恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

8/13(火)2019年新作落語お盆寄席@プーク人形劇場

2019年08月14日 | 噺とか
年始とお盆の年2回行われているこちらの新作の会ですが、
おそらくこれで3回目の参加になります。
新作の名だたる噺家さんが出てくるため、好きな人にはたまらないマニアックな会です。
難点はというと、子供向けの人形劇場なため、イスが小さく狭いということ。
開演の18時から終演の21時過ぎまでの3時間はなかなかの苦行だったり。
それでも満席になるのはこの会が高い評価を得ているからでしょうね。



ぐんま「銭湯最前線」
青 森「愛を詰めかえて」
天 歌「甲子園の土」
志ん五「トイレの死神」
天どん「熱中症対策本部」
-仲入り-
きく麿「二コ上の先輩」
白 鳥「砂漠のバー止まり木」

ぐんまさんの新作、銭湯の一番風呂に入ることをライフワークしている老人の話。
そこにふらっと入った若者が、あれこれと大変な目に遭うという展開。
マクラであれこれと銭湯にまつわるエピソードが披露されましたが、
それが本編の最後のあたりでしっかりと回収されるあたりはなかなか。

続いて2月に二つ目に昇進した青森さん。白鳥師匠の弟子が続きますね。
昨年までのはプークのこの会も前座働きをしていたわけですが、
二つ目となってここに上がるのはまた違った思いがある、と。
で、本題は風呂場のシャンプーとコンディショナーを擬人化した噺。
「お風呂」を題材にしたあたりが完全についてしまってるわけですが、
そこも自虐的に話しつつ本編を展開していきます。
なかなか面白いのですが、もう少し練りこまれるといいのになぁ。

天歌さんの新作は初めて聞きます。というか、ほとんど寄席でもお目にかかっていません。
師匠である圓歌師匠の披露目もひと段落して落ち着いてきたとのこと。
ただ、歌之介改め圓歌師匠にはずいぶんと怒られたんだそうで。
この辺のエピソードは以前の会で駒治さんから聞いているので、やはり本当なんですね。
んでもって歌武蔵師匠が間に入ってくれるというのもやはり同じく。
そんな縦社会や大人の事情の話から「甲子園の土」という噺へ。
いやー、天歌さんの新作を初めて聞きましたが面白いもんですね。
昨今の甲子園をめぐる社会問題のオマージュととらえてもいいかもしれない。
メディアの側があえて感動を作り出そうとする姿勢と、そこを冷静に論破していく高校球児。
ぜひ機会があればまた天歌さんを聞いてみたいと思いました。

続く志ん五師匠は「トイレの神様」で、この噺は何度か聞いています。
マクラから本編までの流れが寄席と大きく変わらないものでしたが、
後から上がった天どん師匠によれば、寄席よりもテンション高めだったそうな。
なるほどねぇ。

仲入り前に天どん師匠が出てきます。
最近は住吉踊りの興行が行われている浅草演芸ホールに交互ででているそうですが、
浅草ならではの時間の伸びで、ここのところ5,6分の高座ばかりなんだそうな。
おまけに、浅草の今席の顔付けについてもあれこれお話されていましたが、その辺は割愛。
本題は「熱中症対策本部」で、先日の両国で聞いたばかり。
とはいえ、細かいところが微妙に変えられていてその辺を聞くのも楽しいもので。
また、新作ファンが多いため、喬太郎師匠の「ホテトル音頭」の替え歌で、
「熱中症対策音頭」も大ウケ。両国ではここまでなりませんでしたよ。
半裸になるシーンでは着物を脱いで襦袢姿で演じるのも天どん師匠らしい。

仲入りをはさんできく麿師匠。
9月の下席中席は末廣亭でトリを務めるのですが、同じく9月下席中席の池袋のトリは天どん師匠。
なんだかもったいないと思いつつも、新作落語仲間が寄席でそれぞれトリをとるのも、
なかなかすごいものだなぁと振り返る師匠。
そこから木久扇一門の弟子に関するエピソードをあれこれと振りながら、
恰幅のいい噺かを集めた「東京デブサミット」の話題などに触れつつ本題へ。
初めて聞く「二コ上の先輩」という噺。
50歳になりながらも年齢が2つ上であることを理由に威張り散らす先輩。
その命令でもって怪談話をやらされる後輩二人がなんともおかしい。
凍ったこんにゃくやら石の下から出てきた3匹のトカゲの話など、
もうきく麿ワールド全開でした。会場は爆笑に次ぐ爆笑。
こういうのを聞くと確かに9月下席は末廣亭に行くべきか池袋に行くか迷うもんで。

トリに白鳥師匠の登場。会場内も白鳥ファンが大勢いたようで。
マクラもそこそこに「砂漠のバー止まり木」でした。
んー、以前の末廣亭のトリで聞いたばかりで、できれば違う噺を、とも思いましたが、
でも始まってみるとやはり面白いですねぇ。
会場ならではの空気もありますし、直前のきく麿師匠のネタなんかもアドリブで交えつつ、
会場を大いに盛り上げました。
さすがに末廣亭ではウケた古今亭寿輔師匠のネタはそこそこではありましたが、
大いに笑いを誘って会場を盛り上げた一席になりました。

通常の寄席なら昼から夜まで居ても尻や腰にそこまでのダメージもないのですが、
さすがにプークの3時間は体への負担が大きいもんで。
とはいえ、それを我慢しても価値のある3時間だったのも間違いなし。
また年始や来年になったらこの苦しみを忘れて予約を入れてしまうんだろうなぁ。

恐懼謹言。
コメント (2)
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