中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

神様のお使いの鳥、カラス

2013年10月27日 | 旅行ガイド

  京都の熊野神社へお参りすると、本殿の拝殿の左右に吊るされたご神燈に、カラスが描かれています。これは三本脚のカラス、八咫烏(やたがらす)です。熊野神社とカラスにはどのような関係があるのか、それが今回のテーマです。



   京都・熊野神社 本殿の拝殿左右に掛かる御神燈




  
  熊野本宮大社

[和訳]
八咫烏
  「咫」とは、本来は長さの単位で、周代の尺では八寸に相当し、手のひらの下の端から中指の先端までの長さのことである。「八咫」(やあた、或いは、やた)と言うと、大きい、美しいという意味である。中国の神話に、太陽に住む赤い、三本脚のカラスがいるが、それが日本に伝わってからの名称が、「八咫烏」(やたがらす)である。八咫烏は、大型のカラスである。日本の和歌山県南部、熊野地方の人々は、これを神様の使者であると信じている。

  日本の神話では、第一代天皇、神武天皇が九州日向国から東征した際、熊野から大和へ行く間の山地の険しく狭隘な道を進むのが困難であったので、天帝は八咫烏を神武天皇のもとへ遣わし、道案内をさせたことで、神武天皇は無事大和国に到着することができた。その時の功により、八咫烏は熊野三山、特に熊野本宮大社の守り神となった。また一説によると、五世紀ごろ、京都市北部に移住を始めた賀茂氏の祖先である、賀茂建角身命(かもたけつのみのみこと)は、この時神武天皇を導いた八咫烏の化身であるという。

  このため、和歌山県の熊野本宮大社、その熊野の神様を京都に分祀した京都の熊野神社、賀茂建角身命をお祭りした、賀茂一族の氏神を起源とする上賀茂神社、下鴨神社は、何れも八咫烏を神様のシンボルとしている。




   京都・熊野神社 本殿




   京都・熊野神社 サッカーお守り

[和訳]
熊野神社と聖護院
  修験道は深山に篭り、修行により悟りを開くことを目的とした日本古来の山岳信仰で、その発展の過程で、仏教の教義に取り入れられ、その後、神仏混合の現象が生まれるようになった。

  熊野神社は、811年に修験道の十世僧侶、日円が、国家守護のため和歌山県南部、紀州地方の熊野の神様をお迎えし、それを京都に分祀したことに始まる。

  聖護院は、本山派修験道の寺院で、本尊は不動明王。滋賀県大津市三井寺出身の贈誉が創建した。贈誉は1090年、白河上皇が熊野を訪問した際、先導を務めた。その時の功により上皇は彼に聖護院を下賜し、また彼を、修験道を統括し熊野三山を監督する職務につけた。

  熊野神社は、その当時は聖護院の守護神であった。このように、神道の神様が仏教寺院を護り、このような形で仏教と神道が共に発展していったというのが、日本の宗教史の特徴の一つである。
  明治時代になって、明治政府は神道を国教と定め、神仏分離の命令を発した。その際これは独立し、名前も熊野神社となった。

  皆さんの中に、サッカーファンの方はおられるでしょうか。日本サッカー協会のマスコットも八咫烏です。八咫烏の縁で、今では熊野神社でサッカーのお守りを売っています。もしお子さんが少年サッカークラブに入っておられるなら、ここでお守りを一つ買われては如何でしょう?


