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大島渚 映画メモ 1

2013年01月16日 | 映画遊記
毎回、古書の 栞 付箋箇所の 要約を続けるのも能がない。と、思案 というところへ、大島渚の訃報。去年は若松孝二監督が事故死、今年はブログで映画に関わる記事を充実させようと思っていた矢先だった。2008年~2009年に大島渚の著作集が現代思潮社から刊行され、その著作集の中に現在の大島渚の言葉がないことに気づき、病がただならぬ状態なのだということがわかっていたが、まだまだ、戦後日本への怒りが収まらず、それを映画製作のエネルギーに変えていた大島渚。若い時期に松竹を離れ、映画の製作本数は多作といえなかったが、そのいずれもが問題作。また、著書も多く、毒を含んだその切り口は、昭和・平成の安穏をゆるがした。
 
雑読 メモ 1 

大島 渚 映画作品

愛と希望の街      松竹大船製作      1959年 11月17日封切

青春残酷物語     松竹大船製作      1960年 6月3日封切

太陽の墓場       松竹大船製作      1960年 8月9日封切

日本の夜と霧      松竹大船製作     1960年 10月9日封切

飼育            パレスフィルム製作  1961年 11月22日封切

天草四郎時貞      東映京都製作      1962年3月21日封切

悦楽           創造社製作       1965年8月29日封切

ユンボギの日記    創造社製作       1965年12月11日封切

白昼の通り魔      創造社製作       1966年7月15日封切

忍者武芸帳       創造社製作       1967年2月15日封切

日本春歌考       創造社製作       1967年2月23日封切

無理心中・日本の夏  創造社製作       1967年9月2日封切 

絞死刑          創造社&ATG製作  1968年2月3日封切

帰ってきたヨッパライ 創造社製作       1968年3月30日封切

新宿泥棒日記     創造社製作       1969年2月15日封切

少年           創造社&ATG     1969年7月26日封切

東京戦争戦後秘話  創造社&ATG     1970年6月27日封切

儀式           創造社&ATG     1971年6月5日封切

夏の妹         創造社&ATG     1972年8月5日封切

愛のコリーダ     大島渚プロ&仏アルゴス・フィルム製作 1976年10月16日封切

愛の亡霊       大島渚プロ&仏アルゴス・フィルム製作 1978年10月28日封切

戦場のメリー・クリスマス    レコーデット・ピクチュア・カンパニー、シネヴェンチャー・プロダクション、大島渚プロ、全国朝日放送株式会社、ブロードバンク・インヴェストメンツ・リミテッド提携製作  1983年5月28日封切  

マックス、モン・アムール     仏グリンウィッチ・フィルム&フィルムA2製作  1987年5月23日封切

御法度         松竹&大島渚プロ製作 1999年12月18日封切

 

今日の朝日新聞社会面に大島渚の主要作品が掲げられていたが13本の紹介だった。これからビデオでも見ようかなという人のための大島渚全24本のフィルム・リスト

フランスでは、大島自身の映画に関わる批評文も日本語から仏文に翻訳刊行され、日本より評価も高い。フランス革命の血が大島の何かに科学反応を起こさせるのか。

 

大島は、1970年代、フランスのゴダールについて触れながら、自らの立場・映画について、

「今やゴダールの映画に対して立ち向かう私たちは、それを見たということで、私たちの行為が、完結するというふうに考えてはならないのだ。それは私たちの映画の概念をつきくずし、映画を見せられる存在であることに安住していた私たちを烈しく動揺させる。そして、その私たちは、映画をとる存在として自己を変革することを迫られるのだ」 といっていた。

2000年以後の映画とそれを取り巻く環境について、四方田犬彦は上記の大島の論を踏まえて、

「もはや誰も、映画を観ることで、自己変革の契機が得られるなどと、期待していない。映画はコンテンツ産業のひとコマに還元され、徹底的に消費の回路を循環してゆくにすぎない。」 とまでいう。『大島渚著作集』 第四巻 2009 現代思潮社 四方田犬彦の解説 294~296頁

あまりにも悲痛な四方田の認識だが、現実は四方田の冷徹な指摘があたっている。

「映画を撮ることができないにも関わらず、映画を撮り続けなければならない のか」 

この問いに明確な名答がない限り、大島の憤激は死してもなお、消費の回路を巡って、さらに憤激し、映画にとりかかることであろう。また大島の足跡を辿り、後続する若者が現れるであろう。

WOWWOWでは1月20日に大島渚の追悼 『戦場のメリー・クリスマス』を放送するようだが、前年、黒沢明 全映画 、山田の寅さん全シリーズ を放送した。

今年は、大島、若松の全作品を放映することを望む。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

                   

  

  

 



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