中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

北京時間

2009年09月28日 | 中国生活
 今年、建国60周年を迎える中国は、その建国記念日(国慶節)の10月1日を前に、これまでの歴史を振り返る、様々な論評を発表している。
 今回は、その中から一篇、紹介したい。

 改変歴史的“北京時間”
 ——写在新中国成立60年之際(上)
 任仲平 2009年09月27日 人民網より

 実は、この任仲平 ren2 zhong1ping2というペンネームは、実在の人物ではなく、「《民日報》論」ren2min2ri4bao4 zhong1 de ping2lun4の下線の部分と音が同じ、ということで付けた名前で、人民日報社の評論員が書き下ろした文章で、《人民日報》紙上で発表する際、こう署名するそうだ。

 在中国流伝了近五千年的“天干地支”計時系統中,60年代表一个輪回。然而,当新中国的歴史即将邁入下一個甲子,俯仰中華大地滄桑巨変,這個行進在中国特色社会主義道路上的古老民族,分明已経打破封建王朝“其興也勃,其亡也忽”的興衰周期律。時間的指針,不可逆転地指向現代化,指向世界,指向未来。
 [訳]中国に五千年近く伝播する「天干地支」の時間の計量システムの中で、60年はひとつの輪廻を代表する。然るに、新中国の歴史が次の60年に突入するに当たり、中華の大地の滄海桑田の激変を仰ぎ見れば、この中国の特色ある社会主義の路線を歩む古い民族は、明らかに封建王朝の「その興隆も急であるが、その滅亡も突然である」という興隆衰退の周期の法則を打ち破った。時計の針は反転することなく現代化の方向を、世界の方を、未来の方を指している。
 ● 天干 tian1gan1 十干。甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸の総称。「甲子」のように、地支(十二支)と組み合わせて年を表記する
 ● 地支 di4zhi1 十二支(えと)。「天干地支」で年月のこと。
 ● 輪回 lun2hui2 仏教でいう輪廻(りんね)。
 ● 一個甲子 yi1ge jia3zi3 干支の60種の組合せが一回りすること(すなわち60年)を「一個甲子」という。
 ● 滄桑 cang1sang1 滄海桑田の略。滄海変じて桑田となる。大海が変じて桑畑となる。世の移り変わりの激しいこと。
 ● 其興也勃,其亡也忽 qi2xing1ye3bo2, qi2wang2ye3hu1
  その興隆も急であるが、その滅亡も突然である
 [出典]《左伝・庄公十一年》“禹、湯罪己,其興也悖焉,桀、紂罪人,其亡也忽焉”
      《新唐書・卷一百一十五》“禹、湯罪己,其興也勃焉;桀、紂罪人,其亡也忽焉。”
 “悖”は“勃”に通じ、意味は:夏王朝を興した禹と商(殷)王朝を興した湯王は自らの咎(とが)を責めたので、彼らの興隆は迅速で、その勢いは誰にも止められなかった。夏の最後の王である桀と、商の最後の王の紂は他人に責めを負わせたので、彼らの滅亡は迅速で、突然にやってきた。
 ● 指針 時計の針

 歴史的細節,時常内有乾坤
 [訳]歴史の細部では、常に大きな変革の要素を含んでいる。

 それはどういうことかと言うと、2009年春のロンドンで開かれたG20金融サミットの、メディアセンターの時間表示ボードに、時計が三つだけ掛かっていたが、それは順番に、「ワシントン時間」、「ロンドン時間」、「北京時間」であったということだ。

 “北京時間”,“中国道路”。全世界都在適応這個重新走向舞台中央的大国,希望従它的足跡里,解読這条迥異于西方的現代化路径。 
 [訳]「北京時間」は「中国への道」である。全世界は、この再度、舞台の中央へ歩き始めた大国に対応し、その足跡から、この西方とは大いに異なる現代化への歩みを解読したいと望んでいる。
 ● 迥異 jiong3yi4(迥別)大いに異なる

 五千年的文明古国、両千年的封建王朝、百余年的屈辱歴史、六十年的滄桑巨変……過去和現在,如何集合那万千点滴,在百転千回中滙成一个民族頑強生長的脉絡?
 [訳]五千年の文明を持つ古い国、二千年の封建王朝、百年余りの屈辱の歴史、六十年の滄海桑田の激変……過去から現在まで、如何にしてあの何万何千の水滴を集め、何度も揺れ動いた歴史の中で、ひとつの民族が頑強に成長する道筋を作り上げたのだろうか。

 古老文明的栄耀、“中央帝国”的迷夢、山河破砕的痛楚、“巨龍騰飛”的輝煌……中国与世界,如何統攬這千年巨変,在跌宕起伏間呈現一個国家波瀾壮闊的転身?
 [訳]古い文明の栄光、「中央帝国」の妄想、国土が粉々にされる苦しみ、「巨龍が飛翔する」栄光……中国と世界は、如何にこの千年の激変を総括し、抑揚や起伏の中から、ひとつの国を勢いよく前進するような変化を実現させたのだろうか?
 ● 痛楚 tong4chu3 (個人の肉体的、精神的)苦痛。
  生活の苦しみや集団の苦しみには用いない(その場合は、「痛苦」)
 ● 跌宕 die1dang4 音調に抑揚がある。文章が変化に富んでいる
 ● 波瀾壮闊 bo1lan2zhuang4kuo4 すばらしい勢いで展開、前進するさま

