沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

AC 論説No. 918 司法長官の無法行為

2022-11-28 06:56:33 | 日記
AC通信No.918 (2022/11/20)
AC 論説No. 918 司法長官の無法行為

あまりにも酷い。私は共和党員でも民主党員でもないし、トランプ支持でもない無党派の人間である。
しかし私はアメリカの司法長官ともあろうものが公然と法の濫用で勝手な命令を下したことに憤慨し、
強く反対する。こんな無法が民主主義国家アメリカで通るとは呆れ果てたあまりにも酷いことだ。

中間選挙が終わり、11月15日にトランプ元大統領がフロリダの別荘マーララーゴで2024年の大統領選挙
に出馬すると発表した。すると三日後の18日にガーランド司法長官が「トランプのJ6国会乱入事件の関
連と、マーララーゴのFBI強制捜査事件について、特別検察官を任命する」と発表した。

ガーランド司法長官はこの決定について「トランプは2024年の大統領選挙に出馬すると発表した。これ
は非常に重大なことである。だから特別検察官を任命して彼を調査させるのである」と述べた。何が重
大なのか。つまりガーランド司法長官はトランプが「罪を犯した嫌疑」がある。だから犯罪者を大統領
選挙にだすわけにいかないと言うのだ。だが「罪を犯した嫌疑」があるから選挙に立候補できないこと
はない。むしろ彼はトランプが再び政権を取り戻すことを懸念しているに違いない。

ガーランドは「もしも」トランプが有罪だったら大統領になる資格がないから投票前に調査させると言
う。それなら次期大統領に出馬するつもりのジョー・バイデンも特別検察官の任命が必要でないのか。
バイデンと息子のハンターは彼が副大統領だった時、一緒に世界各国を旅行してアメリカの副大統領の
影響で中国、ウクライナ、ロシアなどから多数の如何わしい金を受け取った。このスキャンダルはすで
にハンターのパソコンから得た確実な証拠やハンターと一緒に仕事をした生証人がいて、来年の新国会
でジョーダン議員(司法委員会)とコーマー議員(監督委員会)の調査が始まることになっている。だ
からガーランドも特別検察官を任命してバイデンの売国行為と国際汚職を調査すべきである。バイデン
の調査をしないのは彼が民主党のためにトランプを政治的に抹殺しようとしている証拠である。明らか
なハッチ法(Hatch Act。公務員の政治活動を規制する立法)違反である。

特別検察官は調査の結果を出しても判決を下すことができない。検察官が有罪と認めたら裁判になり、
裁判の結果で決める。検察官の調査は2年以上かかるかもしれないが、裁判になったら数年はかかる。
ガーランドは司法長官だからそんなことは熟知している。だから選挙の前時期に特別検察官を任命して
調査する目的はトランプの有罪という嘘を広めて選挙妨害をすることだ。左翼メディアとグルになって
罪の疑惑を宣伝してトランプに投票しないようにする。司法長官の「特別検察官を任命する権利」を悪
用したトランプ下しだ。

Deep State民主党は6年前に「トランプのロシア癒着疑惑」で特別検察官を任命して調査を任命した。こ
れがヒラリーとFBIがデッチ上げた偽の情報だった。しかもFBIは英国のクリストファー・スティールを
100万ドルで買収してトランプの偽情報を作らせようとした。今ではロシアゲートと呼ばれている。ガー
ランドの特別検察官任命は「RussiagateーNo.2」、ロシアゲートの続きである。

ガーランド司法長官はJ6国会乱入事件とマーララーゴのFBI強制捜査事件でトランプの罪の有無を調査さ
せると言ったが、J6事件はペロシが任命した下院の調査委員会で、2人の共和党議員を含む人12人の反ト
ランプ議員で構成された委員会である。同委員会は国会に乱入した700人以上を逮捕したが、本当の目的
は「トランプを暴動の元凶として断罪する」ことであった。

