沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2022年6月10日号) *南太平洋諸島の争奪戦

2022-06-10 19:10:51 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2022年6月10日号)
*南太平洋諸島の争奪戦
 4月19日に中国は、南太平洋にある島嶼国(とうしょこく)ソロモンと安全保障協定を結んだ。さらに5月30日、中国の王毅外相はやはり南太平洋にある島嶼国フィジーで開かれた南太平洋島嶼国外相会議で中国と安全保障協定を結ぶ意義を強調した。

 軍事ジャーナリストである私が興味深く感じたのは、他でもない。これらの島々では第2次大戦中、日米両軍の死闘が繰り広げられたからである。特にソロモンの首都があるガダルカナル島は日米戦争の天王山となり、ここで日本は敗退して敗戦の道を歩むこととなった。
 では日本はなぜ、これらの島々に進出したのか?これについては豊田穣(とよだじょう)著の「海軍軍令部」に詳しいが、当時、日本海軍の軍令部は米豪分断を意図していた。地図を見れば明らかだが、ここを日本が占領すれば米国とオーストラリアの海上交通を断てるのである。

 さて、かつての日本海軍の意図が米豪分断にあったのであるから、現在、海洋進出を強める中国の意図もまた、米豪分断にあると見てよいのではないか。昨年9月、米、英、豪はインド太平洋の平和と安定を維持するための軍事的枠組みとしてAUKUS(オーカス)を創設した。
 中国がAUKUSの分断を狙って南太平洋諸島に進出を図っていると見るのが、歴史的にも戦略的にも自然な見解なのである。ウクライナはもとより、南太平洋でも昨今の世界情勢の激変ぶりは、やはり第2次世界大戦を彷彿させるのである。

日本がより大きな責任を担う時    櫻井よしこ

2022-06-10 19:08:35 | 日記
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日本がより大きな責任を担う時
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       櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第1001回

バイデン米大統領の韓国及び日本訪問の最大の意味は、中国の脅威に断固 対処するとの米国の国家意志を明確にしたことだろう。ロシアの侵略戦争 と中国の脅威への両睨みの中で、バイデン氏は台湾有事の際、軍事介入す るかと問われ「イエス。それが我々の誓約だ」と言い切った。

右の発言は5月23日午後、岸田文雄首相と共に開いた記者会見でなされ、 以下のように続いた。「我々はひとつの中国政策を認めている。しかし軍 事力で強制的に取り込んでいくことは許されない」

重要発言だったが、質問も答えも厳格に詰める形ではなかったために、こ れをバイデン氏らしい失言だと見る向きもある。だが、バイデン氏は昨年 8月19日にも10月21日にも同じことを言った。今回は三度目だ。米大統領 の三度にわたる発言の意味を正しく受けとめたい。

台湾に対する米国の年来の「曖昧戦略」は「明確戦略」に転換すると見る のが正しいだろう。日本の戦略はその考えに基づいて構築すべきだ。地理 的に見れば台湾有事は日本有事に他ならない。

中国の海洋戦略の専門家、トシ・ヨシハラ氏は、長射程・超音速ミサイル を大量に使う現代の海戦に、日本の海上自衛隊は勝てないと中国は確信し ていると指摘する。のみならず、中国は有事の際、在日米軍基地を攻撃す ることで、西太平洋における米軍基地を全滅させ得ると侮っている、とも 言う。まさに、台湾有事は日米同盟の有事だ米国の軍事介入を大前提とし て米国と共に台湾を守る戦略を具体的に論じ、備えなければならないゆえ んである。

だが台湾の現状は生易しくはない。この戦域で中国は、軍用機、艦艇双方 で日米台の総合力を圧倒的に上回る。中国側には中距離ミサイルも約1250 基ある。米国は今、中距離ミサイルを猛スピードで作っているが、現時点 ではゼロだ。中距離ミサイルに積む戦術核も、中国は「山のように、少な くとも数百発は持っている」と、防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄 氏は語る。

米国も戦術核は数百発の規模で保有していると高橋氏は言うが、それは戦 闘機に巡航ミサイルを積み、そこから発射するもので、機動性において中 国に劣る。

核を使う危険性

このような状況の下で、日本はこれまで考えたことのない多くの事柄につ いて考えなければならない。まず、ロシアがウクライナ侵略戦争で核を使 う危険性が懸念されていることだ。小野寺五典元防衛大臣は5月の連休中 に訪米し、米国要人らとの意見交換でこう言われたそうだ。

「ウクライナ戦で劣勢に陥ったロシアが核を使って形勢逆転をはかったと 仮定して、米国はどうすべきか。ウクライナよ、武器などを支援し続ける から頑張れと言って済むのか。米国は核で報復すべきではないのか。仮に 報復する場合、我々は単独では決定しない。日本を含む同盟国や当事国に 相談する」

