老いること 増収の当てがないこと 患うこと
心が定まらない原因はここにある
さりとて不幸とも思わない
それでも不自由は不自由だ
愚痴がたまに出るのが良くない
良くないと思いつつも出るのは仕方ない
流れに流されていくのが楽だと言う
それは挑戦をあきらめて生きるということ
それで心は鎮まるが欲望だけは生きている
だから困る
本当になにもかも捨てることができれば
それはそれで楽なのだろうがつまらない
祖父は若いときに貧乏から逃れようとあがいた
あがいたけれど肉体労働はまっぴらで
形にばかりこだわっていた
だからまともな職に就かず生きてきたのが不思議だ
幼時から頭が良くて家が豊かなら学者様になったものをと
親戚も近隣も口をそろえた
だが人生を経て古希を迎えてもあのざまだ
人に言われると腹が立つが自ら認めていたからしかたあるまい
人の一生なんて
その人の資質と行動力で決まる
貧しい家庭から天下を取った人間だっている
そこまで行かなくても企業の社長となって立派な人生を送った人は多い
だから負け犬はしょせん負け犬
誰を恨むこともない
みんな己の歩いてきた道の積み重ね。

青年の樹(昭和36年)三浦浩一 石原 慎太郎 作詞、山本 直純 作曲