J6調査委員会はトランプを召喚したが、トランプは同委員会が彼を断罪するためのカンガルー裁判(法
律や人権を無視した裁判)であるとして最高裁に提訴し、召喚を拒否した。このため同委員会は中間選
挙でトランプの有罪と起訴を選挙材料にすることができなかった。委員会がトランプを断罪できなかっ
たので、後続のガーランドが特別検察官を任命して強引にトランプ有罪をデッチ上げ、政界から追放す
る陰謀である。

次にFBIのマーララーゴ強制捜査事件だが、FBIはマーララーゴの捜査令状の公開を拒絶した。FBIは不当
な理由で強制捜査をしたから令状を公開しない。この事実を真っ先に調査すべきである。しかもこの事
件はすでにフロリダ地方法廷のキャノン裁判官がスペシアルマスター(特別補佐官)を任命して双方の
合法性を調査させた。つまりマーララーゴ事件の調査はスペシャルマスターが全てを優先するべきだ。
ガーランドの特別検察官任命はスペシアルマスターの任務を無視し、FBIの違法の可能性を隠蔽して特別
検察官がトランプの罪を決定することに変更した陰険な策謀である。

ガーランドの陰謀はトランプに不利であることは間違いない。いくら抗議してもガーランドが特別検察官
の任命を取り消すことはない。加えて左翼メディアが2年も続けてトランプに不利な宣伝をしていけば
選民に大きな影響を与え、トランプ支持者層にも影響を与える。全国の反トランプ民衆と反トランプの
公務員がメディアを一緒になれば選民の半分にも達するだろう。トランプは選民の半分を失った状態で
戦うこととなる。

左翼民主党にはもう一つ陰険な手段がある。シューマー上院議長の「特赦で1100万人の違法入国者に市
民権を与える」法案である。この法案が通れば民主党は一挙に数百万票を得ることができる。シュー
マーは10年前は違法移民に市民権を与える法案に絶対反対だった。それなのに彼は数日前に上院で違法
移民に市民権を与える特赦法案を提案した。明らかに民主党票を獲得するためである。しかもこの法案
が通れば後續の法案もある。バイデンの国境解放でこの2年間で5百万の違法移民が増えたから、若しも
シューマー法案が通れば次は新違法移民に市民権を与える法案を提案するだろう。

共和党はトランプの他にデサンティスを出す案を検討すべきだが、トランプは同意しないだろう。トラ
ンプが再び大統領に当選しなければ2年前のイカサマ選挙は追及できない。共和党内部ではトランプ離れ
が起きて、すでにデサンティス/トランプのコンビを提案している議員がいる。2024年までどんな変化
があるか、予測は難しい。

中国のひとりあたりのGDPが11167ドルって、本当か    国民の13%は一日5・5ドル(770円)以下で暮らしている

2022-11-28 06:54:21 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)11月21日(月曜日)弐
       通巻第7530号  
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 中国のひとりあたりのGDPが11167ドルって、本当か
   国民の13%は一日5・5ドル(770円)以下で暮らしている
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 米国連邦議会下院は共和党が制した。次期下院議長に有力視されるケビン・マッカーシーは11月20日、FOXニュースの独占インタビューに答え、「議長になったら、『中国問題特別委員会』を設置し、さらに適格に(強硬に?)、中国問題に対応する」と述べた。
 マッカーシー議員は57歳、カリフォルニア州23区選出m「」当選五回。かの『赤狩り』のマッカーシーとは無関係でトランプ支援者。

 貿易速報(10月)によれば中国の対米輸出は12・6%の激減で470億ドルだった。九月も前年同月比で11・6%減だった。
 中国のジニ係数が0・382に改訂されたとか。IMFは2022年の中国のGDP成長栗を3・2%としているが、もう一度低い数字に訂正の必要がありそうだ。

 経済学者のアントニアオ・グラッセフォに依れば中国の地方在住の収入は@2611ドルで、なかには一日5・5ドル(770円)以下で暮らしている貧困層がある(ジェイムズタウン財団『チャイナ・ブリーフ』、22年11月18日号)
 都市人口は61%に膨張し、他方、国民の39%が田舎暮らし。国民一人あたりのGDPは11167ドルという統計になるが貧富の格差は拡大の一途だ。

