カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

工夫をこらした情報伝達

2006年07月08日 13時59分16秒 | 性的搾取防止プロジェクト(意識啓発)

みなさんこんにちは、平野です。過去3回に引き続き、国際子ども権利センターのパートナー団体CRFが支援する子ども若者クラブの活動をご紹介したいと思います。今回は前回ご紹介したCRFと子ども若者クラブメンバーによる子どもの性的搾取防止を訴えるイベントの後半についてご報告します。国際子ども権利センターは本年、同校も含めた5つの小中高の子ども若者クラブの活動を支援します。

【クラブメンバーも熱演】

前回の最後にお伝えした通り、このイベントには大物ゲストとして“アコイ”のニックネームで人気のコメディアンが参加しました。来賓のあいさつも終わり、クラブのメンバーによる子どもの権利の歌も3曲披露され、奨学金授与式も終了すると、いよいよ観客の視線は舞台に。最初はクラブメンバーによるコントで、役員メンバーが扮する間抜けな悪党が、女性を拉致(らち)しようとしつつ最後は捕まってしまうというものでしたが、なかなかの熱演で喝采を浴びていました。カンボジアで見るロールプレイのレベルの高さは口承文化の国の底力でしょうか。

【笑いを交えて人身売買の危険をアピール】

そしていよいよ登場のアコイ氏。付けヒゲに変なカツラというコメディアンスタイルの彼の役回りは、人身売買を企むボスの手下です。ボスは金融業をやっていて、お金が返せない女性に代わりに娘を預けろと迫ります。アコイ氏は手下ではあるのですが、それを阻止しようとわざと失敗したりして、笑いを誘うわけです。最後は雨が降ってしまったのですが、観客はアコイ氏の一挙手一投足に注目し続けていましたし、特にカンボジアの子どもたちは「TVで言っていた」ことを非常に信じる傾向があるので、この有名人による人身売買の危険を訴えるメッセージもきっと伝わったことと思います。

【様々な工夫が要求される情報伝達】

農村部で情報を伝達していくには様々な工夫が必要です。自分たちから村人に飛び込んでいった今回のイベントは、クラブのメンバーたちにとっても知識を得たり確認したりするいい機会だったと思います。カンボジアの学校には課外活動や行事があまりないので、イベントを準備、運営すること自体、子どものためになったとも思います。内容的にも、教育程度などに関係なく誰もが理解できる歌やコントを中心にしており、また集客の意味でも有名人の効果は大でした。

ただ、今回はプノンペンから車で30~40分の国道沿いの学校ということで有名人も呼びやすかったと思いますし、マーチも国道沿いの学校を発着点としているので、そう国道から遠くまで行けたわけではありません。それらのことから、本当の僻地(へきち)で同じことをするのは難しいかな、という印象も受けました。とはいえ、支援予定であるジャヤバルマン7世中学・高校の子ども若者クラブのメンバーたちの熱心な活動ぶりを見るよい機会となりました。本年の支援の内容については後日またお伝えしたいと思います。

※写真は熱演するアコイ氏です。