沖縄・台湾友の会

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2022年11月25日号) *岸田政権の敗北主義

2022-11-28 07:07:20 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2022年11月25日号)
*岸田政権の敗北主義
 3日前、政府の有識者会議が岸田総理に報告書を提出した。「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」は9月30日から4回にわたり佐々江賢一郎元外務次官を座長として会合を開き、このたび総理にその成果文書を手渡したのである。
 安全保障環境の悪化により日本は防衛費を急増させなければならないが、7月に殉難で急死した安倍元総理はその財源を国債で賄うべきと主張していた。一方財務省は増税で賄うべきと主張しており、この有識者会議はその線に沿った議論を進めてきた。

 もとより増税は国民の歓迎する所ではない。従って増税幅はなるべく低く抑えなければならないから、結果として防衛費の増額幅も低く抑えることになる。巨大な脅威が眼前に迫っているときに財務省は日本を守る経費を出し惜しんでいるのだ。
 報告書には、防衛費の増額について「国債発行が前提となることがあってはならない」と故・安倍元総理の主張をあからさまに否定している。安倍元総理が生きていれば、絶対に書けなかった記述に、安倍殉難に欣喜雀躍している人たちの姿が透けて見える。

 だが驚くべきは、それに続けて「戦前、多額の国債が発行され、終戦直後にインフレが生じ、その過程で国債を保有していた国民の資産が犠牲になったという重い事実があった。」と言う記述である。
 戦前、多額の国債を発行して軍事費の増額を賄ったのは日中戦争においてである。だが終戦直後にインフレが生じたのは、米国との戦争に敗れたからであって、国債発行が直ちにインフレを生み出したわけではない。

 「終戦直後」とは正確には「敗戦直後」だが、日本は中国に敗れたのではなく、米国に敗れたのであり、米国に占領されたのである。ところがこの記述では中国との戦争がインフレを生み出したことになる。
 日本に米軍が駐留している現在、日本と米国が戦争になることはありえない。この状況で国債発行が将来インフレを生じ国民の資産が犠牲になるとすれば、それは日本が中国などの周辺国に占領されたときしかない。

 つまりこの報告書は日本の敗戦を前提として書かれている。岸田政権は完全な敗北主義に陥っているのである
 明日21時から約1時間、伽藍みーTUBEで軍事トークライヴをやります。本日のテーマや昨今の内外の情勢について、気楽に質問に応じます。下記をクリック!
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FTXの前CEOは規制の法律議論を目の前にしていた    民主党関連議員9名に30万ドル、全体で99万ドルを政治献金していた

2022-11-28 07:06:35 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)11月25日(金曜日)
       通巻第7534号  
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★「憂国忌」は本日(11月25日)、1400から 星陵会館です!
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 FTXの前CEOは規制の法律議論を目の前にしていた
   民主党関連議員9名に30万ドル、全体で99万ドルを政治献金していた
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 バハマが本社のFTX(仮想通貨取引所)が倒産、顧客はおよそ百万人。被害総額は数百万ドルに及ぶ。この「経済犯罪」とも言える金融スキャンダルにどこまで捜査の手が伸びるか。

 2022年2月9日、FTXの CEOだったサム・ バンクマン=フリードは連邦議会で証言している。それ以後、FTXの民主党への政治献金はうなぎ登り、11月の中間選挙前に182 件を寄付したが、とくに下院金融サービス委員会の 9 人のメンバーに合計30 万 351 ドルを寄付した。全体の政治献金は99万ドルだった。

 これはモラルの問題に行き着く。
 痛いところを突かれた下院の金融サービス委員会はFTX倒産を調査するため 12 月に公聴会を開くとしている。
マキシン・ウォーターズ委員長(民主党、カリフォルニア州)は「デジタル資産事業体が連邦政府の強力な監視の外で不法な営業行為を防ぐ立法措置が必要」と述べた。

 NY三区から新たに下院議員に選出されたのは新人のジョージ・サントス(共和党)だ。サントスは「民主党主導の委員会が強力な行動をとるとは思えない」と発言した。なぜならハンター・バイデンの犯罪調査を途中で打ち切り、パンデミックの元凶調査の打ち切りなど「怪しい」過去があるからだ。
「民主党が議会で少数派となり、レームダック化したいま、次の議会の開始までは、この問題をそらすだろう」とサントス議員は発言を繰り返した。

11月22日、米中国防相会談がシェムリアップで開催されていた    中国の「核心的利益の核心は台湾問題だ」と魏鳳和が吠えた

2022-11-28 07:02:26 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)11月24日(木曜日)
       通巻第7533号  
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 11月22日、米中国防相会談がシェムリアップで開催されていた
   中国の「核心的利益の核心は台湾問題だ」と魏鳳和が吠えた
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 2022年11月は「アジア、環太平洋諸国の外交の季節」だった。
 岸田首相は12日にプノンペン入りし、アセアン首脳会議に備えた。ASEAN10ヶ国に日本、韓国、米国が参加し、またアセアン加盟申請の東チモール代表も加わった。中国は李克強首相が「最後の晴れ舞台」、顔色は冴えなかった。

