久々の刑事小説です。
本屋さんで何にしようかと迷ったときは、以前読み慣れた作家の最近の文庫化を探すようにしています。
ちょうど乃南アサさんの作品が文庫化されたものがあったのがこの『自白』です。
でも最初は4編からなる短編集だと知らずに買って読み始めたので、最初の作品の途中で、さぁここからどのように、どんでん返しとか展開するのかなってワクワクしてたら、ありゃ? 終わっちゃうよこれって感じでちょっと拍子抜けしてしまいました。
普通はカバーの裏表紙に短編集とか書いてあるものなのですが、ノスタルジー刑事小説としか書いてなかったので気がつかなかったんですね。
でも刑事・土門功太郎を主人公にした短編集とわかって読むと短いですが、それぞれになかなか味のある作品でした。
『自白』っていうタイトルでまとめられているとおり、取調べ室でのやりとりが出てきて、それも別に迫力があるとか凄い描写とかぜんぜんなくて淡々としているのですが、刑事って実際こんな感じかなっていう現実的で渋い味が出ています。
ただ乃南アサさんと言えば女刑事音道貴子シリーズの大ファンでイメージが強かっただけに、そのイメージだとだいぶズレますね。
それからこれらの小説が昭和45年あたりを中心に背景としていていろんな流行歌やそのころの世相が反映されている点は懐かしい感じで読めました。
乃南アサさんが私と同い年なので、その頃の印象も似た感じなのでしょうね。
東京ディズニーランドOPEN、よど号乗っ取り事件、三島由紀夫の割腹事件、ホテルニュージャパンの火災などが出てきたり、走れコータローやら圭子の夢は夜ひらく、鶴田浩二の傷だらけの人生とかがストーリーの中にさりげなく出てきて、なるほどノスタルジー刑事小説とは上手く言ったなって納得しました。
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