カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

質問にお答えします1<児童労働と子どもの権利侵害>

2006年10月05日 08時53分22秒 | その他

みなさんこんにちは、平野です。おかげさまで再開後のカンボジアだよりは以前以上に多くの方々に訪問していただいています。カンボジアの子どもたちの問題に多くの方々が関心を抱いてくださっていることをうれしく思うとともに、訪問してくださるみなさまに御礼申し上げたいと思います。今回と次回はこれまでコメントというかたちでいただいている質問に答えさせていただきたいと思います。いただいてから時間が空いてしまっており申し訳ございません。

【質問1:児童労働によってどのような権利が侵害されるか】

まず8月10日の記事「子どもや女性の人身売買の実態<なぜ出稼ぎに出てしまうのか>」に対して8月31日にいただいているコメントです。

はじめまして、こんにちは。私は今、児童労働によってどんな権利が侵害されているか調べているのですが、どのサイトを見ても教育を受ける権利としか書いていません。
なので、もしよければその他にどのような権利が侵害されているか教えていただけたらと思います。よろしくおねがいします。

<お答え>

このコメントをいただいたその日の記事「子どもや女性の人身売買の実態<望まれる取り組み3>」にあるように、国連子どもの権利条約に定められた子どもの権利には大きく分けて「生存する権利・保護される権利・発達する権利・参加する権利」の4つの分野があります。条約自体は全54条からなるものですが、4つの権利ごとに分けて記述されているわけではありません。ただ全体としてそれらの4つの権利を守るための条項が定められているわけです。教育に関する条項は第28条と第29条に見られますが、これらは通常「発達する権利」に分類されています。

【さまざまな権利を侵害する児童労働】

では次に児童労働が子どものどのような権利を侵害するか、という部分についてですが、実にさまざまな権利を侵害する場合が多いと言えます。例えば子どもが家から遠く離れた外国の危険な建設現場に不法に入国させられ低賃金で働かされていたとします。この子どもに対する権利侵害を見ていくと、第11条(国外不法移総送・不返還の防止)や、第18条の(親の第一次的養育責任と国の援助)、第32条(経済的搾取・有害労働からの保護)そして先ほどの教育関連の条項、とさっと見渡しただけでも数々の権利侵害が発生していることがわかります。そしてこの子どもが雇い主に暴力を受けていたり、強い薬品を使わされてそれに対して文句も言えずに病気になっていたり、病気になっても休みが与えられていなかったりすれば、関係する子どもの権利の条文はさらに増えます。児童労働の現場では往々にしてそのような事態が発生しており、4つの分野の権利全てが侵害されることも多いのです。

今回の記事では国際教育法研究会による日本語訳を参考にさせていただきました。前文を含めた条約全体は「子どもの権利条約ネットワーク」のホームページなどでご覧になれます。http://www6.ocn.ne.jp/~ncrc/doc_1crcj.htm

※写真はタイ国境へとリアカーを引く男の子です。

児童労働のない未来へ↓ 
http://jicrc.org/pc/member/index.html


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