いしころにっき

石原石子の日記です

令嬢ラヴィニア

2010-08-18 23:59:58 | 山の手事情社のなか
今回公演のタイタスで
去年にひきつづき
笑美さんがラヴィニアという役をやります。

ラヴィニアは
ゴート族の王子たちに
自分の目の前で婚約者を殺されたあと
強姦され
両腕を切りとられ
舌を抜かれ
最後には父親に殺される
ご令嬢です。


舌を抜かれたあとのラヴィニアは
台詞はありませんが

ギャース ギャース

とときどき雄たけびをあげます。
私はそんな笑美さんをみていつも


大怪獣ラヴィニア


と心の中でつぶやきます。
芝居の後半で
物語がもりあがってきたときに

ずんずんずんと

舞台の前をラヴィニアが
ゆっくりと通りながら

ときたま


ギャース


と雄たけびをあげます。
私はこのとき


きたー!
怪獣ラヴィニアがきたー!
みんな逃げろー!


と心のなかで叫びながら
ウルトラマンで路傍を逃げまどう
小市民のような気持ちになります。

そして舞台中央の後ろらへんで
ミキサーを持ち



ぎゅいぃぃんんん
ぎゅいぃぃぃんんん


とまわします。
この音がまたラヴィニアの雄たけびとあいまって
空恐ろしくなります。


ところが


今回の稽古で発見したことなのですが
ラヴィニアが自分の目の前で
婚約者を殺されたときに
悲鳴をあげます。
そのとき笑美さんはその悲鳴がすでに


ギャース


でした。
舌があろうがなかろうが
おかまいなしです。
どうやらラヴィニアはもともとの悲鳴が


ギャース


だったのだと
私はおもいました。