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屋根で見分ける神社建築 (その2)

2013年10月08日 | 旅行ガイド


  前回は、日本の神社建築固有の特徴を持った屋根として、春日造、流造、神明造、大社造を紹介しましたが、これらの屋根の構造が、切妻屋根の比較的単純なものであったのに対し、これからご紹介するのは、建物が複数になったり、屋根が寄棟造りになったりしていきます。




  [八幡造 (宇佐八幡宮本殿)]





  [石清水八幡宮(八幡造の本殿は手前の二階建て楼門の後方の建物)]



  (石清水八幡宮、正面楼門、及び回廊)

□ 八幡造(はちまんづくり)神社建築 九州・大分県の宇佐八幡宮、京都の石清水八幡宮を代表とする神社建築様式。切妻屋根、平入り(屋根の棟方向が正面)で、前後の二つの建物で構成される。前殿の屋根は「流造」(ながれづくり)と同様、庇(ひさし)の位置まで延びている。屋根は桧皮葺き。前殿と後殿の間に部屋が設けられている。前殿には椅子が、後殿には帳台が置かれている。帳台とは、帳(とばり)を架け渡した一種の寝台である。神様は、昼間は前殿におられ、夜になると後殿に移動して休まれると言われている。




  [権現造 (久能山東照宮本殿全景)]



 (久能山東照宮本殿)



  [権現造 (北野天満宮拝殿)]

 


  [権現造 (北野天満宮正殿)]

□ 権現造(ごんげんづくり)神社建築 「八幡造」を基に、発展した神社建築様式である。寄棟造り、平入りで、前後に二つの建物があり、その真ん中を貫いて寄棟造り、妻入り(妻面を正面とする)の建物が建っている。屋根は桧皮葺きのもの、瓦葺きのもの等がある。後殿が正殿で、前殿は拝殿である。静岡県久能山東照宮を起源とする。ここで祭られているのは江戸幕府を開いた徳川家康であり、家康の忌み名が「東照大権現」であることから、「権現造」と呼ばれる。

  京都北野天満宮本殿も権現造の建物である。権現造は構造上、棟の数が多いので、このような建築様式は「八棟造」とも呼ばれる。「棟」とは、屋根の上の水平となった部分で、「八棟」とは、棟がたくさんあるという意味である。実際には、正確に数えると、棟は全部で7つであるが、ぱっと見た印象では、屋根の斜面が大変たくさんあるように感じられる。





  [祇園造 (八坂神社本殿)]



□ 祇園造(ぎおんづくり)神社建築 京都の八坂神社でのみ使われている建築様式である。後方の正殿と前方の拝殿の二つの建物から成るが、屋根は二つの建物を跨いで一つの大きな寄棟造りの屋根で覆われており、平入り(棟の方向が正面)である。正面には更に庇(ひさし)が取り付けられている。側面にもやや小ぶりな庇が取り付けられている。屋根は桧皮葺きである。

  この他、これらの建築様式の変形版もありますので、訪問された神社の屋根をじっくり観察してみてください。
今回は以上です。

    尚、全文中国語のプログも公開していますので、そちらもご覧ください。
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屋根で見分ける神社建築

2013年10月04日 | 旅行ガイド

  神社は、建物の中に仏教寺院のように仏像がある訳ではなく、特に本殿は神聖な場所であるため、通常は中に入ることができず、外から眺めることしかできません。しかし神社の建物は、独特の姿をしており、いくつかの形状に区分できます。特に屋根の形に特徴があります。今度、神社に行かれる機会があったら、是非その屋根を鑑賞してください。

  今回は、屋根の形状に注目して、主要な神社建築の特徴を見ていきたいと思います。



  [春日造(枚岡神社)]



  (春日大社本殿)

[和訳]
□ 春日造(かすがづくり)の神社建築 奈良春日大社本殿を代表とする建築形式。切妻(きりづま)屋根、妻入り(妻面が正面に来る)。妻面の下に庇(ひさし)が付いており、庇と大屋根は一体となっている。屋根は上から下へ曲線を描いている。庇の傾斜はあまり急でなく、優雅な曲線を描いている。屋根は萱(かや)や桧皮(ひわだ)で葺かれている。床は風通しを考慮し、比較的高い位置に置かれている。母屋の柱は円柱が用いられ、庇を支える柱は角柱である。

  奈良の春日大社本殿は一間社の建物が四つ横に並んでいる。というのも、春日大社は四人の神様を祭っているためで、それぞれの建物に違った神様をお祭りしている。




  [流造(下鴨神社本殿)]


