カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

スタディーツアー報告⑫カンボジア女性省ジェンダー専門家・中川香須美さんのお話

2008年11月14日 11時34分09秒 | その他
今日はスタディーツアー報告その12、中川香須美さんのお話についての報告です。中川香須美さんは、1997年よりカンボジアに滞在しており、現在はJICAからカンボジア女性省にジェンダー専門家として派遣されています。中川さんには、長年に渡ってシーライツの活動を支えて頂いております。スタディーツアーも終盤に近づいた日の夜、お忙しい中にも関わらず、中川さんの貴重なお時間を頂き、ジェンダーについてのお話を伺いました。その報告をツアー参加者の大塚さんが以下にして下さいます。

ジェンダー(中川香須美さんのお話を聞いて)
大塚朝咲

ビアホールなどで働く女性で、「ビアガール」と呼ばれる人たちがいます。彼女たちはそれぞれのビール業者の服をまとい、接客をします。その際に客からの性的被害があるそうです。しかし店のオーナーも、ビール会社もきちんと対応していないのが現状です。
そもそも「ビアガール」はセックスワーカーだったという考えがあるようです。平気で性を売るイメージがあるそうですが、実際には既婚者やボーイフレンドがいる人たちばかりだそうです。縫製工場より給料も高く、チップやノルマをこなすとさらに高額のお金が手に入るそうですが、やはりイメージが良くないために村に帰ると中傷されることもあります。結局「ビアガール」は守られていないということです。

カンボジアでは妻は夫に尽くせ、という昔の日本のような概念があります。夫は妻を殴ってもいいし、どのように扱おうと勝手であるということです。最近はだいぶ知識も広まりそのような考えも少なくなってきているようですが、子どもに対してはまだあるようです。
また、多くの男性は買春を悪いと思っていません。女性は夫やボーイフレンドがそういう場所へ行くのを嫌だと思っているのに言い出さずにいるのです。

レイプされた女性とは結婚したくない。男性の9割がこう答えています。どんなに好きでも彼女にレイプされた過去があれば結婚しないというのです。女性は「純潔」であるべきだという考えがあるので、レイプされた女性は結婚できなくなる確率が非常に高くなるのです。
また男性が被害にあうこともあります。男性がレイプされた場合、自分は男性であるのにレイプされたという屈辱や恥ずかしさで心に深い傷を負います。同性愛を受け入れられない人が多いので軽蔑されるためです。
最近は少年、先生や僧侶までが少女をレイプするという事態が起こっているそうです。性教育の徹底度の低さがこのような事態を招いています。

その他箇条書
●買春宿の経営者は逮捕できるが、実際買春宿の多くは営業している。
●弁護士・裁判官・政治家の女性率は10%以下とまだまだ少ない。
●男女の収入の違いは3割ほど。
●97年人身売買防止法制定。15歳未満の子供との性行為禁止。08年改訂。実際にはまだ十分に普及していない。

感想
女性の被害についてこんなにも深く考えたことはありませんでした。子どものことを見る機会が多かった今回のツアーで、女性の被害について知れたことがとても新鮮でした。同時に、こんなにも悲惨な目にあっている人がいるということを目の当たりにしてショックもとても大きかったです。貧困家庭ではないのに、ものほしさに援助交際を始めたり性売買に手を染める少女がいることも衝撃的でした。
最近では日本も女性が活躍するようになってきましたが、カンボジアではまだまだ女性の活躍が乏しいようです。ですが大学への進学率も増え、男性の女性への理解度も広まりつつあるのは嬉しいことだと思いました。
お話をして頂いた中川さんの自らカンボジアの若者にインタビューをし、研究されているという行動力に圧倒されました。仕事をする女性の良いお手本ではないかと思います。時間が少なかったのは残念でしたが、いろいろなことを教えて頂けてよかったです。

写真は、中川香須美さんにお話を伺っている時のものです。

中川香須美さん:カンボジア国ジェンダー政策立案・制度強化支援計画プロジェクト
http://project.jica.go.jp/cambodia/0211055E0/index.html

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