カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

口承(口伝え)による子ども権利の普及

2006年07月07日 07時42分13秒 | 性的搾取防止プロジェクト(意識啓発)

みなさんこんにちは、平野です。前回、前々回に引き続き、国際子ども権利センターのパートナー団体CRFが支援する子ども若者クラブの活動をご紹介したいと思います。今回は前回ご紹介したカンダール州のジャバルマン7世中学・高校のクラブメンバーによる6月17日の朝のマーチで宣伝され、その日の午後に行われた子どもの性的搾取防止を訴えるイベントについてお伝えします。国際子ども権利センターは本年、同校も含めた5つの小中高の子ども若者クラブの活動を支援します。

【カンボジアにおける情報伝達】

人身売買の危険などについての情報に限らず、遠隔地ではあらゆる情報が不足しており、伝達される手段も限られています。テレビは地方でも意外なほど普及しているのですが、電気が通っていない地域が多く、バッテリーを使用しているため1日に1~2時間しか見られません。また新聞も手に入りづらく、また字の読めない人も少なくありません(15歳以上の識字率は、世界子ども白書2006によると男性85%女性64%)。

遠隔地での情報の伝播のツールとしては、ラジオが比較的頻繁に挙げられますが、やはり口コミも有力な情報伝達手段です。中学校の校庭いっぱいの人々を集めた今回のイベントも、CRFが事前に地域の村長や学校長に頼んで住民や生徒に伝えてもらったことと、午前中のマーチが広報活動のすべてでした。そのように口コミで集客したこのイベントは、内容的にもカンボジアの文化を反映した工夫がなされていました。

【口承文化の国らしいイベント】

このイベントは奨学金の授与式も兼ねており、イベントの冒頭には郡長や郡の教育事務所の所長など複数の来賓のあいさつがありました。しかしそれらはずっと続けられることはなく、来賓のあいさつとクラブメンバーの歌が交互に組み込まれていました。 それ自体も参加者を飽きさせないユニークなものですが、そこで歌われる歌というのが、全て子どもの権利の歌なのです。

以前、村の人々に「ヒ素の恐ろしさ」についてDVDを用いて説明する場面に立ち会ったとき、カラオケビデオが始まったのでディスクの入れ間違いかと思っていると、「ヒ素の恐ろしさ」をテーマにした歌だった、ということがありました。こういった手法はアフリカなどでもよく見られますが、カンボジアも歌や踊りや影絵などで大事なことや歴史、物語などを伝えていく口承文化が発達した国で、子どもの権利もたくさんの歌になっているのです。私の知っているものでは、男女の掛け合いで「子どもの権利にはなにがあるか知っている?」「知っているさ、生存する権利がある」「それだけじゃない、まだあるわ」といった調子で4つの権利を説明していくものがあります。

実はこのイベントには、大物ゲストが呼ばれていました。次回はこの大物ゲストが登場したコントによる意識啓発を紹介して、このイベントの報告を終わりたいと思います。

※写真は子どもの権利の歌を歌う子ども若者クラブのメンバーです


子ども若者クラブを支援するCRFを支援する国際子ども権利センターを支援してくださっているのがみなさんです ↓

http://jicrc.org/pc/member/index.html