沖縄・台湾友の会

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パキスタン航空、カブール便を暫時中断   タリバンの航空管制は「まったくの素人、危険極まりない」

2021-10-15 16:32:44 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)10月15日(金曜日)
通巻第7083号
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 パキスタン航空、カブール便を暫時中断
  タリバンの航空管制は「まったくの素人、危険極まりない」
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 パキスタン航空はタリバンのカブール制圧以後、イスラマバードとの定期便を確保し、国連職員、世銀、IMF、ジャーナリストなどおよそ3000名を運んだ。
 10月14日、同航空は「カブール空港の管制が素人、あぶない」として、「カブール ─ イスラマバード便を暫時中断する」と発表した。

 管制官が素人、英語もあまり得意でなく、遅れることも頻発している。そのうえ、パキスタン航空はこれまでにおよそ40万ドルの保険料を支払って、毎便300名を輸送してなんとか元を採ってきたが、以後はコスト割れになると説明した。

 現在、カブールに乗り入れているのはパキスタンのほかカタール航空くらいで、時折トルコ航空がチャーター便を飛ばした。

 アフガニスタンには「カム・アエ」(KAM AIR)があるが、法外な値段をふっかけているという。
 ちなみにカブールからイスラマバードへの通常運賃は1200ドル(13万2千円)だが、パキスタン航空は2700ドル(297000円)の高値もこともあった。

 「カム・エア」は、20万ルピー(パキスタンルビーは対円で0・667)。邦貨換算で133400円。これではよほどの金持ち以外、アフガニスタン国民の海外脱出は経済コスト的に無理である。
 


鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2021年10月14日号) *クーリエ:最高機密の運び屋

2021-10-15 16:31:53 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2021年10月14日号)
*クーリエ:最高機密の運び屋
 映画「クーリエ:最高機密の運び屋」を見た。米ソ冷戦期の1962年に起きたキューバ危機の裏面史を描いたサスペンスドラマである。キューバ危機を描いた映画では、当時の米大統領ケネディに焦点を合わせた「サーティーン・デイズ」(2000年公開)があるが、「クーリエ:最高機密の運び屋」は当時のソ連側の動きに重点が置かれている。

 キューバ危機は米ソ核戦争、勃発の瀬戸際まで行った事件だが、米ソだけでなく東西両陣営が戦争準備の態勢を取った。日本の自衛隊も同様で、私が入隊した1980年代にも当時の事は語り草になっていた。
 後にソ連内部に、米国に機密情報を流したソ連軍幹部がいたことが明らかになったが、この映画はその幹部から機密を受け取り運び出した英国人の物語である。私はかねてから、ケネディのスタンドプレーのように言われていたキューバ危機に疑問をいだいており、この裏面史には得心が行った。一言でいえば、指導者がいかに優秀であろうとも、情報活動なしには正しい決断は不可能なのである。

 60年前を描いた映画を私は現在の日本で圧倒的な迫真性をもって見た。1962年10月、米軍の偵察機はキューバにソ連軍が核ミサイル基地を建設しているのを発見した。これがキューバ危機の始まりだったが、実は今年すなわち2021年3月に米軍の偵察衛星は新疆ウィグルに中国軍が米国を射程に収める核ミサイル(ICBM)基地を建設しているのを発見したのである。バイデン政権の外交・安保の慌ただしい変化はこれに端を発している。
 これについては11日に出版された共著「2023年台湾封鎖」の拙論を参照していただきたいが、要するに現在、キューバ危機ならぬ台湾危機が進行しており、自民党の選挙公約に防衛費の大幅増額が盛り込まれたのは単なる偶然ではない。
この映画は秀作である。是非ともご覧あれ。
クーリエ:最高機密の運び屋 - 作品 - Yahoo!映画
 


狡猾で論外、中国のTPP加盟申請  櫻井よしこ

2021-10-15 16:30:17 | 日記
狡猾で論外、中国のTPP加盟申請
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       櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第969回

米英豪3か国が、安全保障の枠組み「AUKUS」の創設と、米英が連携 して原子力潜水艦の技術を豪州に提供することを発表したのが9月15日 だった。

豪州はディーゼルエンジンの通常型潜水艦建造をフランス企業と契約して いた。世界で2番目の広大なEEZを持つ豪州は、中国の脅威に対処する ためにも潜水艦を必要としている。豪州とディーゼルエンジンの潜水艦共 同開発の契約をしていたフランス企業は、しかし、納期を守れないだけで なく、費用も当初案の倍近く、900億豪ドル(約7.2兆円)に膨れ上がった。