 『財訊』は中国の負債はGDPの265%と見積もる(同紙、21年11月3日)。それでも低い数字だ。開発業者の20%が債務超過におちいっており、ローン残高が膨張している。
 地方政府の「融資平台」(LGFV)の債務は公式でも、4兆ドル(新華社21年12月17日)、ゴールドマンサックスは1100兆円以上とはじいた。LGFVの30%は破産の危機に瀕している。

「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」     共和党大統領候補予備選にダークホース登場

2022-11-28 06:52:41 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)11月21日(月曜日)
       通巻第7529号   <前日発行>
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 「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」
    共和党大統領候補予備選にダークホース登場
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 「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」は、往年のエリザベス・テーラー、リチャード・バートン主演の映画、ハリウッドの黄金時代だった。
 現在のヴァージニア州は首都ワシントンDCに隣接するベッドタウン。人口は860万人。州都はリッチモンド。

 なぜか、このリッチモンドに一週間も滞在したことがある。1988年秋だった。折からブッシュシニアの選挙最終版で、各地で実際のアメリカの選挙風景も取材できた。
 リッチモンドの経済団体に招かれたのは、日本からの進出企業受け入れのため、州政府が工業団地を造成し、友人の植田剛彦が日本代表に指名されて、東京でもセミナーを開催した関係があった。リッチモンドから車で40分ほどのウィリアムバークは昭和天皇が訪問された古都。植民地時代の首都だった(1699~1780)。

 さて共和党の次期大統領候補レースで突如浮上したダークホースが、このヴァージニア州知事である。有力ファンド「カーライル」CEOだったグレン・ヤンキンが51%で「辛勝」した。民主党候補のテリー・マコーリフ前ヴァージニア州知事に競り勝った。

2020年の大統領選では、民主党のジョー・バイデンがドナルド・トランプ前大統領(共和党)に10ポイントの差をつけて、ヴァージニア州を制した。元来、民主党の牙城である。
知事選での共和党の勝利は民主党の牙城を陥落させたという文脈で注目されるのだ。

 左派メディアがいうようにトランプの党内求心力は低下した。
 現在、トランプの再選を党内で阻もうと大統領選予備選出馬を準備中はフロリダ州知事のロン・デサンティスが筆頭だ。

デサンティス(44歳)はハーバード大学で歴史学博士、海軍を経て連邦下院議員三期。2018年にトランプ大統領の篤い支援を得て州知事に当選し、22年中間選挙での再選も早々と決めて全国的関心を集めた。
デサンティスはイタリア系で、15日のトランプ出馬声明はタイミングが悪く、共和党内では以前より強いトランプ下ろしの動きが顕在化しており、それに便乗したかたち。本人も意欲満々の様子だという。

 渋い存在だったマイク・ペンス前副大統領もトランプとは距離を置いて、出馬準備に入っているが、党内の人気はぱっとしない

 ニッキー・ヘイリー元国連大使は出馬するだろう。予備選で善戦すれば「トランプ・ヘイリー」のチケットが組まれ、副大統領に収まる可能性があるとされる。

「(出馬に)興味がある」としているのは前々回も出たクリス・クリスティ(元ニュージャージー州知事)、スヌヌ(元大統領首席補佐官。前ニューハンプシャー州知事)あたりだが、マイク・ポンペオ前国務長官、マリオ・ルビオ上院議員(フロリダ)、テッド・クルーズ上院議員(テキサス)らは出馬を見送る公算が高い。

ツィッターの「トランプ口座」復活に賛成が1160万人   同社から大量のスタッフが去った。マスクは「24年はトランプに投票する」

2022-11-28 06:48:00 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)11月20日(日曜日)
         通巻第7528号  
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 ツィッターの「トランプ口座」復活に賛成が1160万人
  同社から大量のスタッフが去った。マスクは「24年はトランプに投票する」
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 イーロン・マスクが440億ドルを投じて買収したツィッターで、ネット投票がおこなわれ、米国時間の11月19日午前九時現在、「トランプ口座」の復活に賛成が1160万人となった。

