米ニュースマックス ホワイトハウス担当記者 ジョン・ギジー氏
来年11月の次期米大統領選に向けた動きが活発化している。米保守系メディア「ニュースマックス」でホワイトハウス担当記者を務めるジョン・ギジー氏に今後の展望を聞いた。(聞き手=編集委員・早川俊行)https://vpoint.jp/world/usa/225178.html
バイデン氏は民主党指名確実
共和党の最有力大統領候補であるトランプ前大統領が4回も起訴された。トランプ氏の裁判は大統領選にどう影響するか.
裁判では弁護団がついているとはいえ、自らの弁護に膨大な時間を割かなければならない。裁判をしながら選挙戦を戦うのは非常に難しい。司法省に狙われた者は最終的に潰(つぶ)される。司法省には誰かを追及するのに必要な資源と人員が無尽蔵にあるからだ。
私は過去に起訴された閣僚経験者と電話で話したことがある。私は彼がすべての罪状で勝訴すると思っていたが、彼は執行猶予のようなものがつく形式的な罪状で司法取引をするつもりだと語った。裁判を続ける資金がないというのだ。つまり、司法省の標的になるというのは大変なことなのだ。
とはいえ、トランプ氏はずっと専門家たちの予想を裏切ってきた。多くの人はトランプ氏が共和党候補になるとは思っていなかったし、当選するとも思ってもいなかった。だから、トランプ氏の動向を見守るしかない。
共和党候補指名争いの展望は。
トランプ氏が最有力だ。だが、ロン・デサンティス・フロリダ州知事、実業家のビベック・ラマスワミ氏、ティム・スコット上院議員、ニッキー・ヘイリー元国連大使、ダグ・バーガム・ノースダコタ州知事ら他の候補者も非常に印象的だ。彼らはトランプ氏よりずっと若い。
選挙戦のスタートとなるアイオワ州党員集会まで4カ月以上ある。現時点ではトランプ氏が先頭を走っているが、何が起こるかまだ分からない。
トランプ氏はなぜ起訴されながら人気なのか。
トランプ前米大統領=24日、ジョージア州アトランタ(AFP時事)
日本で田中角栄氏が裁判にかけられた後もなぜ人気を保ち、影響力を維持できたのか。それは田中氏が政治的アウトサイダーという意味で類いまれな人物だったからだ。トランプ氏は田中氏によく似ている。
トランプ氏は多くの点で忘れられた平均的な米国民の代弁者だ。同氏は「私は今日起訴されるが、明日はあなたかもしれない」と言って、多くの人の心を動かすのだ。
ただ、2016年、20年の大統領選でトランプ氏に投票しなかった人が突然、同氏に投票すると言いだした人に会ったことはない。
バイデン大統領はすでに80歳だが、このまま民主党の大統領候補に選ばれるか。
バイデン氏は1年後、民主党の大統領候補になっているだろう。1日過ぎるごとに、バイデン氏は「気が変わったから引退する」と言うのが難しくなる。民主党には短期間で国民にアピールできる人物がいないからだ。
バイデン氏の息子ハンター氏のスキャンダルに批判が集まっている。バイデン氏の再選にどう影響するか。
バイデン氏は息子とビジネスについて話をしたことはないと言っていたが、真実ではないようだ。これは問題になると思う。
ただ、私は疑わしい外国人の発言で物事を即座に判断したくはない。ウクライナのエネルギー企業ブリスマの元CEOは、バイデン氏とハンター氏にそれぞれ500万㌦を支払ったと言っているが、彼は最も腐敗した指導者であるヤヌコビッチ元大統領の下で閣僚を務めた人物だ。現時点では、疑惑に対する判断は、調査を行う議会の手に委ねたい。