カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

SBPNメンバーの親は子どもの活動をどう見ているか

2006年07月12日 08時17分50秒 | 人身売買防止プロジェクト(意識啓発)
みなさんこんにちは、平野です。今回は前回登場してくれたコムチャイミア高校の熱心なSBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)のメンバー、ソフィー(仮名)のお母さんに、メンバーとして活動する娘をどう見ているのか聞いたときの話をご紹介したいと思います。

【最初は反対だったSBPNへの参加】

「娘がSBPNの活動に参加すると聞いて、最初は反対したのですが、そのあとで賛成しました。反対した理由は、売春などの言葉を使うことで、娘が他の人に差別されるのではないかと思ったからです。あとで賛成した理由は、あとで活動を実際に見てみて、子どもの成長を助けるいい活動だと思ったからです」

「実際に見たというのは、近所の大人に(子どもの権利や人身売買について)教えているところを見たのですが、その人に“うちの娘はこういうことを勉強しているんだよ”と言うと、その人も“いいことだね”と言ってくれました。娘を誇らしく思い、うれしかったです。これからもどんどん発展していってほしい、自分を伸ばしてほしい、と思います」

【勉強を続けさせたいけれど…】

「娘は5人います。娘たちは手伝いはあまりしませんが、勉強するように言っています。家で9時、遅いときは11時くらいまで勉強しています。夫はプノンペンに出稼ぎに行っていて、私はサトウキビジュースを売っています。サトウキビジュースは、全部売れればそれなりの金額になりますが、基本的にその日暮しで貯金はありません。田畑も持っていません」

もっと勉強して、より多くの知識を身につけられるよう支援したいのですが、生活基盤が弱いので資金が心配です。ジュースの売り上げは生活費に消えてしまって教育のための貯金する余裕などはありません。今のところ5人姉妹を5人とも学校に行かせていることはうれしいことですが、どこまで続けさせてやれるかの見通しが立ちません」

始めは懸念を示したお母さんが、活動を見て、娘のためになる活動を思って賛成してくれた、というのは非常にうれしい言葉でした。一方で、コムチャイミアで高校まで進学している子どもの家は地元では比較的豊かな家の子かとも思っていたのですが、苦しい中でなんとか娘を学校にやっている様子がうかがえました。このような教育熱心なお母さんの姿勢は、ソフィーの真面目さにも通じるものがあるように思えました。

カンボジアは家族の結びつきが非常に強く、私もたびたびカンボジア人に「日本の家族が恋しくないか?」と聞かれます。今回はいきいきと活動する子どもを支えるお母さんのお話をご紹介しましたが、次回からは子どもの存在に励まされて頑張る女性たちのお話を紹介したいと思います。

※写真はコムチャイミア高校SBPNメンバーによるDVについてのロールプレイです。真ん中は村長役の生徒で調停しています。

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