 ひきつづきインドネシアのバリ島でG20が開催された。
バイデン、習近平、トルードー、アルバニージー豪首相にアーダーンNZ首相らが参加した。
ホスト役のウィドド大統領の影は薄く、メディアの焦点は米中会談。バイデンと習の対談は3時間12分に及んで、岸田首相の影も薄かった。

 さらに18日からはバンコクでAPECが開催された。11月22日、カンボジアのアンコールワット観光で知られるシェムリアップで、「ASEAN国防相会議プラス」が開催され、この場に現れたのが米国国防長官のオースチンと中国国防相の魏鳳和だった。
ふたりはシャングリラ対話以来、お互いに敵対心丸出しで相手を批判したが、恒例によって対話の継続とうい一点でのみ合意した。中国の「核心的利益の核心は台湾問題だ」と魏鳳和が吠えた。

一連の会談は記者会見などで「表向き」の共同声明が出されるが、問題は会議の合間に開催される米中2国間の本当の中味である。

オースチン国防長官はジャカルタを訪問していた   F15ジェット戦闘機購入が大詰め

2022-11-28 07:00:15 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)11月23日(新嘗祭)
       通巻第7532号  
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 オースチン国防長官はジャカルタを訪問していた
  F15ジェット戦闘機購入が大詰め
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 インドネシア空軍は米ボーイングのF15イーグル購入に前向きである。購入予算は139億ドル。10月21日にもインドネシアのプラボワ国防相がペンタゴンへ乗り込んでオースチン国防長官と最後の詰めを行った。
 バンコックAPEC終了後、ハリス副大統領はフィリピンへ、オースチン国防長官はインドネシアへと役割分担だった。

 東ティモール独立問題で米国とインドネシアの関係は悪化してきたが、中国の軍事対等、南シナ海における侵犯、インドネシア海域での中国漁船の海賊行為など、情勢の激変にとおない過去の対立などは問題外となった。

 インドネシア空軍は3万。保有機は346機で、F16,スホイ30のほか、韓国と共同開発のKF21があるものの後者は分担金のもつれや機密漏洩などがあったため軌道に乗っていない。
 インドネシアはスホイ27,同30なども購入対象としてきたが、南シナ海の軍事緊張のたかまりに鑑み、F15イーグル購入を真剣に検討するようになった。
 F15は世界的にもイスラエル、サウジアラビア、日本、台湾などで採用されており、標準の行動半径は1085キロ、時速1300キロ。日本が保有のF15Jは三菱重工との共同開発、インドネシア向けはF15IDとされ、インドネシア仕様となる。

 インドネシア軍は総力39万5500人の志願制で、国軍司令官はアンディカ・プルカサ。かれはハーバード大学などへ留学経験があり、親米派として知られている。
なお、このプルカサとプラボワ国防相はジョコ・ウィドド現大統領の後継者としても有力視されている。
     

ハリス副大統領が比訪問、パラワン諸島も視察   マルコス政権、ドゥテルテ前政権の親中路線を「修正」

2022-11-28 06:58:28 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)11月22日(火曜日)
       通巻第7531号  
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 ハリス副大統領が比訪問、パラワン諸島も視察
  マルコス政権、ドゥテルテ前政権の親中路線を「修正」
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 11月21日、APECバンコック会議を終えたカマラ・ハリス副大統領は特別機でマニラへ飛んだ。フィリピンの首都でハリスはマルコス大統領、サラ副大統領と会談し、米軍の拠点増大、原子力平和利用の促進など「123協定」を交わした。

 ボンボン・マルコス大統領は元大統領の息子だが、親米的でドゥテルテ前政権の親中路線を大胆に「修正」しつつある。
 とくに米軍のフィリピンにおける拠点は現在8ヶ所あるとされるが、これをさらに五ケ所拡大する。原発建設などで、部材、部品の米国からの輸出も開始される。

なによりの注目はハリス副大統領が、22日にパラワン諸島を米副大統領として初訪問することだ。

パラワン諸島は南シナ海の戦略的要衝にあって、ルソン、ミンダナオからボルネオへと到る海域に南西へ向かった細長い形をしており、397キロにおよぶ群島。スカボロウ岩礁から160キロが群島の北端である。
米国への住民感情が和らぎ、ウィガン湾の比海軍基地へのテコ入れが期待されている。

フィリピンの対米感情が変化したのは台風被害のおりの「トモアチ作戦」からで、背景には中国軍の南沙諸島侵略と、比スカボロウ岩礁への侵攻。フィリピンの漁民は操業の安全が脅かされるとして軍派遣などを求めていた。またアブサヤンなどイスラム過激派がパラワン諸島でゲリラ活動、比軍との戦闘や外国人誘拐事件をおこしたため比政府も軍港の整備を急いでいた。

ウィガン湾は嘗て日本軍が上陸した作戦の拠点でもあり、この既存の軍港を五年かけてフリゲート艦が寄港できる規模は拡大する。
ハリスはその現場へ向かう。