辻村深月さんの小説は初めて読みました。
小学4年生の児童が主人公なのですが、ジュブナイルではないですね。
コアなファンが多い著者だけあって独特の作風を感じます。
先入観なく読んだので、最初は途中から展開が開けないことにちょっとつまずいたのですが、すぐに期待していたものが違うことに気がつきました。
これがこの小説のいいところなんだって(^^;)
ミステリーというジャンルそのものは幅が広すぎるのでときどきこういうことがあります。とても繊細で心の動きも上手く描写されています。
主人公の小学生は特殊な「力」を持っているですが、それが特殊に感じないところも実はこの話の「深い」ところかと感じます。
ちょっと種を明かすと「あなたは○○をしないと、○○になる」言い方はさまざまなバリエーションがあるのですが、相手に伝えたこの言葉が実現することがその「力」です。
誰かに物事を相談したときに普通に言われるような言葉ですね。
「今、勉強しておかないと一生苦労するよ」「今、決断しないとこの先ずっと後悔するよ」みたいに。
だから「超能力」なんて言葉を全く意識せずに、ごく自然にストーリーに没頭させられるところがまた著者の上手いところです。