021-11-18 | 食・料理
「本来なら昨年にサハリンに取材にいって、現地の社会主義グルメを堪能するつもりじゃったが」
 全部コロナでおじゃんなのだ。

 今回もソ連のスイーツから日本で共産主義国のお菓子を買える店まで、マンガと写真で紹介する美味しい1冊。
 作れるものは実際に作ってみるところから始まるので、レシピ本としても読めます。毎回、奥様が頑張っているようでご苦労様ですm(__)m。

【この社会主義グルメがすごい!】【ソ連スイーツ編】【内田弘樹】【河内和泉】【プロイェクト・オスト】【ガガーリンケーキ】【鳥のミルク】【プーチンデザート】【ベトナム風プリン】【人工衛星饅頭】【松ぼっくりのヴァレニエ】【ロシアケーキ】
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