カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもを性的虐待した元受刑者、被害者少年の母親と結婚か

2009年10月06日 18時39分30秒 | 人身売買・性的虐待 被害者支援
こんにちは。甲斐田です。

先日、子どもへの性的虐待の隠れ蓑に養子縁組という手口を使おうとしたスウェーデン人男性の記事を紹介しました。今回は、同じように少年を性的虐待したベルギー人男性が少年の母親と結婚しようとしているという記事を紹介します。

 カンボジアでは、子どもを狙う外国人が少年だけでなく、その親ともまず仲良くなり、物資の支援提供などをしたあとに子どもを性的に虐待するというやり方が報告されています。いったん支援を受けた家族は子どもが虐待されているのを知っても何も言えなくなってしまう状況になるようです。(このようにまず子どもと仲良くなり、その後、性的虐待をすることを英語ではgroomingと呼ばれていて、インターネット上でもこの手口が使われています。)
優しくしてくれたおとなを信用したあとに性虐待に遭ってしまい、その上、親が何も助けてくれなかった経験をした子どもたちは、どれだけ深い心の傷を負っているでしょうか。

その後、このベルギー人男性の結婚計画に対して、カンボジアのNGO数団体が抗議し、国外追放されることとなりました。その詳細についての記事は別途掲載します。

写真は子どもの性的搾取に取り組むNGO・APLEの報告書“Street Pedophilia” in Cambodiaより ©APLE

子どもの性的搾取をなくすためにご支援ください。
詳しくは、http://www.c-rights.org/join/donation.html

子どもを性的虐待した元受刑者、被害者少年の母親と結婚か

カンボジアデイリー紙 2009年6月6-12日ウィークリー・レビュー
プラック・チャン・トゥル記者

 バンテアイ・ミエン罪で実刑判決をうけた事件の被害者とされる少年と、近頃、同居を始めていた。
州警察の人身売買対策部門オム・サッス署長は、デザールが当時13歳の少年を性的虐待した罪による3年の服役を終え、4月5日にプノンペンのプレイ・ソー刑務所を出所したと伝えた。デザールは被害者少年の母親サオ・ニイさんと5月25日に婚約し、6月3日にカンボジアを後にした。「婚姻関係の書類」を作成するためにベルギーに向かったという。

 当初デザールは懲役18年の有罪判決を受けたが、控訴審で懲役3年に大幅軽減され、最高裁もこれを支持した。彼は6月1日に婚約者と共に同州セレイ・サオポアン郡トゥック・トゥラー集合村を出てプノンペンに向かったと、サッス署長は伝える。署長は、「この婚約が更なる子どもの性的搾取を目的とした隠れ蓑かどうかを調査中で、ニイさんの親族からは、村長やらが列席した婚約パーティーの写真を見せてもらった」と話している。先月、警察と地元のNGO、APLE(Action Pour Les Enfants=子どものための活動)は、デザールが現在16歳となる被害者の少年に引き続き虐待を加える懸念を表明、ともに暮らす少年の弟の安全も憂慮している。

 デザールは子どもへの性的虐待の常習犯で、1994年にベルギーで子どもをレイプし虐待した事件で有罪判決を受け、懲役5年の刑で3年間服役している。
サッス署長によると、デザールは日中にニイさん宅を訪れ、夜はゲストハウスに滞在したと、ニイさんの親族が話しているという。

 APLE カンボジア事務所サムレアング・セイラ代表は、APLEが他の子ども保護団体とともに、デザールのカンボジア再入国阻止に取り組んでいると伝えている。「デザールは好ましくない人物なので、彼のビザを発行しないよう働きかけている。デザールは養豚場を所有していて、カンボジアに永住するつもりだ」とも語った。

(翻訳・植田あき恵 2009年8月6日)



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