鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2022年6月21日号)
*空母「福建」の衝撃
先週、上海で中国海軍の空母「福建」が進水した。遼寧、山東に続く中国3番目の空母は2年後の2024年に実戦配備される予定である。福建が配備されれば、遼寧、山東、福建の3隻の空母のローテーションにより、台湾を恒久的に海上封鎖できる。
もとより中国の空母3隻体制は米国の空母10隻体制に比べれば質、量ともに、はるかに劣るが、米海軍は米中の空母決戦を想定してはいない。米空母にとって脅威は中国空母ではなくて中国沿岸に配備された各種ミサイルである。
従って、中国の空母が台湾を封鎖しても、米空母は中国のミサイルに牽制されて、台湾に接近できないのである。すなわち中国が空母3隻体制を完成すれば、中国はいつでも台湾を海上封鎖でき、米海軍はその封鎖を突破できない。
もちろん空母福建は進水しただけであり、これから海上で上部を組み立てて完成するのは2年後である。だが2年の時間的猶予を活用して米国が、どんな台湾救出策を練っているのかと言えば、はなはだ心もとない。
11日にシンガポールで日米韓防衛相会談が開かれた。そこで中断していた日米韓共同訓練の再開で合意し、共同声明には初めて「台湾海峡の平和と安定」が盛り込まれた。岸防衛相と李国防長官がオースチン国防長官を挟んで憮然とした表情をしていたのが印象的だった。
つまり米国はもはや、米国一国では中国の台湾侵攻を阻止できなくなったため、日韓の協力を求めたのである。だが米空母でさえ立ち向かえない中国のミサイル網に、日韓がどう立ち向かえと言うのか?日韓両相の憮然とした表情は、それを語って余りある。
ことほど左様に、今回の空母福建の進水の衝撃は深く広く大きいのである。
(2022年6月21日号)
*空母「福建」の衝撃
先週、上海で中国海軍の空母「福建」が進水した。遼寧、山東に続く中国3番目の空母は2年後の2024年に実戦配備される予定である。福建が配備されれば、遼寧、山東、福建の3隻の空母のローテーションにより、台湾を恒久的に海上封鎖できる。
もとより中国の空母3隻体制は米国の空母10隻体制に比べれば質、量ともに、はるかに劣るが、米海軍は米中の空母決戦を想定してはいない。米空母にとって脅威は中国空母ではなくて中国沿岸に配備された各種ミサイルである。
従って、中国の空母が台湾を封鎖しても、米空母は中国のミサイルに牽制されて、台湾に接近できないのである。すなわち中国が空母3隻体制を完成すれば、中国はいつでも台湾を海上封鎖でき、米海軍はその封鎖を突破できない。
もちろん空母福建は進水しただけであり、これから海上で上部を組み立てて完成するのは2年後である。だが2年の時間的猶予を活用して米国が、どんな台湾救出策を練っているのかと言えば、はなはだ心もとない。
11日にシンガポールで日米韓防衛相会談が開かれた。そこで中断していた日米韓共同訓練の再開で合意し、共同声明には初めて「台湾海峡の平和と安定」が盛り込まれた。岸防衛相と李国防長官がオースチン国防長官を挟んで憮然とした表情をしていたのが印象的だった。
つまり米国はもはや、米国一国では中国の台湾侵攻を阻止できなくなったため、日韓の協力を求めたのである。だが米空母でさえ立ち向かえない中国のミサイル網に、日韓がどう立ち向かえと言うのか?日韓両相の憮然とした表情は、それを語って余りある。
ことほど左様に、今回の空母福建の進水の衝撃は深く広く大きいのである。