殺されても文句を言えんのが泥棒や強盗
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律
相当物騒な世の中になっているとはいえ、普通に生活している分には泥棒や強盗に出くわすといった体験は稀でしょう。そんな被害にちょいちょい遭っていてはたまったものじゃないですね。
泥棒の典型の一つは空き巣で、外出から帰ったら家の中が荒らされていて金品を盗まれていたという格好。しかし、これは或る意味不幸中の幸いで、もし物色中の泥棒と〝対面〟していたとすると犯人のうち何割かはたちまち強盗 (居直り強盗) に早変わりしますから、モノの被害だけでは済まなかったかもしれません。
さて、かたや犯人側からすると、泥棒には入ったものの一段と刑が重い強盗という犯罪を犯してしまうことは予想外だったり、初めから強盗のつもりで人家に押し入るというケースでも被害者側から強力な抵抗がなされることなどまったく予期していない場合が多いようです。
ですから、日本の場合、泥棒や強盗の犯人は犯行に及んだことで自分が落命することなど考えてもいないことが多いようなのです。事実、被害者の予想外の抵抗で犯人が死傷、とりわけ死んだ例はほとんどないと言えるようです。(米国のような銃社会では、被害者側も簡単に発砲しますから同列には論じられません。)
ところが、下記の強盗事件では強力な被害者の反撃で強盗のうちのひとりが死んでいます。
そうして、当たり前と言えばそのとおりなのですが、犯人を死傷させた被害者は刑法所定の正当防衛や過剰防衛などが成立しようとしまいと、下記の 盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律 という古ーい特別法によってなんらの罪に問われることはないのです。
昭和五年法律第九号(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律)
第一条 左ノ各号ノ場合ニ於テ自己又ハ他人ノ生命、身体又ハ貞操ニ対スル現在ノ危険ヲ排除スル為犯人ヲ殺傷シタルトキハ刑法第三十六条第一項ノ防衛行為アリタルモノトス
一 盗犯ヲ防止シ又ハ盗贓ヲ取還セントスルトキ
二 兇器ヲ携帯シテ又ハ門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ若ハ鎖鑰ヲ開キテ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ船舶ニ侵入スル者ヲ防止セントスルトキ
三 故ナク人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ船舶ニ侵入シタル者又ハ要求ヲ受ケテ此等ノ場所ヨリ退去セザル者ヲ排斥セントスルトキ
② 前項各号ノ場合ニ於テ自己又ハ他人ノ生命、身体又ハ貞操ニ対スル現在ノ危険アルニ非ズト雖モ行為者恐怖、驚愕、興奮又ハ狼狽ニ因リ現場ニ於テ犯人ヲ殺傷スルニ至リタルトキハ之ヲ罰セズ
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【池袋マンション強盗】“返り討ち”で犯人の1人が死亡
“正当防衛”の範囲は?若狭弁護士「特別な法律がある」
“正当防衛”は成立するのか?強盗犯に抵抗の末…
「知人が強盗被害に遭った可能性がある」という男性は、強盗被害に遭った男性を「優しくて責任感がある」人だと話します。 襲撃された男性社長が、抵抗する際に犯行グループ1人の首などを刺したところ、その1人を残し他のメンバーは逃走。反撃された男は意識のない状態で病院に搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。 事件が起きた部屋の近くに住む人は…。 同じマンションに住む人: 男性なのか「人が倒れているって、すごい血だけど」っていう話をしてて。「血が出てるの!?怖い」という感じで。 抵抗した被害者が犯人を刺してしまったことについて、若狭勝弁護士は、被害者が罪に問われることはないと話します。 若狭勝 弁護士: 今回の事件は、被害者が犯人の男ひとりを刺し殺したということなんですが。 犯人を刺し殺した場合に、被害者を殺人罪に問えるかどうかということなんですが、刑法の「正当防衛」だけではなくて、こういう盗犯と強盗やなんかに対しては、刺し殺してしまってもこれは罪に問えないという特別な法律があるんです。ただ、危険ですので気をつけなくてはいけません。 犯行グループのメンバーはいずれも日本語を話していたと言うことで、警察は逃げたグループの行方を追っています。 (めざまし8 3月22日放送)
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