 新中国60年,不過是一個歴史悠久的文明古国的時間片段,却承載起中国現代化歴程中開天辟地的“歴史単元”,標注了几近亡国滅種的中華民族重新屹立于世界民族之林的“空間坐標”。従内部説,這60年関乎一个延続几千年的古老文明的生死;従外部看,這60年渉及一個占世界人口1/5的東方大国的興衰。這両大課題,恰与中華民族近代以来救亡図存、強国富民的両大歴史使命相呼応,与中国共産党人60年不変的治国理想相契合——
 [訳]新中国の60年は、悠久の歴史を持った古き文明国の時間の一部に過ぎないが、中国現代化の過程で天地開闢の「歴史の一場面」を引き受けさせ、亡国や民族消滅の危機に瀕した中華民族を再び世界民族の林の中にそびえ立つ「空間座標」にその名を記させた。内部から言うと、この60年は、数千年続いた古き文明の生死に関わる。外部から見れば、この60年は、世界人口の1/5を占める東方の大国の興隆衰退に関係する。このふたつの課題は、ちょうど中華民族の近代以来の救国存続、強国富民のふたつの歴史的使命と呼応し、中国共産党の60年間変わることのない統治の理想とぴったり符合する。
 ● 承載 cheng2zai4 荷重を受ける
 ● 開天辟地 kai1tian1pi4di4 天地開闢。有史以来
 ● 屹立 yi4li4 高くそびえ立つ。確固として揺るがない

 在前不久閉幕的中国共産党第十七届四中全会上,胡錦涛総書記再次強調中華民族偉大復興是我們党的偉大事業,再次強調要建設富強民主文明和諧的社会主義現代化国家。回首新中国60年歴程,一個主題格外突出:中国共産党始終以中華民族偉大復興為己任;一個路径相当鮮明:中国人民堅定地把現代化視作走向復興的路径。
 [訳]少し前に閉幕した中国共産党第十七期四中全会で、胡錦涛総書記は再度中華民族の偉大な復興は我々党の偉大な事業であると強調し、また豊かで民主的で、文明的で調和のとれた社会主義現代化国家の建設を強調した。新中国60年の歴史を振り返ると、ひとつのテーマがとりわけ突出している。つまり、中国共産党は終始、中華民族の偉大な復興を自らの任務とすると。ひとつの道筋はたいへん鮮明である。中国人民は確固として現代化を復興に向かう道筋と見做すと。

 就譲我們沿着現代化這条主線,梳理時間和空間的坐標,由此来看新中国改天換地的貢献,看60年滄桑巨変的意義。
 [訳]つまり、現代化というメインルートに沿い、時間や空間の座標を整理してみると、ここから、新中国の根本的変革の貢献がわかり、60年の滄海桑田の激変の意義がわかる。
 ● 改天換地 大自然を根本的に改造する。大きな変革のたとえ

 “多少事,従来急;天地転,光陰迫。一万年太久,只争朝夕。”世界上没有哪一个民族,像中華民族這様,既創造了五千年的悠久文化,也承受着百余年山河破砕、喪権辱国的巨大痛楚。也没有哪一个民族,有着如此強烈的復興意志。這種只争朝夕的復興理想,成為中国現代化道路上最強大的凝聚力。
 [訳]「たくさんの事が起こり、これまで焦ってきた。世界は変換期にあり、時間は迫っている。一万年は長すぎるが、我々はただ、ごく短い時間を争っている。」世界中の如何なる民族も、中華民族のように、五千年の悠久の文化を創造しただけでなく、百年余りにわたる国土の破壊、権利を喪失し国の辱めを受けるという巨大な苦しみを受けた民族はいない。また如何なる民族も、かくも強烈な復興の意志を持っていない。このごく短い時間を争う復興の理想が、中国の現代化路線のもっとも強い凝集力となっている。
 ● 多少事,従来急;天地転,光陰迫。一万年太久,只争朝夕
  Duo1shao3shi4, cong2lai2ji2 。tian1di4zhuan3, guang1yin1po4。 
   yi1wan4nian2tai4jiu3, zhi3zheng1zhao1xi1
  たくさんの事が起こり、これまで焦ってきた。世界は変換期にあり、時間は迫っている。一万年は長すぎるが、我々はただ、ごく短い時間を争っている
  [解説]毛沢東の詩、《満江紅》からの引用。副題に、郭沫若同志に和する、とあり、郭沫若の詩に呼応する形で、1964年初頭、毛沢東70歳の誕生日に発表された。詠まれたのは1962年の有様で、当時、毛沢東政権は内外で様々な困難に直面していた。内では、大躍進運動の傷跡が癒えず、外にはソ連との不協和音、アメリカのケネディー政権のインドを西側の民主主義のショーウインドーとしようとする動き、アメリカの軍事顧問のベトナム入り等。これらに対し、長い歴史の中の一瞬のことに過ぎず、恐れるに足りない。自分たちの勝利は近い、と言っているのである。

 以上、非常に長い文章の最初の一部を紹介したが、G20の金融サミットで、ワシントンとロンドンはともかく、後ひとつがモスクワや東京でなく、北京がクローズアップされたということ、過去の屈辱の歴史を振り返り、いよいよ我々の時代が来た、という、いささかナショナリズムを鼓舞する内容ではある。しかし、間近に迫った、建国60周年式典への、中国の国民の国を愛する思いが感じられた。