[和訳]
□ 流造(ながれづくり)神社建築 日本全国、最も広く分布している建築形式である。切妻屋根、平入り(屋根の棟の方向が正面)で、妻面が側面にある。屋根は上から下へ曲線を描いている。向かって正面の屋根は庇の位置まで延びていて、屋根と庇が一体になっている。したがって、屋根は一方が長く、一方が短く、不均衡になっている。屋根は萱葺き、桧皮葺き、銅板葺きのものなど、各種ある。

  京都の上賀茂神社本殿、下鴨神社本殿は、「流造」の代表作である。



  [神明造(伊勢神宮内宮)]




  (大相撲土俵上の吊り屋根~両国国技館)

[和訳]
□ 神明造(しんめいづくり)神社建築 伊勢神宮を代表とする建築形式。日本最古の神社建築形式のひとつである。古代の高床式の穀物倉庫の建築が発展し、後に宝物の保管庫となったものである。柱は地面に穴を掘り、直接穴に埋め込まれており、礎石は使われていない。切妻屋根、妻入りで、母屋の柱は円柱である。鰹木(かつおぎ)も円柱であるが、その他の木材は角材を用いている。屋根は上から下に直線に伸びていて、曲線は描かない。屋根は木の板か銅版で葺かれている。屋根を支える破風(はふ)は、つなぎ目で固定されるだけでなく、上方に延びていて、千木(ちぎ)となっている。

  大相撲の土俵上方には吊り天井があるが、その屋根の形状は、「神明造」である。





  [千木と鰹木]


[和訳]
□ 千木(ちぎ)と鰹木(かつおぎ) 千木(ちぎ)とは、屋根の棟の両端で二本の角材を上に向けて交叉させた神社本殿の装飾である。木材の先端が、地面に垂直方向に向いているものと、地面と平行のものと二種類ある。垂直のものは男性神を祭っており、平行のものは女性神を祭っていると言われている。

  鰹木(かつおぎ)は、屋根の棟と直角の方向に平行に並べられた数本の円柱の木材で、神社本殿の装飾である。その外観が、干したカツオに似ているので、鰹木と呼ばれる。その本数には奇数と偶数の別があり、奇数は陽数、偶数は陰数であるので、奇数のものは男性神を祭り、偶数のものは女性神を祭っていると言われる。



[和訳]
□ 式年遷宮祭 伊勢神宮では、二十年に一度、本殿が立て替えられ、神様が新しい本殿に引っ越される。これを「式年遷宮祭」という。この儀式には、主に二つの目的がある。一つは、本殿の建物の柱は、礎石を用いず、直接地面に穴を掘って埋め込むので、長い年月建物を維持することができず、定期的に立て替えてやることが必要であること。もう一つの理由は、後世に宮大工の技能を伝えるため、彼らに定期的に技能を発揮する仕事の機会を与えるためである。 




  [大社造(出雲大社)]


[和訳]
□ 大社造(たいしゃづくり)神社建築 出雲大社を代表とする建築形式。「神明造」同様、日本最古の神社建築形式のひとつである。古代の宮殿建築を真似たものと言われる。柱は神明造と同様、元々は礎石を使わず、直接地面に埋め込まれた。切妻屋根、妻入りで、屋根は上から下へ曲線を描いている。屋根の傾斜はかなり急である。これは、冬の降雪時、雪が屋根に積もらぬよう、屋根を保護するためである。屋根は萱で葺かれている。屋根は千木、鰹木で装飾されている。庇を深くして、建物への出入りに便利なようにしてある。入口は正面の右側に偏した位置にある。床は相当に高く、出入りのため梯子が付けられている。


  今回は、神社建築の中でも、古代を起源とするものを集めました。神社建築では、これ以外に、近世以降に生まれた建築様式にも、特徴があります。次回に、それらを説明したいと思います。

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