 賛成が52・3%、反対が47・7%。ともに組織的投票だろう。左翼系はツィッターの機能麻痺を狙って過激な意見や珍論、奇論を集中させている。
 また同社から大量のスタッフが去ったが、マスクは意に介さず、「24年はトランプに投票する」と公言した。

 同日バンコクのAPECでは台湾TSMC会長の張忠謀が乗り込み、岸田首相と会談した。張は日本主導のCPTPPに台湾が加盟申請したことを伝えた。張忠謀はまた習近平とも面談し、三選への祝意をのべたそうな(台北タイムズ、11月20日)。
 張は91歳、同氏が創設のTSMCは世界の半導体最大メーカーだ。

 APEC会場ではカマラ・ハリス副大統領も習近平と立ち話、対話チャンネルの確保を話したという。

 一方、キエフへ英国のスナク新首相が電撃訪問し、追加援助6000万ドルを手土産とした。
ゼレンスキー大統領は先般のポーランドへのミサイル攻撃がウクライナ側の迎撃ミサイルの誤射だった事実には触れず、ウクライナ国民へ訂正発表をして居ない。米下院は共和党が制したので、米国のウクライナ支援はスタンスが多少変更されるだろう。

仏知識人の世界観と日本の国防戦略 櫻井よしこ

2022-11-28 06:46:51 | 日記
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仏知識人の世界観と日本の国防戦略
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         櫻井よしこ



欧州の大国のひとつ、核を保有するフランスから歴史人口・家族人類学者、エマニュエル・トッド氏が来日した。シンクタンク「国家基本問題研究所」の15周年の会員の集いで、3時間半にわたって行ったセミナーは刺激に満ちていた。

旧ソ連の崩壊を、その15年も前に予測して世界的名声を得たトッド氏は、ロシアのウクライナ侵略戦争をとば口として、世界はすでに第3次世界大戦に入っていると見る。だが、第1次、第2次大戦と、トッド氏の言う「今次の大戦」の大きな違いは、前者が各勢力が上り調子の中で発生したのに対し、後者は各勢力のいずれもが力を衰えさせる中で発生したことだという。

トッド氏はまた、米露は共に凋落していく大国であり、中国は異常な出生率の低さ(1.3)故に中長期的には世界の脅威になり得ず、これまた衰え行く国だと見る。欧州の雄、ドイツについては独特の見方をとる。ドイツはただでさえ政治的機能不全に陥っているが、ウクライナ戦争でアメリカに潰された、と言うのだ。フランスに関しても、アメリカがフランスの軍需産業を潰しにかかっていると述べる。イギリスはEUから離脱したにもかかわらず、経済は全くふるわないと切り捨てる。

トッド氏の発言は、たとえば中国がなぜ大きな脅威ではないかという重要な点について、十分な裏づけを示さないために、少々物足りなかったのだが、氏の言わんとすることの中で最も重要なのは米国と、北大西洋条約機構(NATO)の他加盟国やEUとの距離が拡大したという点に凝縮されるのではないか。

米国のユーラシア戦略は、同大陸を「コントロール」し、ドイツと日本を抑えこむことだと、氏は主張する。わが国は現在、年末に向けて国防戦略などの大幅な見直しの作業中だ。戦後体制を変える勢いで国防政策の根幹を変えるべきいま、最大の力点のひとつがより緊密な日米同盟の構築である。

米国は日本を抑えこむよりも、日本が立ち上がり、自らを守り、台湾防御にも貢献できる強く自立した国家になることを切望している。その点、ヨーロッパの知識人、トッド氏の対日アメリカ政策への批判には同意できない。だが、氏の発言を単にアメリカに絶望したフランス人学者の批判として聞き流すべきでもない。米欧間には明らかに相互不信の溝があること、中露両国がここぞとばかりに介入していることを、頭に入れておかなければならない。

ちなみにドイツのショルツ首相は11月4日、ウクライナ戦争勃発後、G7首脳として初めて北京を訪れた。ショルツ氏の社会民主党と連立政権を組む、緑の党や自由民主党の強い反対を押し切っての訪中だった。氏の北京滞在は11時間、宿泊せずに中国を離れたのはドイツ国内のみならず、米国や欧州諸国の懸念を考慮した結果だろう。