自衛隊関係者は潜水艦12隻の建造費がなぜ7兆円を超える巨額になるの か、理解できないと語る。一方で、この莫大な額を考えれば、大使召還に 発展したフランスの怒りも理解できるだろう。最後まで秘密にされたこと に加えて、大規模ビジネスを米国に奪われた恨みは深いはずだ。米原潜技 術の豪州への移転が中国の脅威に対する軍事的対抗策であるのは紛れもな い事実だが、そこに大型ビジネスが絡んでいることも国際政治の一側面と して忘れてはならない。

この件について、インドは複雑な反応を示している。豪州はよくやったと いう前向きの反応がある一方、なぜ米国は豪州だけを特別扱いするのか、 との反発もある。インドは豪州同様、4か国安全保障協議体、クアッドの 一員であり、この何年間か、米国に原潜及びステルス戦闘機を要請してき た。にも拘わらず、インドは豪州のような特典に浴していない、不公平で はないかという不満が渦巻いているのだ。

アフガニスタンからの米軍撤退によって、タリバン、パキスタン、中国の 結束が強まり、結果として最大の危機に直面するのがインドだという分析 は、大方の戦略家が一致する見方だ。それだけに今回の件も相俟って、イ ンドの米国に対する不信は募るわけだ。

一方、どの国よりもAUKUSに警戒心を強めたのは中国だ。彼らは翌16 日、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加を正式に申請したと発表した。

酷い国

TPPは単なる太平洋圏を巡る貿易・経済問題ではなく、世界最重要の経 済圏における力のバランスを左右する戦略的戦いなのである。その視点か ら米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)は23日の社説で 「バイデン政権はAUKUS戦略の成功に乗って、TPPに再加盟し、太 平洋圏における権益を増進できる」と、TPP復帰を促した。

AUKUS創設に見られるように、国際社会の新たな枠組みは米中両大国 がこれからの世界秩序、価値観の戦いを制するための手段であり、経済、 軍事を含む多くの断面から見ることが欠かせない。中国のTPPへの加盟 申請についても、日本はあくまでも慎重に、多角的に考えるべきだ。 AUKUSが軍事を超えた経済戦略の一面を合わせ持つように、TPPは 経済を超えて、世界情勢を左右するパワーバランスの問題であることを再 度強調したい。

中国がTPP加盟を申請した1週間後、台湾もサッと申請した。茂木敏充 外相は「歓迎したい。戦略的観点や国民の理解も踏まえて対応したい」と コメントした。中国の申請に関して「歓迎」という表現を避けたのとは対 照的だ。しかし、国内の議論を見ると、「中台の同時加盟案も一案だ」 (9月24日、日経朝刊)などの意見が散見され、私は驚いている。

TPPは当初「環太平洋戦略的経済連携協定」と呼ばれていたように、中 国の身勝手、国際法や常識に反する行為を許さないための戦略と位置づけ られていた。国有企業を優遇し、ウイグル人などを強制労働に駆り立て、 企業から最先端技術を奪い取ることなど、許容できないという国際社会の 合意だった。

習近平氏の下で、中国は多少なりとも常識の通ずる国になったか。否であ る。それどころか、以前よりずっと酷い国になりつつある。だからこそ、 今のままの中国の加盟は歓迎できないのだ。

では、如何にして中国の申請に対処するか。まず第一に、TPPは中国の ような横暴で国際法違反常習国の行動を認めないために創った枠組みであ ることを忘れないことだ。目標の明確な再認識が必要だ。

第二に、加盟申請に対して、交渉を開始するかどうかを決める基準を守る ことだ。シンクタンク国家基本問題研究所の企画委員で明星大学教授の細 川昌彦氏が語った。

「6月に英国の加盟交渉の開始を決定した際、TPPのすべての既存ルー ルに従うための手段を示さなければならないとしました。これをモデル ケースにすべきです」

WTOにおける嘘

TPPのすべてのルールに従うと、言葉で誓約するだけでは不十分だ。 TPPのルールに従うために国内法を改正し、TPPの価値観に反する制 度、たとえば少数民族弾圧のような悪行が行われている場合、具体的にい つまでに、どのように改善するか、またそれを如何に検証するか、などを 示さなければならない。

幸いにも英国との交渉は6月に始まった。この英国の事例を中国に適用す ればよい。それを明確にしたとき初めて交渉に入れるようにするのだ。

世界は中国が如何にしてWTOに加盟したかを忘れてはならない。巧みに 米国を取り込み、騙したではないか。首相も務めた朱鎔基氏が美しく感動 的なスピーチをしてみせ、多くの米国人を虜にし、その経過で多くの約束 をしたが、WTO加盟から20年近く経ったいまも、全くといってよいほ ど、実行していない。

TPPの中心軸を成す日本がしっかりする時なのである。中国と安易に交 渉を始めてはならない。交渉に入る前に、中国にTPPの全てのルールを 守ると誓約させること。それがWTOにおける嘘と同じでないことを証明 させるよう、TPPのルール遵守のためにどの国内制度をどう変えるの か、具体的に示すよう、穏やかに、しかしキッパリと求めるのがよい。そ れなしには交渉自体を始めてはならない。