小野寺氏は米国で実際に核兵器を戦場で使うか否か、どのように使うかの 議論がなされているのに驚いたという。日本の元防衛大臣に対する米国の 問いについて、安倍晋三元首相が5月20日の「言論テレビ」で語った。

「米国側の発言、問いの意味をよく考えなければならないと思います。戦 術核、小型核であっても瞬時に数千人、場合によっては万を超える人たち を殺害するわけです。その責任を分かち合えと言っているわけです。アメ リカがやったのだから、ではないということです。日本に対して拡大抑 止、核の傘を貸しているのはそういうことだ、現実から目をそらすなとい うことでもあると思います」

米国側の問いに、日本は答え得るのか。国防の専門家達が語った。

「日本は何も言えないでしょう。言う力もない」(岩田清文元陸上幕僚長)

「相談されたらうろたえるだけでしょう。日本には戦略的思考も核抑止の 理論もありませんから」(織田邦男元空将・麗澤大学特別教授)

「その時の総理大臣次第」(高橋杉雄氏)

現在の総理は岸田文雄氏だ。岸田総理は「非核三原則」は絶対にゆるがせ にしないと述べる。広島出身の政治家として、「核なき世界を目指し続け る」と強調し、来年、日本が開催国となる先進七か国首脳会議(G7)も 広島で開くと発表した。

首相の掲げる理想に反対する人はいないだろう。しかし問題が二つある。 まず、「現実を見ること」である。核廃絶を求めるのなら、
言葉で言うだ けでなく、具体策を示さなければならない。もう一つは、核廃絶までの 間、如何にして日本国民と日本を守るのか、これまた具体策で示す責任が ある。防衛予算の積み上げは国民・国土を守る手立てのひとつにすぎな い。軍事的脅威を受けた場合、自衛隊はどう動くのか、国民はどう行動す るのか。全て戦後の日本ではおよそ考えもしなかった事柄だが、政府が先 頭に立って皆で考え、守り通す力を築き上げなければならない。

独立した国として…

なぜなら、専制独裁者、中国の習近平国家主席が台湾侵略を諦めることは ないからだ。この日本の危機に対処する基本は、日本が普通の国のよう に、国を守るためのあらゆる形の戦いに全力を尽くせるようにすること だ。その第一歩は憲法改正しかない。核についても非核三原則を超えて、 二原則、或いは一原則にすることも皆で話し合うべきだ。

だが、バイデン氏は米国の核による拡大抑止の強固さを強調し、日本で語 られ始めた核の共有や保有についての主張は受け入れないという姿勢を示 した。

2006年に北朝鮮が初めて核実験をした際に、中川昭一氏が日本も核につい て議論しようと言っただけで、米国務長官コンドリーザ・ライス氏が急遽 来日し、有無を言わさず日本での核の議論を潰した。現在、同じことが起 きている。

この不安定な国際情勢の下で、国民と国を守り通す手立ては何か、独立し た国として何を成し得るのかと模索するのは当然だ。日本の安全の土台を 米国の拡大抑止と非核三原則で担保し、それ以上踏み込むなというのは、 日本は究極の事態を考えなくてよいということだ。反対に、先述した核使 用の可能性については責任を分担せよという姿勢は、日本も究極まで考え よということだ。米国は矛盾している。迷ってもいる。国防についてよう やく考え始めようとしている日本側から、独立国としての資質を備えるた めに問題提起し、米国にも考えてもらう時だ。

米国はよき同盟相手、また協力者としての日本を必要としているはずだ。 同盟を支え日本を守り抜くために、日本はより強い国になり、より大きな 責任を果たすのがよい。核を含めてタブーなき国防論を戦わせる時だ。


西側からハイテク技術をせっせと盗み出した中国だが   入試のカンニングと同じで、そのあと追いつく能力に欠けるのでは?

2022-06-10 19:07:29 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)6月10日(金曜日)弐
        通巻第7364号 
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(休刊のお知らせ)小誌は明日6月11日と12日(日曜日)は休刊となります。
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 西側からハイテク技術をせっせと盗み出した中国だが
  入試のカンニングと同じで、そのあと追いつく能力に欠けるのでは?
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 次の事件報道に何を連想しますか?
 「1月に行われた一橋大(東京都国立市)の外国人留学生向け入試の試験時間中に数学の問題が流出した事件で、警視庁が20歳代の中国人受験生の男を偽計業務妨害容疑で逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。受験生は1月31日に行われた私費留学生の選抜試験で、試験時間中に数学の問題用紙を何らかの機器で撮影し、すでに逮捕されている中継役の中国人の男を通じて外部に流出させ、同大の業務を妨害した疑いがある。
 受験生は試験前、中継役の男を通じ、外部の中国人男性に『問題を解いてほしい』と依頼しており、警視庁が詳しい経緯を調べている」(読売新聞、6月9日)。