中国は自身の立場が国際社会で厳しくなると、必ず相手陣営の分裂を画策する。習近平国家主席はとりわけ戦闘的で強硬だ。習氏はロシアを擁護して侵略戦争を非難せず、先の共産党大会では驚くべき強権人事で専制独裁体制を強めた。結果、国際社会で孤立を深めている。

アメリカに絶望している

中国を取り巻く状況の厳しさは10月7日に米国政府が発表した半導体政策にも顕著に見てとれる。バイデン大統領が決定した半導体輸出のさらなる規制策は中国の成長の息の根を止めかねない強い措置だ。対中制裁を巡る西側諸国のこうした団結の中で、最も弱い輪だと見られているのがドイツである。

ショルツ首相は北京訪問だけでなく、それより前の10月26日にドイツ最大の湾、ハンブルク港にある4つのターミナルのひとつについて、権益の一部を中国の国有企業、コスコグループに売却した。緑の党だけでなく、ドイツ政府の経済、内務、国防、運輸、財務各省が反対した。それでもショルツ氏は売った。アメリカならずとも、ドイツの外交姿勢を牽制したくなるのは当然だ。トランプ政権以降、より顕著になった米独関係のきしみが拡大されかねない。

アメリカに絶望していると言うトッド氏の対米不信は根強く、ウクライナ戦争の原因は、NATOを東方に拡大した米国を筆頭とするNATO側にあると主張する。見解の相違としか言えないが、このような考えが欧州にあることも、知っておかなければならない。他方、米国の力が衰えているとの氏の指摘は誰よりも日本人が忘れてはならないことだ。

氏はこの戦争では西側ブロックが勝つとは思えないと繰り返す。ロシアは戦争開始直後、軍事的には強くても経済的には持ちこたえられないと見られていた。今日までの結果を見れば逆だ。ロシアは経済的には耐え続けている。その現象は、「アメリカの伝統的な力にダメージを与え、ドル基軸通貨体制に支えられた金融システムや貿易決済制度の見直し」につながっていくと、トッド氏は見る。「真の国際通貨はドルでなく石油やガスなのだと、ロシアが迫っているわけです」と語る。

「核武装すべきだ」

産経新聞特別記者の田村秀男氏が反論した。

「アメリカのドルの覇権は簡単には崩れないでしょう。ゴルバチョフのソ連を崩壊させた要因は以下の通りです。レーガン政権が高金利政策をとり、石油の値段が下がった。同時にレーガン政権はサウジアラビアを抑えこんで、石油を増産させた。一旦暴落した石油価格は元に戻ることなく定着して、結局ゴルバチョフはアメリカに対抗できずに敗北した。ゴルバチョフは後年、ソ連が敗北したのはサウジアラビアを知らなかったからだと述懐していたそうです」

米国の中間選挙で、予想どおり共和党が上下両院を制すれば、米国のウクライナ政策が修正される可能性がある。共和党内には対ウクライナ支援に消極的な意見も少なくない。米国が消極策に転ずれば、米軍支援でもっているウクライナ軍の反撃はにぶり、戦況に重大な変化が生まれるだろう。

トッド氏がこの戦争で西側ブロックが勝つとは思えない、ロシアが耐え抜く可能性がある、と主張したのはこうした状況を念頭においてのことか。ではわが国への影響はどうか。台湾、沖縄について、中国に絶対に誤解させてはならない。そのために岸田文雄首相は年末にかけてこれまでにない異次元の力強さを誇る国防戦略を打ち出すのがよい。トッド氏はこうも語った。

「ウクライナ戦争で核という武器は完全な安全を保障するものであると証明された。日本は(人口上)若者を軍事面に投入することが難しい。ならば、核武装すべきだと、私は思います。核こそ平和維持に必要だと私は確信しています」

中国に侵略戦争をおこさせないために、強い抑止力を構築しなければならない。だから核についても考えよ、とフランスの知識人は熱をこめて語った。