まず英国に加盟の道を開き、中国よりずっと準備の整っている台湾との交 渉に入り、台湾加入を実現するのだ。その間に粘り強く、米国を呼び戻す のを忘れてはならない。

トランプ前大統領がTPPを離脱した2017年以降、米国の対中姿勢は大き く変化した。提示の仕方によっては、超党派で再加盟に挑戦する価値があ ると、WSJも社説で強調している。米国は決して戻ってこないなどと、 悲観してはならない。TPPを本来の目的に基づいて機能させることが、 米国抜きでTPPをまとめた日本の特権であり、責任だ。この目的達成に は強い信念と楽観が必要だが、日本にはそれができるはずだ。
 


パキスタンのメディアも中国も報道しない「不都合な真実」    グアダール開発プロジェクトを中国は事実上放棄したようだ

2021-10-15 16:29:00 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)10月14日(木曜日)
通巻第7082号
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 パキスタンのメディアも中国も報道しない「不都合な真実」
   グアダール開発プロジェクトを中国は事実上放棄したようだ
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 CPEC(中国パキスタン経済回廊)は、BRI(一帯一路)の目玉のプロジェクトだ。総額620億ドルもの大金を中国は投下した。鉄道、高速道路、光ファイバー網、これと併行する原油とガスのパイプライン。

 第一はパキスタンが借りた金を返せないこと。
戦後だけでも13回、パキスタンはデフォルトをやらかしてIMF救済も、砂漠にバケツで水を撒くようなもの。
そのうえ、中国輸出入銀行がパキスタンへの融資を渋りだした。

 第二に当該グアダールの港湾近代化工事は、大幅に遅れている。というより進んでいない。
西部のバロチスタン州独立を叫ぶ過激派が中国人へのテロを繰り返し、治安の悪さは一向に改善されず、またパキスタン政府も、治安維持に熱意がない。現場ではたらく中国人労働者はテロに怯え、モラルが低下している。

 第三に、中国の海軍戦略でスリランカのハンバントタ港をまんまと中国の軍港と化した(99年の租借)ように、イランに隣接する最西端のグアダールを中国の租借地として軍硬化する筈だった。周辺に工業団地、大学、ハイテクパークも造成中で、豪華ホテルも営業を始めていた。

 中国はバロチスタン州開発を二年ほど前から諦めかけていたが、とうとう重点をカラチへ移行する。これは「ゲームチェンジだ」とイムラン・カーン首相は発言している。パロチスタン地方における中国のBRI建設現場へのテロ頻発に中国はネをあげた格好である。

カラチはパキスタンの商都、人口もイスラマバードより遙かに多く、カラチ港はアラビア半島からアフリカ諸国への貿易港として栄えていた。

もとよりカラチ財界はバロチスタン開発に政府が熱中するのを苦々しく思っていたのである。きっかけはサウジアラビアが、バロチスタン投資を諦め、石油コンビナート計画をカラチへ変更したことによる。
 


ハーバード大学、中国語海外研修プログラムの大学提携先を   北京語言大学から台湾の国立台湾大学へ変更

2021-10-15 16:27:51 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)10月13日(水曜日)
通巻第7081号
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ハーバード大学、中国語海外研修プログラムの大学提携先を
  北京語言大学から台湾の国立台湾大学へ変更
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 ハーバード大学の海外語学研修プログラム責任者のジェニファー・リュウは「22年度からの中国語教育の海外研修提携先を、これまでの北京語言大学から、台湾の国立台湾大学に変更する」と発表した(『サウスチャイナ・モーニングポスト』、2021年10月12日)。

 変更理由は「武漢肺炎ならびにカリキュラムの問題」とした。同校の海外提携先の学校では問題の多い「孔子学院」とセットになっているケースもあり、それが問題だとは言及しなかった。

 北京語言大学は1962年に、その前身となる海外留学生高等予備校として発足した。1965年に周恩来が梃子入れし、北京語言大学と改称。海外からの留学生を受け入れを本格化させる予定だったが、折からの文革により七年間休校を余儀なくされた。

 この北京語現大学は、中国の改革開放の時代、海外からの語学研修生の急増にともない、1980年代に本格化、2015年には日本にも進出し、東京池袋に北京語言大学東京校も開設された。

 一方、新しく受け入れるかたちになる国立台湾大学は、昔の台湾帝国大学で1928年に日本が設立した(当時の台湾は日本領)。
1945年に改組され、広いキャンパスに学生数32000名というマンモス、日本からの語学研修プログラムにも人気があり、中国語を学ぶには北京より台湾で、というムードが過去二十年ほどに急拡大していた。