 日米欧から中国はスパイを駆使して先端技術を大量に盗んだ。
 川崎重工から伝授された新幹線車両技術を『中国製だ』と傲慢に言い放った。中国新幹線は事故を起こして世界の笑いものになったが、「中国製」ゆえに他に責任を転嫁出来なかった。
 鉄鋼は日本が日中友好のシンボル事業として中国の鉄鋼業界を育てた。やがて特殊鋼、自動車鋼板の技術も習得し終えるや、ダンピング輸出で日本の顧客を奪い、日本の鉄鋼メーカーの多くが高炉を止める仕儀となった。鉄鋼の城下町に不況の風が吹き荒れた。
中国製のペットフーズでアメリカでは犬猫一万匹が死んだ。
 空母はウクライナを欺して鉄の塊を手に入れ、『自主開発』でカタパルト、信号システムを構築するのに十年かかり、ようやく空母「遼寧」として就航させた。
パイロットの練度不足で着艦に失敗する死亡事故が連続した。

 中国の自動車メーカーは雨後の竹の子、しかし自動車エンジンは依然として外国製に依拠しており、自慢の宇宙船もエンジンはロシア製である。

 米国で「千人計画」を遂行し、鉦と太鼓でハイテク技術者を中国に呼び込んだが、所詮、インフラが整っていないため、多くのハイテクプロジェクトが挫折した。一方で、ハーバード大学のリチャード・リバー教授ら協力者は逮捕された。疑惑のあった中国人研修生はさっと米国を去った。ハイテクスパイの牙城とされたシリコンバレーの責任者は「自殺」した。

 半導体技術を先進国から盗んで、自主製品を作った。ところが二世代、三世代遅れである。いま喉から手が出るほど欲しい半導体製造装置も、試験のカンニングと同じで、合格しても、そのあとをついていけないようにかならず途中で脱落する。実力がないのに背伸びしても、追いつけないのである。
 ならば、中国は次にどうするか? 
奪うのである。次は産経新聞(6月9日)の報道である。

 「(中国の著名エコノミストである)陳文玲氏は8日までに、中国がロシアのように西側から厳しい経済制裁を受けた場合、台湾を支配下に置いて半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)を手中に収める必要があると主張した。米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。異例の強硬発言だ。
 陳氏は5月下旬に中国で開かれたフォーラムで発言し『米国など西側が中国に壊滅的な制裁を科すなら、台湾を取り返す必要がある。特にサプライチェーン(供給網)の面では、TSMCを奪い取らなければならない』と訴えた」。

 TSMCはすでに世界トップクラスの先端製ゆえに、アメリカはアリゾナ州へTSMCの最先端半導体工場を誘致した。TSMCじしんも、安全保障に死活的に関わると認識し、中国工場は旧世代の半導体だけを生産し、ハイテク関連製品は台湾に二倍の投資をなして先端技術を防衛する態勢に切り替えた。

 筆者は大川周明の『日本二千六百年史』を必要あって二回読んだが、中国の文明を考える際、思わず次の箇所を思い出すのだ。大川はシナ文明をこう喩えた。

 「王室の転覆、塞外民族の入寇、凶暴なる民衆の凌奪、総てこれらの出来事が幾度となく繰り返されたために、今日残るところのものは、唯唐代諸帝の光栄と宋代社会の文雅とを偲ばしめる文学や遺跡があるに過ぎぬ。その文明の根底をなせる儒教および老子教の精神は滅び果て、この精神が生み出したる麗しき芸術も、打ち続ける天災や戦乱の為に消え失せた」(大川周明『日本二千六百年史』、毎日ワンズ)

 ▲米国、さらに台湾への武器供与を追加

 6月9日、米国は第四次対台湾武器供与を発表し、1・2億ドルの中味は戦艦のシステムと部品であるとしたが、『部品』の中味には触れていない。
 第一次供与は7・5億ドルでM109A6(自走ハウザー=榴弾砲)を四十両。
 第二次供与は1億ドルでパトリオット・システム。
 第三次供与は9500万ドルで軍事訓練並びにミサイル・システム。
 いずれも中国軍の脆弱な兵站、兵力のアキレス腱をつくものと考えられる。とくにM109A6(自走榴弾砲、通称「パラディン」)は射程30キロ。ウクライナへ供与される155ミリ榴弾砲と同型である。